不動産投資において決算書はとても重要です。
特に、不動産を買い増して不動産投資事業を拡大したいと考えている方は、決算書を作成することが必要不可欠といえます。
また、決算書を作成することで、将来的の事業計画を綿密に練ることが出来るので、安定した投資事業にも繋がります。
つまり、安定した不動産投資をしたいのであれば、決算書の見方を理解することは非常に重要です。
そこで、この記事では、不動産投資と決算書の関係や決算書の見方、銀行から融資受けやすい決算書について詳細に解説します。
最後まで読んで、あなたの不動産投資の参考にしていただけると幸いです。
不動産投資をおこなう上で、決算書というのは重要な要素の一つです。
では、どういった場合で決算書は利用されるのでしょうか?大きく以下の4つです。
それぞれについて説明していきます。
法人化して不動産投資をおこなっている場合には、確定申告の際に多くの書類が必要です。
その書類の中に貸借対照表や損益計算書、キャッシュフロー計算書、株主資本変動計算書などの決算書が含まれています。
このように、確定申告で決算書が必要になるので、法人化している場合には、確定申告までに準備しておくことが重要です。
また、これらの書類は会社法によって7〜10年の保存期間が定められているので、覚えておきましょう。
不動産を新たに買い増す際に、銀行からの融資を引き出すためには、決算書が必要になります。
なぜなら、銀行から融資を受けるためには、銀行の審査に通貨しなくてはいけないからです。
この審査に合格するためには、返済能力があり、業績が安定していることを示す必要があります。
つまり、返済能力や業績の安定を示すのに有効なのが、決算書の提出です。
また、銀行の融資をうけて不動産投資を拡大したい場合は、銀行から融資を引き出しやすい決算書を作成することも重要になります。
決算書を作成することで、自分の財務バランスに問題がないかを判断することが出来、適切な対処も可能です。
例えば、貸借対照表や損益計算書を作成することで、「資産と負債のバランスに問題がないか」や「不動産投資による利益が問題ないのか」などの財務バランスを分析します。
その際に、経費が多くかかりすぎて利益を圧迫しているのなら経費を削減する必要があるといったイメージです。
このように、決算書を作成することで現状の問題に気付くことが出来、効率のよい不動産投資が行えるようになります。
決算書は年間の収支や財務状況を表わしている書類です。
そのため、その年の決算書を基準にして、長期間の収支計画を立てることができます。
さらに、決算書から長期間の収支計画を立てることで、不動産を買い増す時期や将来的にかかる修繕費などの経費を計画に折り込むことも可能です。
このように、将来の計画をたてることで、効率よく不動産を買い増すことが出来ます。
決算書には、以下の3つの書類があります。
それぞれの書類について説明します。
損益計算書とは、法人や個人の年間の損益を表わしている重要な表になります。
その中でも、「売上総利益」や「営業利益」、「経常利益」、「税引前純利益」、「当期純利益」の5つの利益項目は特に重要です。
これらの違いを理解して、損益計算書を見ることで問題点を見つけることが出来ます。
それぞれの利益の特徴を以下の表にまとめたので、確認してみてください。
では、どのように問題点を見つければいいのでしょうか?
