東南アジアは、現在不動産投資において注目されています。
日本の人口が減少する中、逆に人口がどんどん増えている地域ばかりです。
不動産投資をするにあたって、それぞれの国にはどのような特徴があるのでしょうか。
また、気を付けるべき法制度はどんなものがあるのでしょうか。
こちらの記事で解説していきますので、ぜひ最後までお読みください。
まずはタイについてみていきましょう。
首都 | バンコク |
言語 | タイ語 |
通貨/レート | 1バーツ(THB)=3.34円(2020年9月30日時点) |
著者作成
2018年現在の人口は約6,900万人です。
人口成長率は0.3%となっています。
都市化率とは、都市部に住む人口の割合です。
タイの都市化率は2015年に50%を超え、その後も都市化が進むと予測されています。
また、首都バンコクに隣接し、スワンナプーム国際空港のあるサムットプラーカーン県の人口増は特に著しく、2020年には100万人を超える見込みです。
タイの2017年の名目GDPは約4,500億US$です。
2000年の約1,200億US$と比べて3.5倍以上になっています。
2022年には約6,200億US$の予測となっており、今後も伸びていく見込みです。
出典:経済産業省
タイでは、前述のように2000年以降大きく経済が成長しています。
経済の伸長を牽引してきたのは、主に自動車業界です。多くの日本の自動車会社もタイに進出してきました。
自動車業界を中心とした経済の発展に伴い、平均所得が増加しており住宅需要も増加しています。
上位5都市の人口から分かるように、現状で人口はバンコクに集中しています。
タイで不動産投資を行う際は、バンコクですることがオススメです。
タイの不動産は、日本と比べて安価で購入が可能です。
首都のバンコクでも2,000万円前後が相場となります。
また、タイには日本人が多くいるため、現地でも日本人の業者を見つけることが可能で、コミュニケーションや情報収集に困ることも少ないといえるでしょう。
タイは日本人が多く投資しやすい国ではありますが、軍事や政治面での不安要素があるため、実際に投資をする際には政治情勢について注意する必要があります。
引用:
各コンドミニアムの外国人または/及び第一九条の規定に基づく法人のユニット所有権は、第六条に基づきコンドミニアム登録を申請した時に、合計所有面積がそのコンドミニアムの全ユニット合計面積の四九%以下でなければならない
つまり、コンドムニアム一棟につきユニット面積の49%までしか所有できないというものです。
引用:
第八六条
外国人の土地取得は不動産所有権を規定した条約により、本法典の規定下に置かれる。
第八四条の規定下に、居住地として使用する、商業、工業、農業、墓地、慈善または宗教上の事業を営むために土地を取得する当該外国人は、省令により定めた要件及び方法に従い、大臣から許可を得なければならない。
第九六条の二
第八六条第一段に基づく条約に依拠した外国人の土地取得の規定は、省令で定めた4000万バーツ以上の投資金を持ち込み、大臣の許可を得て1ライ以下の居住地として土地を取得した外国人には適用しない。
つまり、外国人は4,000万バーツ(2020年9月30日時点では約1億3,360万円)以上の投資金を持ち込むことで、1ライ(1,600平方メートル)までの土地の所有許可が得られます。
言い換えれば、それだけの資金がない外国人は土地を購入することはできません。
続きまして、フィリピンの不動産投資についてみていきましょう。
首都 | マニラ |
言語 | 国語はフィリピン語、公用語はフィリピン語及び英語。 80前後の言語がある |
通貨/レート | 1 フィリピンペソ(PHP)=2.18円(2020年9月30日時点) |
著者作成
2014年に人口が1億人を突破しました。2018年時点で1.06億人となっていて2030年には1億2,000万人を超える予測となっています。
フィリピンにおいて人口が一番多い都市は、首都のマニラではなくケソンになっています。マニラは人口の増加が緩やかですが、ケソンは急激に伸びてきています。
フィリピンの2017年の名目GDPは3,136億US$であり、2022年には約4,554億US$に達すると予測されています。2022年の予測値は2000年から見ると5倍以上になっており、急速に経済発展を遂げていることが分かります。
出典:経済産業省
フィリピンも2000年以降、大きく経済が成長しています。
不動産価格は他のアジアの国と比較して安く、物件価格の上昇や高利回りが期待できる国です。
一方で、フィリピンでは、建設予定の物件が完成しない「竣工リスク」が比較的多いようです。
中古物件であれば、このリスクを回避できますが、新築を購入する場合は、エージェントとのコミュニケーションを欠かさず取るようにしましょう。
安価で投資用不動産の購入ができます。経済の成長や人口の増加に伴い、今後の物件価格の上昇が見込まれ、高利回りでの運用が期待できます。
日本ではあまり考えられませんが、フィリピンでは「竣工リスク」といって建設予定の物件が完成しないケースが多いようです。信頼のできるエージェントを探す必要があります。
コンドミニアム・ユニット所有者で構成される別法人(コンドミニアム企業):外国人や外国法人が所有するユニット数は、コンドミニアム全ユニット数の40%未満でなければならないという規定があります。
出典:国土交通省
フィリピンの国籍を有しない外国人は土地の購入ができません。フィリピン資本が60%以上である法人だけが購入を認められています。
3つ目はベトナムの不動産投資についてみていきましょう。
首都 | ハノイ |
言語 | ベトナム語 |
通貨/レート | 1 ベトナムドン(VND)=0.0046 円(2020年9月30日時点) |
著者作成
ベトナムの人口は、2018年時点で9,554万人になっています。
今後も増え続け、2030年には1億人を突破する見込みです。
2000年の人口で上位5つの都市を見ると、ホーチミンの人口の多さが圧倒的です。
近年、ハノイにおいて人口増が目立つようになってきています。
