不動産投資とは

レインズの不動産情報とは?活用方法や登録のメリット・デメリット

2020/11/13
レインズの不動産情報とは?活用方法や登録のメリット・デメリット

レインズとは「Real Estate Information Network」の略称で、公益社団法人の不動産流通機構が運営する不動産情報に関するネットワークサービスです。レインズは全国の売物件や成約情報などが一元化されているため、効率的に不動産情報を確認できます。

 今回は、レインズとは何かについて、不動産情報の活用方法や登録のメリット・デメリットなどを交えてみていきます。

 レインズの不動産情報とは

レインズの不動産情報はどのような役割があるのか、レインズの基本的な部分をみていきましょう。

 レインズの基本的な役割

レインズには基本的に次のような3つの役割があります。

  1. 不動産情報を集約し、円滑で素早い物件検索ができる
  2. 豊富な成約事例から、物件売買の適正価格がわかる
  3. 依頼した不動産の売却活動が適正に行われているか確認できる

このようにレインズは物件情報の把握の効率化や、スムーズな取引成立に寄与しており、投資者が納得した取引をするうえで重要です。

レインズへの登録の有無について

レインズへの登録の有無は不動産会社との契約の形態によって異なります。レインズへの登録が法律上義務付けられているのは「専任媒介契約」もしくは「専任専属媒介契約」です。

 専任媒介契約と専任専属媒介契約は不動産仲介業者1社だけに依頼する契約を指します。ただし、専任媒介契約は専任専属媒介契約とは違い、売主が自分で売買相手を見つけてきた場合、不動産会社を通さずに直接売買契約ができます。一方、専任専属媒介契約は専任媒介契約よりも売主や買主にとって拘束力が強いため、契約期間は3ヵ月以内となっており、売主の依頼から5日以内にレインズへの登録が義務付けられています。

レインズの不動産情報を閲覧できる人

レインズの不動産情報を閲覧する人には2つの条件のいずれかを満たす必要があります。

 条件1 : 宅地建物取引業を営むことを目的とした宅地建物取引業免許の取得者。

 条件2:次の不動産流通機構の構成団体のいずれかに入会していること。

  1. 各都道県の宅地建物取引業協会
  2. 全日本不動産協会
  3. 不動産流通経営協会
  4. 全国住宅産業協会

つまり、一般人がレインズを参照できるのは難しいのが現実です。ゆえに、レインズの情報を元に不動産を売却したいという人は不動産会社に物件の取引相場を相談する必要があります。

 レインズの不動産情報の活用方法

レインズの不動産情報を活用する代表的な方法は2つあります。

活用1:物件の相場比較

レインズは全国の物件取引情報が集約化されているので、物件の相場を比較する際に役立ちます。物件の取引価額の目安が把握できれば、売主が相場よりも安く物件を売ってしまったり、買主が高く物件を購入してしまったりといったギャップの防止が可能です。

活用2:媒介契約を依頼した不動産情報の登録

先述した通り、専任媒介契約と専任専属媒介契約の物件についてはレインズへの登録は義務なので、必ず行う必要があります。その際に登録する不動産情報は次の通りです。

  1. 登録前調査や法律に基づいた的確な不動産情報と図面
  2. 媒介契約物件情報の登録
  3. 詳細情報(間取り図・外観写真・画像・案内図・地図など)の登録

注意すべき点は一般媒介契約を締結した場合におけるレインズへの登録は任意であり、義務ではない点です。また、契約形態の要素以外にも「駅まで徒歩10分以内」「築浅物件」「低価格」の物件は、好条件なのでレインズに登録して他の不動産業者の協力を得ずとも両手仲介が見込めます。したがって、自社で買い手が見つかる物件についてはレインズに登録しないケースもあります。

 レインズに不動産情報を登録するメリット

レインズに不動産情報を登録すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。買主側と売主側に分けてメリットをそれぞれ解説します。

買主側のメリット

レインズに不動産情報を登録する買主側のメリットは「情報の入手のしやすさ」です。レインズに登録された不動産情報は、不動産ポータルサイトにも掲載されやすくなるため、条件に合致する不動産情報をスピーディーに探せます。また、レインズに登録された物件情報は市場の適正価格に近いので、安心して物件への投資も検討できます。