例えば、売上総利益を昨年と比較してみて、売上総利益が減っているのであれば、なぜ減っているのかを考えます。
マンション投資の場合だと、入居率の低下が考えられます。
このように、昨年の損益計算書と比べることにより、不動産投資の問題点の把握が出来るのです。
貸借対照表とは、バランスシートとも呼ばれているもので、法人や個人の財務状況を表わしているものです。
期末の決算日に、保有している「資産」と「負債」、「純資産」を表わしています。
貸借対照表の主な項目は以下の内容です。
資産 | 負債 |
現金・預金 | 借入金 |
商品 | 買掛金 |
土地・建物 | 純資産 |
有価証券 | 資本金 |
売掛金 | 過去に蓄積した利益 |
貸借対照表から財務バランスの良し悪しを判断するために、重要なのが「純資産」になります。
純資産がマイナスになっていると、債務超過になっているため、資金繰りが悪化していると判断できるからです。
特に銀行から融資を受けようとしている場合には、債務超過になっている時点で融資を受けられない可能性が高くなるので注意してください。
キャッシュフロー計算書(C/F)とは、現金の流れを記載した書類になります。つまり、現金が何によって減って、何によって増えたのかがわかるものです。
そのため、キャッシュフロー計算書を確認することで、決算時に現金が手元にいくらあるのかを把握できます。
キャッシュフローの内容は以下の3つに区分されています。
上記の区分で、特に重要なのが「営業活動によるキャッシュフロー」になります。
なぜなら、不動産投資で稼いだ現金になるので、この部分がマイナスだと、不動産投資がうまくいっていない可能性があるからです。
このように、キャッシュフローからも、投資がうまくいっているかを判断することができます。
不動産投資の場合、ここまで紹介した3つの決算書ではわからない、重要な内容があります。それは、不動産の本当の価値です。
決算書は実際の不動産価値を正確に表わしているわけではありません。不動産の価格は外部環境や景気、金利などによって変化します。
そのため、場合によっては、不動産を購入したときよりも価値が下がる含み損や価値の上がる含み益が発生するのです。
そして、この含み益や含み損は、決算書には載せていません。
貸借対照表に記載されるのは、「薄価」というもので、帳簿に記載された評価額になります。帳簿上の評価額になるため、実際の不動産価格とは異なる場合が多いです。
このように、決算書だけでは判断できない内容もあるため、不動産投資をする際は注意するようにしてください。
ここまで、決算書について説明してきました。
不動産投資において、決算書を利用することが多いのは、不動産を買い増しするために銀行から融資を受けるときではないでしょうか。
しかし、決算書の内容が悪いと、審査がとおらずに融資を受けられません。
では、銀行から融資を引き出せるコツはなんでしょうか。大きく以下の4つです。
それぞれのポイントについて説明します。
融資を受けるために重要なのが、利益が安定していることです。
安定した利益があると、融資をしても返済できる可能性が高いと判断され、信用評価も高くなります。
特に法人の場合は、3年以上黒字であることが非常に重要です。
そのため、銀行から融資を受ける場合には、融資を受けるタイミングを計算して黒字化になるようにしてください。
債務超過とは、貸借対照表で純資産が負債よりも少ない状態です。貸借対照表で債務超過になっている場合は、金融機関からの融資を受けられません。
このような状態になっていると、銀行は貸し倒れのリスクが高いと判断するからです。
また、債務超過に陥ってなくても、過去数年間の間に債務超過になっている場合も、融資審査が厳しくなります。
このように、債務超過に陥ると融資が受けられず事業の拡大が出来ない可能性もあるので、債務超過にならないように注意してください。
自己資本は、返済する必要がない資本のことです。この自己資本比率が高いと銀行からの評価は良くなります。
高ければ高いほど、資金豊富にあり、経営が安定していると判断できるからです。
目安としては、比率が30%程度ある状態を健全な状態、50%を超えると非常に経営状態が良いといわれています。
このように、自己資本比率から会社の安全性を評価できるため、自己資本比率が高いと融資を受けやすくなる可能性が高いです。
法人化していることで、融資が受けやすくなる場合もあります。銀行は融資審査をするときに、不動産投資の利益から返済すると考えています。
ですから、不動産からの収入を他の事業などに流用するリスクが高いことを警戒しているのです。
このような場合には、不動産投資専業の法人を設立することで、銀行の懸念材料をなくすことが出来ます。懸念材料をなくすことで、融資を受けやすくなる可能性は高くなるのです。
決算書は、安定した不動産投資を行ううえで非常に重要です。特に、銀行の融資を受けて不動産投資を拡大したい方には、必要不可欠なものになります。
この記事で得た知識を参考にして、不動産投資に活用して頂けたら幸いです。