国土交通省よりスマートシティ先行モデルプロジェクトが公表されています。
これによって、不動産投資に与える影響はどのようになっていくのでしょうか。
こちらの記事では、スマートシティと不動産投資との関連について解説していきます。
スマートシティとは、IoTの先端技術を取り入れた都市のことです。
IoTとは、Internet of Thingsの略で「モノのインターネット」のことを指します。
先端技術を用いることによって、さまざまなインフラやサービスなどを効率よく運営することを目指しています。
また、環境などにも配慮しつつ、生活の質を向上させていき持続的な経済発展を目指そうという次世代型の都市というわけです。
全世界でこのスマートシティ化を推進する動きがありますが、日本国内においても既にプロジェクトが立ち上げられてスタートしています。スマートシティを構成する要素としては、以下のようなものがあります。
国土交通省から公表された資料によると、以下の地区においてプロジェクトがスタートしています。
番号 | プロジェクト実施地区 | 対象区域 |
1 | 北海道札幌市 | 市の中心部および郊外 |
2 | 秋田県仙北市 | 市全域 |
3 | 茨城県つくば市 | 市全域 |
4 | 栃木県宇都宮市 | 市全域 |
5 | 埼玉県毛呂山町 | 町全域 |
6 | 千葉県柏市 | 柏の葉キャンパス駅周辺 |
7 | 東京都千代田区 | 大手町・丸の内・有楽町エリア |
8 | 東京都江東区 | 豊洲エリア |
9 | 静岡県熱海市・下田市 | 熱海市市街地・下田市市街地 |
10 | 静岡県藤枝市 | 市全域 |
11 | 愛知県春日井市 | 高蔵寺ニュータウン |
12 | 京都府精華町・木津川市 | けいはんな学研都市 |
13 | 島根県益田市 | 市全域 |
14 | 広島県三次市 | 川西地区 |
15 | 愛媛県松山市 | 中心市街地西部 |
16 | 埼玉県さいたま市 | 大宮駅・さいたま新都心駅周辺地区 |
17 | 東京都大田区 | 羽田空港跡地第1ゾーン |
18 | 新潟県新潟市 | 中心市街地 |
19 | 愛知県岡崎市 | 乙川リバーフロント QURUWA地区 |
20 | 大阪府大阪市 | うめきた2期地区・夢洲地区 |
21 | 兵庫県加古川市 | 市全域 |
22 | 熊本県荒尾市 | 南新地地区 |
※1~15は、令和元年5月31日に選定
※16~22は、令和2年7月31日に追加選定
出典:国土交通省
地方都市においては高齢化が進む中、市街地が拡散しまうことによる人口密度の減少及び、大都市においては、高齢者が急増していることなどを背景に、改正都市再生特別措置法が施行されました。
この法律の中にあるのが「立地適正化計画」です。
立地適正化計画の中に「居住誘導区域」というものがあります。
端的に言うと、居住を誘導して人口密度を維持するエリアを設定するというものです。
区域内においては公営住宅を除却し、区域内で建て替える際の除却費の補助に予算を割くとしています。
また、景観計画の提案制度で居住環境の向上が図られる見通しです。
区域外においては、住宅開発を許可制などにすることで、居住がコントロールされる見通しです。
出典:国土交通省
東京都内では、どのようなスマートシティモデル事業があるのでしょうか。
3つ紹介していきます。
前述したスマートシティ先行モデルプロジェクトの17番に該当するエリアです。
このプロジェクトを手掛ける羽田みらい開発株式会社に対して、鹿島建設株式会社や東日本旅客鉄道株式会社など9社が出資しています。
「天空橋駅」に直結する延床面積約13 万㎡超の大規模複合施設です。
羽田空港に隣接し、国内外への情報発信に優位な立地を最大限に活かし、新たな体験や価値を創造・発信する未来志向のまちづくりを推進しています。
2020年9月18日より、IoTを活用したトイレの空き時間表示が稼働を開始しました。
施設内のトイレについて、センサーを用いて空室情報の発信を行い、インフォメーションコーナーに設置されているデジタルサイネージに表示させることで、混乱を避けて利用できるようになります。
こちらも2020年9月18日より稼働が開始しました。
運転手不足の解消に向けて、特別装置自動車を自立走行バスとして運行スタートしました。
技術の高度化を図り、将来的には施設外での循環バスにも転用する予定になっています。
前述したスマートシティ先行モデルプロジェクトの7番に該当するエリアです。
新交通ゆりかもめ「市場前」駅から豊洲ぐるり公園・晴海運河に至る歩行者空間が、交通広場の上を覆う約1,700㎡もの大規模オープンスペースと一体となり、来街者の憩い・交流の場となるとともに、スマートシティを体感するメインステージとなります。
オープンイノベーションにより豊洲エリアを起点とした次世代まちづくりを展開していきます。
出典:清水建設
大手町・丸の内・有楽町のスマートシティでは、「データ利活用型エリアマネジメントモデル」というものを確立して、他でも展開することを目指しています。
デジタルと都市を高度に融合して、都市のリアルタイムデータを収集します。
従来は、経験則などで判断してきた部分も含めて、データに基づいた意思決定を行う「エリアマネジメントのデジタルトランスフォーメーション(DX)モデル」を構築するとしています。
これにより都市の状況をリアルタイムに可視化・分析・シミュレーション等をすることが可能になり、まちの「創造性・快適性・効率性」が飛躍的に向上し、その価値が増大していくことを目論んでいます。
スマートシティに限らず、開発が進んでいるエリアは人口が増加し、地価や不動産価格が上昇していく傾向が強いです。
「品川開発プロジェクト」においても、高輪ゲートウェイ駅周辺の地価は上昇しています。
スマートシティの市場規模は、今後も大きく成長していく見込みです。
出典:東洋証券
スマートシティの開発対象となっている市区町は、地価が上昇する可能性を秘めています。
上昇する前に投資することができれば、出口戦略を考えた際にも非常に有利となります。
都内であれば、こちらの記事で紹介した3つのプロジェクトエリアを中心に投資用不動産を探してみると良いでしょう。
地方では、物件価格が安く元々高利回りが期待できる物件が多くありますが、スマートシティの開発によって、想像を上回るような価格上昇をみせる物件が出てくるかもしれません。
もちろん、どのエリアもすぐに開発が進むわけではないので、長期的な視点が必要ですが、じっくり待つことができる方は投資先として、とても有望と言えます。
いかがでしたでしょうか。
スマートシティ先行モデルプロジェクトの一部紹介をしてきました。
スマートシティ開発が行われるエリアでは、不動産投資にも少なからず影響してきます。
有利に進めたい方は是非、不動産会社に相談してみると良いでしょう。