不動産投資とは

リノベーション投資のメリット・デメリット!物件選びのポイントは?

2020/09/07
リノベーション投資のメリット・デメリット!物件選びのポイントは?

リノベーション投資は「中古物件を安く購入して、リノベーションにより高利回り物件に生まれ変わらせる魅力」があります。

しかし一方で、リノベーション投資には改修コストや中古物件特有のリスクがあり、安定的に収益を上げるにはリノベーションに特化した知識が重要です。

そこで本記事では、リノベーション投資のメリットだけでなくデメリットについても言及しながら、物件選びのポイントを解説します。

リノベーションとリフォームの違い

リノベーションとリフォームは混合されやすい手法ですが、工事の目的やゴールはまったく違います。この章では、リノベーションとリフォームの違いについて説明していきます。

リノベーションとは?

リノベーションとは改修を目的とし、相場よりも資産価値の高い物件づくりをおこなうための工事です

たとえば、リノベーションとしての改修工事は次のような事例があげられます。

  • 部屋の一部分の仕切りを取り除いて空間を広くする
  • 室内窓を造作して採光ができるようにする
  • 壁紙や床の材質を張り替えてオシャレな雰囲気にする

これらの事例からもわかるとおり、リノベーションは新築時の状態に物件を戻すことが目的ではなく、築年数の経過した物件を新しく作り変え、付加価値を高くして、競合物件との差別化を理想像としています。

リフォームとは?

リフォームとは修繕を目的とし、築年数の経過により老朽化や機能が低下による物件の性能を取り戻すための工事です

たとえば、リフォームとしての修繕工事は次のような事例があげられます。

  • 汚れた壁紙や破れたフスマを張り替える
  • カビやヒビ割れのあるキッチンの設備を入れ替える
  • 雨漏りのする屋根のふき替えをする

リフォームの目的はリノベーションとは違って「いかに新築時の状態に物件を戻せるか」であるため、収益性を上げる目的や他の物件と差別化を図るための最善の手法とは必ずしもいえないでしょう。

リノベーション投資のメリット・デメリット

投資リスクを最小限に抑えるために、リノベーション投資の特徴理解は重要です。この章では、リノベーション投資のメリットとデメリットについてみていきましょう。

リノベーション投資のメリット

1つ目のメリットは「立地条件のよい物件を安く仕入れられる」です。中古物件は新築物件よりも先に建設されているため、立地条件に恵まれた物件が数多く存在します。したがって、中古物件の中には築年数が数十年経っていても、立地条件がよいために入居者が途絶えない人気物件も珍しくありません。正しい選別眼をもって物件選びをおこなえば、表面的には魅力のわかりにくい物件を安価に仕入れ、価値ある資産へと高めることが可能です。

2つ目のメリットは「相場より高い家賃収入が期待できる」ですリノベーションの内容が顧客ニーズに合致すると、物件の資産価値はさらに高まります。たとえば、築30年以上の中古物件であっても、劣化を感じさせない物件や昔ながらの職人技術が反映されている建築物などは、新築物件に劣らぬ資産価値を生むケースもあるようです。

3つ目のメリットは「競合物件との差別化ができる」です。収益物件の売却価格は収益力に大きな影響を受けるため、リノベーションによって他の競合物件と差別化できた物件は大きな強みとなります。ゆえに、リノベーション投資の出口戦略として「物件を売却して手放す」というシナリオを想定した場合でも、物件次第で有利に売却できる見込みがあるでしょう。

リノベーション投資のデメリット

1つ目のデメリットは「大掛かりな修繕のリスク」です。リノベーション物件に劣化があった場合、リノベーション費用に加えて修繕費が必要になります。リノベーション費用は不動産投資においてコストに分類されますが、コストをかけるだけの需要があるかは、家賃想定額や費用などのシミュレーションの結果次第となるでしょう。

