不動産投資の一つであるREIT(不動産投資信託)を検討している人なら、REIT指数について、一度は上記のような疑問を持ったことがあるのではないでしょうか。一方、日経REIT指数は、新しくできた指数なので、聞いたことがない方も少なくないでしょう。
では、REIT指数や日経REIT指数とは、どういったものなのでしょうか?
REIT指数とは、REITの値動きや推移を指数化したものです。この値動きの動向を把握することで、投資を行う時期などをより具体的にできます。そして、REIT指数より、さらに具体的に投資を行うために必要なのが、日経REIT指数になります。
この記事では、REITの基本的な知識からREIT指数の特徴や種類について、詳しく解説していきます。ぜひ最後まで読んで、参考にしていただけると幸いです。
REITとは、不動産を中心として金融商品のことを指します。
まず、不特定多数の投資家から集めた資金を利用して、投資法人がマンションや商業施設などの不動産を購入します。そして、その収益から、投資した人に分配金や配当が配られる仕組みです。
メリットは以下の4つです。
それぞれについて、解説していきます。
REITは、1口の価格が約1〜100万円で売買されています。一方で、一般的な不動産投資の場合は、諸経費だけでも100万円以上の金額が必要になるケースが多いです。そのため、一般的な不動産投資と比べて、とても小額で投資ができます。
REITは不動産投資の専門家が投資物件を決めて、運用していきます。また、物件の管理や維持も投資法人が行ってくれるため、手間や経費がかかりません。
このように、専門家が運用してくれるため、不動産投資の知識があまりない初心者の方や本業が忙しくて物件の管理ができない方におすすめです。
REITは多数の物件を組み合わせて運用しているので、リスク分散が最初からされているため、安定性が高いです。また、投資対象は、マンションだけでなく、オフィスビルや商業施設、ホテルなどの多岐に渡っているという特徴もあります。
そのため、投資対象の種類が多い複合型や総合型のREITに投資することで、よりリスクを分散することが可能です。
REITは、上場株式と同じように、証券市場で購入することが可能です。証券市場で取り扱っていることによって、オンラインの取引ができるので、好きなときに買って、売りたいときに売ることができます。
このように、REITは換金性や流動性が一般的な不動産投資よりも非常に高い投資方法です。そのため、いざという時に、すぐ現金化できるのは、大きなメリットといえます。
デメリットは以下の4つです。
それぞれについて説明します。
REITを購入する資金を金融機関は融資してくれません。一方で、実物不動産投資においては、金融機関から融資を受けることが可能です。
そのため、少ない自己資金で、高額な資金で投資ができるため、実物不動産投資はレバレッジが大きいです。このように、少ない資金で大きな収益をあげるには、REITは向いてないといえます。
REITの価格は投資家の需要と供給によって決まります。そのため、新型コロナウイルスなどの大きな変化が起こった場合には、値段が大きく変動するため、リスクが高いです。
実際に、2020年1月には、5,000円を超えていたREITの基準価格がコロナによって、約半額になりました。このように、実物不動産投資に比べて、値段が大きく変動するため、リスクが高いといえます。
不動産を運用しているため、投資先の物件が台風や地震などで、被災すると収益がなくなる可能性があります。特に、日本は自然災害が発生しやすい国なので、これらの影響は大きいです。
このようなリスクを少しでも防ぐために、REITの地域別取得額比率を確認することが大切になります。
この地域別取得額比率は、どこの地域の不動産を運用しているのかがわかるため、投資するときに複数の地域で運用しているものを選ぶようにしてください。
投資法人が倒産すると、REITの上場が廃止されます。また、証券取引所の上場廃止基準に該当すると、上場廃止になってしまうリスクもあります。
では、仮に投資法人が倒産すると、どうなるのでしょうか?