売主側のメリット

レインズに不動産情報を登録する売主側のメリットは「早期売却が実現されやすい点」です。レインズの不動産情報は全国で共有されているので、国内のほぼ全ての不動産業者から買手を探してもらえます。

 また、レインズの膨大な取引事例から類似物件を参照し、市場の動向や適正な売却価格の参照もできるので、物件ごとの適正売却価格が分かります。客観的でフェアな価格があらかじめ把握できていると、物件の購入希望者との価格交渉に有利です。

 レインズに不動産情報を登録するデメリット

一方でレインズに掲載されている情報は、不動産業者からするとあまり良い物件ではないケースも多いようです。この章ではレインズに不動産情報を登録する際に生じるデメリットについてみていきましょう。

買主側のデメリット

レインズに登録されている不動産情報は、レインズを閲覧できる業者や投資希望者などに広く知られるため、いい物件情報は早く終わってしまうデメリットがあります。したがって、いい物件を購入したい時はスピード勝負になることを意識しておく必要があります。

売主側のデメリット

レインズに登録する際の売主側のデメリットは売れ残りのリスクです。レインズの物件情報はリアルタイムで更新され続けるので、早期に買い手がつかないと売れ残る可能性があります。なぜなら、随時新しい物件情報が入ると、古い情報はどんどん目に留まりにくくなるからです。

 そして、長い間売れ残っている物件は何らかの瑕疵があると閲覧者から疑われる原因となります。ゆえに、早期の段階で閲覧者に目をつけてもらえるような条件の提示がポイントです。

 レインズと同程度の不動産情報を一般人が閲覧する方法

先述した通り、レインズの不動産情報は指定流通機構に会員登録している不動産会社しか閲覧できません。しかし、媒体を選べば、レインズと同程度の不動産情報を一般人が閲覧することは可能です。

不動産ジャパン

https://www.fudousan.or.jp/

不動産ジャパンには物件情報は、全国9割が加盟している不動産流通4団体から提供される豊富な物件情報が掲載されています。全国の不動産流通業者がこれまで運営した物件情報がひとまとまりになっているサイトで、実質レインズと同程度の物件情報を誰でも閲覧できる不動産情報サイトです。

レインズマーケットインフォメーション

http://www.contract.reins.or.jp/search/displayAreaConditionBLogic.do

レインズマーケットインフォメーションでは、レインズに登録されている物件の実際の取引価額の検索ができます。建物種別・都道府県・地域別に成約情報が分かるので、不動産取引の相場を把握するうえで有益です。不動産投資会社に相談する前に、不動産の成約情報の目安をあらかじめ確認しておきたい人は利用してみると良いでしょう。

土地情報総合システム

https://www.land.mlit.go.jp/webland/

土地情報総合システムとは不動産の取引価格や地価公示・都道府県地価調査の価格を閲覧できるサイトです。国土交通省が「不動産の取引価格情報提供制度」に基づいて運営しています。中古不動産の情報は相場が分かりにくく、売主や買主が適正な価額で不動産を購入するのが難しい状況でした。しかし、土地情報総合システムはこのような不動産取引における不透明性を是正すべく、信頼性の高い不動産取引の実現を目的として設置されています。

 まとめ

今回はレインズとは何かについて、不動産情報の活用方法や登録のメリット・デメリットなどを交えてみてきました。要点は次の通りです。

  1. レインズとは、全国の売物件や成約情報などが一元化されている不動産情報に関するネットワークサービスである
  2. レインズに掲載されている物件は必ずしも優良物件とは限らない
  3. 不動産投資会社が所有している投資物件は、優良物件ゆえにあえてレインズに登録しない場合もある

不動産情報はレインズに掲載されている物件が全てではありません。不動産投資会社が所有している物件は収益性の高い優良物件であるため、レインズに登録せずとも投資希望者が絶えないケースもあります。本記事を参考にレインズを有効的に活用して頂けますと幸いです。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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