2つ目のデメリットは「時間的なコスト」です。リノベーション投資は、改修工事をする期間中に入居者を入れて家賃収入を得られません。リノベーションの工期に関しては、どのような工事をおこなうかによって差異はあるものの、新築物件への投資に比べると、リノベーションのコストに加えて時間的なコストを要する場合があります。

3つ目のデメリットは「費用かけても入居してもらえないリスク」です。顧客のニーズにマッチしたリノベーション戦略を立てた場合、高い利回りが期待できますが、見立てを間違えると金銭的にも時間的にもムダな投資となるリスクがあります。また、たとえリノベーション投資における物件購入額は安く抑えられても、リノベーション費用が高額になると、収支の採算は取れません。したがって、リノベーション投資では、顧客のニーズに合致した物件選びを徹底し、堅実な投資戦略を立てことがカギとなります。

リノベーション投資における物件選びのポイント

リノベーション投資で成果をあげるうえで、物件選びは最重要項目のひとつです。そこでこの章では、どのような点に気をつけて中古物件を選べばよいのかをみていきます。

顧客ニーズ

顧客のニーズとマッチしたリノベーションの内容と家賃価格を設定し、総合的に採算の取れる投資戦略をたてましょう。

ただし、需要に応えた改修をしても、費用がかかりすぎると相場よりも高い家賃を設定しなければならなくなるため、収支のバランスには注意が必要です。家賃が高くなると入居者の確保が困難になり、最悪の場合は空室が続いて結果的にキャッシュフローを圧迫する可能性もあります。

立地

リノベーション投資を成功させるためには、入居希望者のニーズにマッチした立地に物件が位置するかがポイントになります。

立地条件といっても、「ショッピングモールやコンビニが近い」「交通機関の利用が便利」などの表面的な利便性だけではありません。ターゲットとなる顧客の生活スタイルや家族構成、年齢層などを考慮すると、より正確な深いニーズを把握できます。

たとえば、子どものいるファミリー層がターゲットの場合、交通の便もさることながら、「学校や保育園などへのアクセスのしやすさ」や「周辺の治安や通学路の安全性」なども希望条件に含まれる傾向が高いでしょう。このように、立地を選定する際には、入居希望者がどのような環境を希望するか、周辺環境や物件の構造などから想定してニーズとのすり合わせをしましょう。

購入価格

リノベーションに適した物件の価格は多種多様ですが、原則として物件価格は築年数に応じて下落傾向にあります。

つまり、リノベーションをして生まれ変わるからといって、「できるだけ古くて安い中古物件を選べばよい」わけではないのです。築年数が経過した物件の場合、耐震性や耐久性に問題があるケースも見受けられます。したがって、「修繕や耐震補強などにどれだけのコストがかかるか」が重要です。中古物件を購入する際には、購入費用だけでなく、物件の減価償却期間を考慮しながら、どれだけの修繕費を要するのか総合的なシミュレーションをするとよいでしょう

物件構造

物件構造によってリノベーションの難易度は変わります。

たとえば、主に木造で建築されている戸建ての場合は自由度が高いため、理想に近い間取りや雰囲気にあわせた材質を使用した物件へと生まれ変わらせることが可能です。しかし、マンションのリノベーションは、構造によって水回りの配置の移動が難しかったり、骨組みを付け足す土台強度が足りなかったりといった難点があります

その他、リノベーションができる範囲は、建築基準法やマンションの管理規約などによっても変わるため、理想のリノベーションを実現できるかどうかの事前確認が必要です。

築年数

築年数に応じて建物の劣化は激しくなります。ゆえに、「雨漏りはしないか」「シロアリによる躯体の被害はないか」などは、購入前に最低限確認するようにしましょう。

古い物件ほど物件価格は低いので、購入費を出来るだけ抑えたい人は古い物件に手を出したくなりがちです。しかし、あまりにも古い物件を購入してしまうと、毎月の家賃収入以上に多額の修繕費が毎月かかって、赤字運営となります

