転勤のある方で、異動を命じられた場合にマイホームをどうするのかは、頭を悩ます問題です。
単身赴任を選択すれば、マイホームはそのままで大丈夫ですが、家族も一緒に引っ越しとなる場合は、いくつかの選択肢の中から判断しなければなりません。
「貸す」のか、「売る」のか、一定期間「そのままにしておく(=空き家)」のか。こちらの記事では、それぞれのパターンに応じた最善策を解説していきます。
半年~1年以内に帰ってくる場合は、売却することはオススメしません。
貸すにしても、1年以内の短期で借りてくれるような方を見つけることは中々難しいです。
仮に、借り手がついたとしても、入居前には、クリーニングやリフォームなどが必要になるケースもあり、費用がかかってきます。
クリーニングやリフォームをしなくても、借りてもらえるような関係性の方(例えば親戚や身内の方)に短期的に貸すのが最善の選択肢といえるでしょう。
半年~1年以内に帰ってくる場合は、無理に借り手を探さずに「そのままにしておく=空き家」も決して悪い選択ではありません。
2~3年以内に帰ってくる場合は、そのままにしておく(=空き家)は非常にもったいないです。
もし気にいっていないのであれば、「売却」を第1の選択肢にした方が良いですが、そうでないなら「貸す」ことがオススメです。
もちろん、エリアの状況を鑑みて「賃貸需要」が低い場合は、「売却」の一手しかないケースもあります。
もし、「貸す」場合は、注意しなければいけないことがあります。
1点目は、「借入れをしている銀行への相談」です。
住宅ローンは、借りている方自身が住むためのもので、他のローンと比べて金利などが優遇されています。
「自身の住宅」と「不動産投資用」のローンを両方抱えている方は、種類も異なり金利に差があります。
このため、銀行に相談せずに貸してしまうと、ローンの種類が変更になり、金利も上昇してしまうケースがあるので注意が必要です。
銀行に事前に相談しておくことで、転勤の間は、ローンの種類や金利をそのままにしておいてもらえるケースが一般的です。
2点目は、「賃貸契約の種類」です。
賃貸契約には、「普通借家契約」と「定期借家契約」とがあります。
もし、2~3年以内に帰ってきて、再び元の家に住みたい場合は、「定期借家契約」にしなければなりません。
ほとんどの賃貸物件は、普通借家契約になっています。
普通借家契約は入居者が住み続けたいといえば、基本的には継続的に住み続けることができるので、帰ってきても元の家に住むことが出来ない可能性があるのです。
定期借家契約にしておけば、契約の終了とともに必ず退去してもらえます。
3年以上帰ってこない場合、もしくは帰ってくるかどうか不明の場合は、「売却」を第1の候補にした方が良いでしょう。
もし、3年間以上借り手がつかないとなると住宅ローンや固定資産税、火災保険などの保険料だけが発生し続けることになります。
転勤した方の多くは、引っ越し先でも家賃などを支払っているケースが多く、住宅ローンと家賃の二重負担によって家計を圧迫する可能性が高いです。
売却の際の最大のネックは、「思い入れのある」家を手放さなければならないことです。
しかし、いつまでも2重契約によって生活が苦しくなってしまうことや、売却によって得られる資金を何らかの形で使えることを鑑みると、悪いことばかりではありません。
物件を売却する際には、転勤するタイミングに合わせて計画的に対応することをオススメします。
例えば、転勤するまでに購入希望者が見つからず、転勤したあとに内覧対応などをしなければならなくなってしまったら大変です。
投資物件とは異なり、自宅として購入を検討されている方は内覧をせずに物件を購入する方はほとんどいません。
一方で、希望日に内覧が出来なかったという理由で、他の物件に決められてしまう可能性もあるので、対応しないわけにはいきません。
内覧の希望者が出る度に元の家に戻る負担が出てきてしまいます。
どんなビジネスでも「安く仕入れ、(付加価値をつけて)高く売る」というのは基本です。
それは、物件購入においても同じです。
急いで売却しようとすると、足元を見られて「安く」買いたたかれてしまう可能性があります。
急いで売却したあまりに100万円単位で損をしたという方もいらっしゃいますので、注意が必要です。
以上の2点から、念入りに準備しておくことの重要性がご理解いただけるのではないでしょうか。
では、うまく売却するにはどうしたらいいでしょうか。
大きく下記2つのポイントが挙げられます。
売却する側の事情やスケジュール等で、売却方法が異なってきます。
また、残債の有無、不動産の相場なども状況によって異なります。
「いくら手元に残すべきか」や「いつまでに売却する」のか、予め不動産会社に伝えておくことが重要です。
実際に売却依頼をする前に、自分の家はいくらで売られるかの概算金額を把握しておく必要があります。その際に当サイトに掲載されている「一括査定」をぜひ利用してみてください。
不動産を売却する際の「媒介契約」には、以下の3種類があります。
著者作成
REINS(レインズ)とは、「REAL ESTATE INFORMATION NETWORK SYSTEM」の略です。
国土交通大臣より指定を受けた、不動産流通機構が運営しているコンピューターネットワークシステムのことを指します。
不動産の物件情報を登録して、不動産取引関係者が情報を共有することができるシステムです。
リアルタイムで情報交換を行うことができ、取引の拡大が図れます。
3種類の媒介契約の違いを見ていきます。
大きな違いは、「専属専任媒介」と「専任媒介」は1社のみとの契約で、「一般媒介」は複数社との契約ができる点です。
「専属専任媒介」と「専任媒介」は、法律上の規制が厳しく、売主への業務報告義務もあることから安心感はあります。
また、契約が成立した際には、仲介手数料を必ず得られるので、きちんと活動してくれる可能性が高いです。
その一方で「一般媒介」は最終的に売買を成立させた1社のみが仲介手数料を得られるので、各不動産会社が競いあってくれるというメリットがあります。
任せたいと思える不動産会社が複数ある場合は、こちらを選択しても良いでしょう。
なお、「専属専任媒介」は、購入希望者との直接取引が禁止されています。
もし、親戚や身内で購入希望者がいても仲介手数料を支払わなくてはなりませんので、身近に売る可能性がある場合は、「専任媒介」または「一般媒介」にしておくと良いでしょう。
いかがでしたでしょうか。
転勤になった際のマイホームについて、おすすめは以下の選択肢です。
そのままにしておく、または親戚、身内に短期で貸す
定期借家契約で貸す
売却する。念入りに準備を行う
こちらの記事を参考にしていただき、ご自身に合った最適な選択肢をしていただけると幸いです。