一人当たり名目GDPは2016年に2,000US$を突破しました。
2022年には約3,300US$を超え、2000年の10倍以上になると予測されています。
出典:経済産業省
ベトナムは、ホーチミンや首都ハノイに多くの人口があります。両都市には、日本企業の進出もあり多くの日本人も住んでいます。不動産投資を行うのであれば、いずれかの都市で行うと良いでしょう。
ベトナムも安価で投資用不動産の購入ができる上に、経済の成長や人口の増加に伴って、今後の物件価格の上昇が見込まれ、高利回りでの運用が期待できます。外国人による土地の所有を認めていない国が多い中、ベトナムでは土地も含めた不動産の所有が認められています。
他の国では、通貨の持ち出し規制があり自由に送金できない可能性があります。また、ベトナム人以外は、基本的に中古物件を購入することはできません。
ベトナムでは、ドン(通貨)の海外への持ち出しに対する規制があり、他の国と比べて海外への送金の難易度が高くなっています。また、ドンはそれほど信用のある通貨ではないので、留意が必要です。
外国人が不動産を所有できるのは、基本的に50年までとなっています。また、外国人が中古の物件を購入することができませんが、外国人が所有している物件の場合は、50年のうちの残りの使用権を引き継ぐことはできます。
4つ目の国はマレーシアをみてみましょう。
首都 | クアラルンプール |
言語 | マレー語、英語、中国語、タミール語 |
通貨/レート | 1 マレーシアリンギット(MYR)=25.53 円(2020年9月30日時点) |
マレーシアの人口は、2014年に3,000万人を突破。人口成長率は2~1.5%程度で推移しているが、近年減少傾向にあります。
2000年の人口で上位5つの都市を見ると、特にクアラルンプールにおいて2000年から2020年の人口増が顕著であります。
一人当たり名目GDPは2011年に10,000US$を突破したが、2020年には約13,000US$程度になると予測されています。
出典:経済産業省
マレーシアでは、南部のジョホール州の2006年より始まった「イスカンダル計画」という大規模な開発プロジェクトがあります。
これによって、第2の都市であるジョホールバルでは人口も増加し、コンドミニアムの販売も盛んに行われていました。
計画通りに発展を遂げていれば有力なエリアとなっていましたが、中々進捗していないようです。
マレーシアは、やはり人口数が圧倒的な首都クアラルンプールで不動産投資を行うのが良いといえるでしょう。
マレーシアは、今後も経済の成長が見込まれています。物件価格の上昇が見込まれ、高利回りでの運用が期待できます。
不動産取得に必要な認可が下りるのに時間がかかるのが難点です。また、州によっては外国人に対して土地の所有権を認めていないこともあるので注意が必要です。
不動産の売買契約の締結が完了した後、物件のある管轄エリアに申請を行わなくてはなりません。この申請を行ってから認可が下りるまでは、3ヶ月ほどかかります。物件を1件のみ購入するというケースであれば、待っていれば基本的に認可が下りるというのが一般的です。
スランゴール州(クアラルンプールを取り囲んでいるエリア)では、そもそも外国人に対して土地の所有権を認めていません。
マレーシアの土地の権利には、「フリーホールド」と「リースホールド」があります。フリーホールドとは、土地の「所有権」のことです。土地を永久的な権利として登記します。リースホールドとは、マレーシア政府によって定められる30年または60年または99年の「借地権」のことです。
多くの方が99年で契約を結んでおり、さらに更新が可能なことから、実質フリーホールドと差はないといえるでしょう。
最後にカンボジアの不動産投資をみてみましょう。
首都 | プノンペン |
言語 | 公用語:クメール語(96.3 パーセント)、少数民族言語(2.9 パーセント)、ベトナム語(0.5 パーセント)等 |
通貨/レート | 1 リエル= 0.026 日本円(2020年09月30日時点) |
2018年の人口は約1,600万人。人口成長率は1.5%となっています。
首都プノンペンの人口は、200万人近くまで増加すると予測されている。今後も人口が増加していく予測です。
カンボジアは、サブプライムローン問題に端を発した世界同時不況の影響を受け、2009年の経済成長率は0.1%まで落ち込んだものの、翌年の2010年には6.0%にまで回復し、2011年以降は7%前後で成長を続けています。
出典:経済産業省
カンボジアは、今回紹介した5か国の中で人口が一番少なく、GDPも最も低いものの成長率が高く、国の発展とともに今後の不動産価格が上昇していく可能性を秘めています。
カンボジアの通貨は「リエル」ですが、首都プノンペンやその他の主要都市では「米ドル」通貨での決済がメインになっています。
これは、他の東南アジア通貨の為替リスクを回避できるという点が、大きな魅力です。
経済成長率が高く、今後も不動産価格が大きく上昇していく可能性が高い国です。なお、「米ドル」を主要な決済方法としており、東南アジア特有の為替リスクを回避することが可能です。また、外国人であっても銀行口座の開設は比較的簡単です。
外国人の土地の所有が認められていません。よって、一戸建てやアパートの所有は難しい状態です。また、「竣工リスク」も少なからずあるようです。信頼できる不動産会社に相談することで回避しましょう。
カンボジアにおいて、外国人が土地の購入及び所有をすることはできません。戸建てや、一棟アパートを所有することは、事実上困難になっています。
外国人は、建物の2階より上しか購入することができません。外国人が建物の地下や1階を購入し、所有することはできなくなっています。
いかがでしたでしょうか。東南アジアは人口が増え、経済も大きく成長しているので不動産投資は、非常に魅力的です。
一方で、それぞれの国で規制等もあり、日本で不動産投資をするよりも注意が必要となります。興味のある方は、東南アジアの不動産を扱っている不動産会社に相談してみると良いでしょう。