投資法人が倒産すると、不動産が売られて売った金額から投資家に返金がされます。しかし、不動産の売却金で返金するため、不動産を購入したときよりも不動産価値が下がっていたなら、投資金額のすべては返金されません。
REITのメリットやデメリットについて、説明してきました。そのため、実物不動産投資とREITの違いも少し理解できたと思います。災害のリスクがあることなどは、同じ不動産のため、共通点も多いです。
では、より違いをわかりやすくするために、図で説明します。
主要な違い | 実物不動産投資 | REIT |
---|---|---|
投資対象 | 一戸建て、マンション、アパート | マンション、アポート、オフイスビル、商業施設、病院、ホテル、その他多数 |
所有権 | あり | なし |
投資資金 | 諸経費・頭金などの資金が必要 | 1万円から可能 |
融資を利用できるか | 利用できる | 利用できない |
維持管理 | 投資家、管理会社 | 投資法人 |
収益を得られる時期 | 毎月 | 年1〜2回の決算時 |
流動性 | 低い | とても高い |
分散投資 | 複数物件を所有する必要があるため難しい | 可能 |
災害のリスク | あり | あり |
金利のリスク | あり | あり |
ここまで、REITの特徴を詳しく説明してきました。
では、実際にREITを購入しようと思っても、種類が多く、どれがいいのかわからないと思います。そこで、日本のREITであるJ -REITの主な種類について、解説していきます。
事業所や住居といった1種類の不動産で構成されたREITです。
一つの種類に特化しているため、景気などの一つの出来事によって、影響が受けやすいことが特徴になります。
例えば、ホテルであれば、景気が良ければ大きなリターンを期待できますし、悪ければ予想していた収益よりも低い可能性が高いです。
複数用途型は、2種類以上の投資対象を組み合わせたものです。複数の投資対象で構成されているため、リスクを分散してくれます。
そのため、価格の変動が単一用途型よりも安定しているのが特徴です。
例えば、住宅と商業施設を組み合わせた複合型や住宅、倉庫、病院といった3種類以上を組みわせた総合型があります。
REITを取引するうえで重要な指標がREIT指数です。このREIT指数を見ながら、取引を行う人がほとんどでしょう。
しかし、今まで参考になる指数は東証REIT指数しかありませんでした。
そこで、日経平均株価指数なども算出している日経新聞社が、より目的に合ったREITが選べるように開発したのが、「日経ESG-REIT指数」と「日経高利回り指数」です。
この2つは2020年7月20日に算出が始まった、新しい指数になります。
この章では、「日経ESG-REIT指数」と「日経高利回り指数」について、詳しく説明していきます。
日経ESG-REIT指数は、日本経済新聞が2020年7月20日から算出と公表を始めた新しい指数です。
投資において、世界的な観点の一つになるESG評価を不動産投資指数に取り入いれることで、REIT市場において、どの程度ESGの取り組みが行われているかがわかります。
算出方法は、東京証券取引所に上場しているすべてのREITから流動性の低い銘柄を除いたものを対象としており、これらの銘柄に「ESGの取り組み」という要素を加えたもので、指数の算出をしています。
くわえて、毎年11月末に銘柄の見直しを行うことで、指数としての信頼性を高めているのです。
「ESGの取り組み」だけでは少しわかりにくいと思われている方もいると思いますので、続いてESGの評価基準について、解説してきます。
(参考)日経ESG-REI指数のURL:https://indexes.nikkei.co.jp/nkave/index/profile?idx=nkesgreit
ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、カバナンス(Governance)の頭文字をとったもので、これらの要素が企業の長期的な成長に必要な観点であるという考え方です。
つまり、ESGの観点が薄い企業は、大きなリスクがある企業で、長期的な成長ができないということを指しています。
この考え方は世界的に広まってきており、株式投資なども機関投資家を中心にESGを考慮した投資が行われています。このように、ESGは投資の世界において、注目されている要素です。
日経ESG-REIT指数では、ESGの評価をどのように行っているのでしょうか?利用している評価方法はオランダの評価機関である「GRESB」による採点方法です。
例えば、REITが水の使用量を注視しているのか、従業員の労働環境が健全なのか、といったものを80項目チェックして、採点をします。その採点したデータをもとに、5段階で格付けを行うのです。この「ESGの取り組み」について、5段階で格付けした評価と時価総額を掛け合わせて、指数の算出を行っています。
日経ESG-REIT指数と同じく2020年7月20日に算出を開始した指数が日経高利回りREIT指数です。この指数を開発した理由はつぎの通りです。
REITは株式よりも利回りが高いことで投資家から強い関心を持たれてきました。
しかし、上場する銘柄が増えてきたことにより、銘柄ごとの利回りの格差が広がってきています。
そこで、より高い利回りの銘柄に絞った指数を作成することで、投資家が注目している銘柄の動向をわかりやすくすることが目的です。
算出方法は東京証券取引所に上場している全63銘柄のうち、利回りの高い35銘柄を算出対象にしています。
これらの時価総額に利回りを掛け合わせて、指数化しています。この指数も構成銘柄を毎年5月に見直すことで、指数の信頼性を高めています。
(参考)日経高利回りREIT指数のURL:https://indexes.nikkei.co.jp/nkave/index/profile?idx=nkhyreit
東証REIT指数とは、東京証券取引所が算出している指数です。東京証券取引所に上場している全ての銘柄を対象に算出されており、REIT全体の動向を表しています。算出方法は、現在の時価総額合計を基準日である2003年3月31日での時価総額合計で割ることで算出しています。
このように、東証REIT指数は、REIT市場の動向や過去の推移を把握するうえで、非常に有用な指数です。また、この東証REIT指数と日経RETI指数を比較することで、それぞれの指数の特徴や動向がわかりやすくなります。
(参考)東証REIT指数のURL:https://quote.jpx.co.jp/jpx/template/quote.cgi?F=tmp/real_index&QCODE=155
ここまで、REITやREIT指数について詳細に説明してきました。ご理解頂けましたでしょうか。投資のタイミングや投資の方向性をより具体的にするには、REIT指数の特徴や種類について、正確な知識を持つことが重要と言えます。
こちらの記事をお読み頂き、よりREIT指数について深く理解して頂けたら幸いです。