不動産会社で紹介されている任意売却物件。中古物件よりも安価で売られているものや新築同然なのに大きく値引きされているものまで様々です。
しかし、安価なのはそれなりの理由があるケースが多いので購入を急ぐのはいけません。
こちらの記事では、任意売却物件を購入する際の留意点や押さえておくべきポイントについて解説していきます。
不動産の所有者(債務者)がローンの返済を出来なくなってしまったとします。
仮に、その物件を売却したとしてもローンが残ってしまう場合に、不動産所有者と債権者(金融機関等)との間で予め合意を得て不動産売却を進めていく物件のことです。
不動産の所有者(債務者)がローンの返済が出来なくなってしまった際には、競売にかけられることが一般的です。
競売にかけて売却することによって生まれたお金を金融機関への返済に充ててもらいます。
では、なぜ債権者(金融機関)は、競売ではなく任意売却を活用するのでしょうか。
それは、競売になると物件価格が安くなるため、売却したのにローン残債を全額返せないからです。
つまり、不動産の所有者だった人(債務者)は、自身の家を失ってしまう上にローンが残ってしまうということになります。
これでは、債務者は経済的に非常に厳しい状況に追い込まれ、残債を回収するのは、難しくなるといえます。
また競売において、損害遅延金などが上乗せされてしまう関係で、借入れが膨らんでいってしまうことや、任意売却と比べて安価での売却になってしまうケースが多いのも理由の一つです。
借入れが膨らむ可能性がある上に、安価での売却となってしまっては、金融機関にとっては、返済してもらえる可能性がどんどん減ってしまいます。
競売にかけるメリットがあまりないのも、金融機関は任意売却を選択する一つ理由と言えます。
任意売却物件を購入する最大のメリットは、新築に近い物件を比較的安価で購入できるという点であるといえます。
上手く探していくことで、かなり状態のいい物件を市場価格よりの1割~2割程度安く購入することが可能になります。
任意売却物件の購入を検討している方は、任意売却物件を得意とされている不動産会社へ相談してみるとよいでしょう。
また、市場価値がそれなりに維持される物件であれば出口戦略にも有利に働きます。
元々市場価値よりも低い金額で手に入れることが出来ているので、メンテナンス等をしっかり行うなどして、物件自体の価値を維持するようにしていけば、購入金額より高く売ることが出来る可能性もあります。
任意売却では、競売と異なり買主と売主が直接交渉をします。
一見、スピード感があるように思えますが、実際には債権者(金融機関)が絡んでくることになるので、交渉に時間がかかります。
売却契約の締結には債権者(金融機関)の同意が必要になりますが、売却金額は債権者の利害にも関係してくるため、金額に納得しないと手続きが前に進みません。
一般的な不動産売買においては、物件が引き渡されたのち、事前に伝えられていない瑕疵等があった場合には、売主側が瑕疵担保責任を負うことになります。
しかし、任意売却においてはこれが免責になるので注意が必要です。
後になって、こんなはずじゃなかった・・・とならないためにも内覧の際には自身だけの目ではなく、専門家にも同行してもらうことをオススメします。
なぜ任意売却になっているのかを考えていただければ、難しいことはすぐに理解できるはずです。
債権者(金融機関)は、なるべく高い金額で売却しようとします。
債務者から債務をきちんと回収することが目的になっているので、わざわざ売却額を下げて回収の可能性を下げることをすることは考えにくいといえます。
基本的には、契約の段階で売主が処分するように明記されているのですが、きちんと処分せずに明渡しをする方もいるようです。
この場合、残置物の所有権は、まだ売主に残ったままになります。
これらを勝手に処分してしまうと、違法となってしまい、後になって所有物を処分されたことを訴えてくる可能性はゼロとはいえません。
こういった残置物があるケースでは、決して自身で手を出すことなく不動産会社に相談してどのようにするのかを協議しておいた方が安全といえるでしょう。
任意売却物件の購入は、一般的な不動産購入と比べるとトラブルに巻き込まれてしまう懸念が高いです。
自身だけで取引を行おうとせず、必ず専門家に相談するようにしましょう。
案件が案件だけに、詐欺のリスクも少なからずあるようです。
取引業者が不安な場合には、国土交通省のHPから「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」に登録されているかどうか確認するようにしておくと良いでしょう。
出典 国土交通省
任意売却物件の購入にあたって、希望の物件が見つかり購入する決断をした段階で競売や差し押さえなどがないかどうかの確認をします。
競売の取り下げや、差し押さえの取り消し手続きが必要になるケースがありますので、司法書士に相談すると良いでしょう。
売主が住宅ローン以外で滞納がないかどうかを確認しておくことが必要です。
もし、滞納が複数あり他に債権者がいた場合には、手続きが上手くいかなくなるケースも出てくる可能性があります。
せっかく購入する直前まで進んだのに、いつの間にか第3者が物件を差し押さえてしまった・・・などとならないためにも、調査を怠らないようにしましょう。
一般的に、不動産を売買する際には手付金の授受が発生します。
任意売却物件の売買においては、手付金だけは直接売主に渡さない方が賢明です。
なぜなら、売主はいわばお金に困っている人なので、持ち逃げなどをされてしまうリスクがないとはいえません。
手付金のやりとりは、不動産会社を通して行うことをオススメします。
物件価格が極端に安くない限りにおいて、金融機関から借入れを行うことになるでしょう。
任意売却物件での借入れを希望する場合、その物件で一度滞納が起きてしまっていることを理由に審査が多少厳しくなるようです。
後になって審査が通らなかった・・・とならないためにも、事前に仮審査を受けておくことをオススメします。
いかがでしたでしょうか。
任意売却物件は、中古物件よりも安価で売られているものや、中には新築同然なのに大きく値引きされているものがあるなどのメリットがあります。
一方で、購入するにあたって留意しなければいけない点があるのもまた事実です。
任意売却物件の購入を検討している方は、こちらの記事で押さえておくべきポイントを紹介しましたので、ぜひ参考にしてみてください。
購入に際しては、決して焦ることなく不動産会社に相談するなど慎重に選んでいただくことをオススメします。