最適なリノベーション会社の選び方

リノベーション投資について相談するからには、ご自身と相性のよい不動産会社に依頼することが重要です。この章では、リノベーション会社の選び方についてご紹介します。

実績とノウハウが豊富か

リノベーション会社のホームページやチラシなどに、過去の実績や事例などが掲載されている会社はノウハウが豊富な傾向にあります。また、建築デザインコンテストでの受賞歴や顧客のレビューなどをとおして、会社の信頼性を確認することも効果的です。過去の実績や施工事例をみる際には、リノベーションの内容だけでなく、リノベーションした物件の築年数や工事費用、工期などもあわせてチェックしましょう。リノベーション期間中は家賃収入が得られないため、工期の長さによってかかる費用コストは変わります。余裕のある計画は、施工中のトラブルを未然に防ぐうえでも大切です。

改修希望内容と会社の得意分野のマッチング

リノベーション会社といっても、デザイン性に強みのある会社や、耐震設計を得意としている会社など一括りにできません。また、不動産の仲介から物件探し、設計やリノベーションの施行など一連の流れをどこまで自社でしているかも、リノベーション会社によって異なります。したがって、ご自身が思い描くリノベーションの理想形と、リノベーション会社の得意分野や担当範囲がマッチしているかどうかの見極めを事前におこないましょう。

打ち合わせやフォーロー体制の充実度

予算内で理想のリノベーション投資を実現するには、事前の詳細な打ち合わせが重要です。ゆえに、リノベーション会社を選ぶ際には、細かな部分まで相談に応じる会社を選ぶようにしましょう。また、会社の選定の際には、見積りや費用の相談を柔軟にしてくれるかといった、対応のフォロー体制の充実度も大切です。

アフターサービスの充実度

リノベーション会社の中には長期保証を設けている会社があります。長期保証とは、リノベーション後の長期間にわたって、設備や建材などの不具合を無償で定期点検や軽微な補修などを無料でメンテナンスしてくれるサービスです。ただし、アフターサービスの対象地域外の場合もあるため、サービスを受けられるエリアに物件が位置しているか事前に確認をしてください。

リノベーション物件を購入する選択肢もあり

中古物件の購入後にご自身の理想的な形に物件をリノベーションする方法だけはなく、リノベーション済みの物件を購入して投資運営するという選択肢もあります

リノベーション物件とは、中古物件がすでにリノベーションされて販売されている再販物件のことです。リノベーション物件の多くは、不動産会社が購入した中古物件を仕入れてリノベーションしてから再び販売しているため、売主は投資者ご自身ではなくリノベーション物件を取り扱っている不動産会社となります。

リノベーション物件に投資するメリットとしては「リノベーション工事の終了を待たずして投資がはじめられる」「物件の売り値は不動産会社によってすでに確定しているので、投資者ご自身の資産計画を立てやすい」といった点があげられるでしょう。

一方、リノベーション物件への投資には「投資物件をご自身でカスタマイズできない」「リフォーム前の物件の躯体などの状況がわかりにくい」といった難点もあります。したがって、リノベーション済みの物件への投資の際には物件の立地や外観といった表面的な印象だけでなく、専門家による住宅診断をしてもらえる「ホームインスペクション」を利用して物件の正確な情報を入手しましょう。

まとめ

本記事では、リノベーションのメリットとデメリットについて、物件選びのポイントも交えて解説しました。要点は次のとおりです。

  • リノベーションとリフォームは工事の目的やゴールが異なる
  • メリットとデメリットの理解がリノベーションの効用を高め、物件の収益性の最大化や投資リスクの回避につながる
  • リノベーション投資の物件選びは顧客のニーズ分析が重要である

リノベーション費用の予算や構想をある程度形作ったうえで、信頼できるリノベーション会社に相談すると、ご自身の理想にマッチしたリノベーション投資の実現に近づきます。今回ご紹介した内容を、ご自身のリノベーション投資にぜひお役立てください。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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