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新型コロナウイルス影響下における不動産投資への影響はどうなる?不動産投資に関連するニュースまとめ

2020/09/15
新型コロナウイルス影響下における不動産投資への影響はどうなる?不動産投資に関連するニュースまとめ

新型コロナウイルスは、世界経済に大きな影響を与えました。

コロナの脅威は、2020年9月現在においても、なくなったとはいえません。

不動産投資は、現状でどんな影響を受けているのでしょうか。

また、今後どのような懸念があるのでしょうか。

こちらの記事では、最新の売買価格やローンの動向など不動産投資に関連するニュースをまとめました。今後の参考になるように解説していきます。

中古マンションの成約件数、前年比-2.4%まで回復

国土交通大臣指定の「公益財団法人 東日本不動産流通機構」が発表したサマリーレポート2020 年4月~6 月期によると、首都圏(1都3県)における中古マンションの成約件数は6,428 件となっていて、前年比マイナス33.6%という大幅減となりました。

四半期の減少率としては1990年に機構発足して以降、過去最大だそうです。

8月中旬に発表された首都圏における7月度成約件数は、前年比-2.4%まで戻していて、大きな改善が見られています。

コロナの影響は、徐々に小さくなっているといえそうです。

http://www.reins.or.jp/pdf/trend/mw/MW_202007data.pdf

出典:公益財団法人 東日本不動産流通機構

中古マンションの物件価格は、やや上昇傾向か

国土交通大臣指定の「公益財団法人 東日本不動産流通機構」が発表したサマリーレポート2020 年4月~6 月期によると、首都圏における中古マンション成約価格は、新型コロナで緊急事態宣言が出ていた4月~5月にかけて、前年比でマイナスになったものの、その後持ち直して、6月~7月と前年比「5%以上」の価格で推移しています。

2020年7月時点の平均価格は3,628万円となり、前年の3,442万円と比べ186万円増加しています。

http://www.reins.or.jp/pdf/trend/mw/MW_202007data.pdf

出典:公益財団法人 東日本不動産流通機構

都心3区(港区・千代田区・中央区)の賃貸居住用賃料は高水準

国土交通大臣指定の「公益財団法人 東日本不動産流通機構」が発表した、2020 年4月~6 月期の賃貸居住用物件の取引動向によると、都心3区の賃貸居住用賃料は、他の区と比べて高水準になっています。

このコロナ禍においても、多少賃料が高くても利便性が良いエリアへ住みたいというニーズがあります。

http://www.reins.or.jp/pdf/trend/sc/sc_202004-06.pdf

出典:公益財団法人 東日本不動産流通機構

2020年7月の収益物件(区分マンション)の価格は大きく下落

不動産投資と収益物件の情報サイト健美家(けんびや)が発表した「収益物件市場動向マンスリーレポート<2020/08>」によると、首都圏の区分マンションの価格が前月比で9.2%、前年比で11.6%下落しました。

https://www.kenbiya.com/press/pre2020-08-03.html

出典:不動産投資と収益物件の情報サイト健美家(けんびや)

過去1年を見てみても最も低い水準です。

物件価格の下落によって、利回りも上昇しています。

下のグラフは、2011年4月~6月期から2020年4月~6月期までの首都圏における区分マンションの価格推移を表したグラフです。

この10年近くのスパンで見ると、一旦下落してもその後上昇に転じていて、結果としては大きく上昇しています。

今回の7月の価格下落をもって、まだ今後の予測を立てるのは難しいですが、もしまた反発する可能性があることを考えると、価格が下がっている状態の今は、収益物件(区分マンション)を購入するチャンスであるとも捉えることができます。

https://www.kenbiya.com/img/press/pre2020-07-07.pdf

出典:不動産投資と収益物件の情報サイト健美家(けんびや)

不動産投資用のローンは、しばらく低金利が続く見込み

ローン金利は、景気次第で変化します。

新型コロナが収束し、景気が徐々に回復することで金利も上昇していくことになりますが、逆にコロナ禍が長期化することによって、景気がさらに悪化するような事態になれば、さらに金利が低下していく可能性もあります。

しかし、現在の低金利状態はしばらく継続する見込みです。

日本銀行は、2020年7月15日の政策委員会・金融政策決定会合において、

引用

「2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。

マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の

実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。」

としています。

言い換えれば、物価上昇率が2%を超えるまでは、「金融緩和を続ける=金利は上昇させない」ということです。

物価上昇率の2%上昇が、どれだけ難しいかというと、2015年以降1度も到達したことはありません。

2%はおろか、1%にも届いていないのが下記のグラフでお分かりいただけると思います。

出典:日本銀行

https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2007a.pdf

以上の理由から、今後も低金利状態が継続する見込みです。

不動産投資を考えている方は、低金利である今が始めるチャンスと言えるでしょう。

サブリース規制へ!第1回賃貸住宅管理業法の施行に向けた検討会が開催

「かぼちゃの馬車」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。

「聞いたことはあるけど、詳しい内容までは知らない」といった感じでしょうか。

この「かぼちゃの馬車」とは、株式会社スマートデイズ(既に破綻)という不動産会社が、展開していたサブリース事業の女性専用シェアハウスのことです。

サブリースとは、「又貸し」や「転貸」のことです。

不動産の賃貸においては、転貸を目的とした「一括借上」のことをサブリースと言うことが多いです。

何が問題になっているかというと、近年、このサブリースをめぐって、「ローンの不正契約」や「訴訟」が発生しているためです。

この社会問題というべき課題を解決するために、2020年6月12日に国会において制定されたのが「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」です。

2020年8月5日に開催された「第一回賃貸住宅管理業法の施行に向けた検討会」には、国道交通御法川副大臣も出席しました。

副大臣は、「実社会の現場で真に機能するためには、サブリース規制と登録制度について実効性あるガイドライン等の運用のルール作りが極めて重要」と述べています。

サブリース規制(誇大広告・不当勧誘の禁止等)については、2020年12月中旬の施行、登録制度については、2021年6月中旬の施行に向けて、ガイドラインの整備等に必要な検討を進めていくとのことです。

 まとめ

2020年9月時点での不動産投資市場における新型コロナの影響は、そこまで大きいものはないといえます。

不動産投資を始めようとしている方にとっては、こちらの記事でも書いた通り、実はチャンスの可能性もあります。

今後も、不動産投資関連の最新情報に気を配ることが大切です。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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