不動産投資とは

不動産投資における自己資本比率は?計算方法や高める方法を徹底解説!

2020/11/27
不動産投資における自己資本比率は?計算方法や高める方法を徹底解説!

不動産投資に限らず、企業が経営を行っていく上で重要な指標となるものの1つに「自己資本比率」があります。

一般的には、この自己資本比率は高ければ高い方がよい(=経営が盤石となる)とされています。

こちらの記事では、不動産投資における自己資本比率の概要やそれを高めていくにはどのような方法があるのかを解説していきます。

自己資本比率とは?

自己資本比率とは?

自己資本比率とは、企業の総資本のうち自己資本が占めている割合を指します。

総資本は、自己資本と他人資本の合算となっています。

一般的に自己資本は返済の必要がなく、他人資本は返済が必要です。返済の必要ない自己資本の割合が、大きければ大きいほど企業の経営状態は安定し潰れにくくなります。

逆に他人資本の割合が大きいほど、経営は不安定となります。

よって、自己資本比率は高ければ高い方がよいとされます。

これは、不動産投資においても同じことがいえます。

自己資本比率はどのくらいあればよい?

自己資本比率は、どのくらいあればよいのでしょうか。

一般的に、40%以上ある企業は倒産しにくいといわれています。50%を超える企業は、優良企業といってよいでしょう。

ただし、90%から100%といった高すぎる場合には、注意が必要です。

他人資本がない=借り入れがないということになります。

もちろん、意図的に借り入れをしていない企業もありますが、逆に信用等に問題があって借りることが出来ていないケースも考えなければいけません。

自己資本比率がマイナスの場合は、債務超過と呼ばれます。

全ての資産を手放したとしても企業の借金を返済することが出来ないということなので、倒産の危険性が極めて高いといえます。

貸借対照表(バランスシート)とは?

貸借対照表(バランスシート)って何?

貸借対照表とは、左右に分かれており、左右の合計金額が一致するものです。

英語では左右が「バランス」することからバランスシートBalance Sheet)と呼ばれていて、略してB/Sです。

貸借対照表(バランスシート)の構造

 

貸借対照表は、企業の活動のうち「どのようにして資金を集めて」「何に投資をしているのか」を表しています。

「どのようにして資金を集めてきて」を表しているのが右側、「何に投資をしているか」が左側です。

このようにして考えていただければ、なぜ貸借対照表の左右が一致するのかがご理解いただけると思います。

不動産投資における貸借対照表

不動産投資において、貸借対照表には具体的にどのようなものが入るのでしょうか。

左側の資産の部には、不動産投資の資産全てが入ります。

資産は、さらに流動資産と固定資産に分けることができます。

流動資産には現金や預金などが入り、固定資産には土地や建物、マンション一式などが入ります。

右側の負債の部には、主に金融機関などから借り入れをしているローンの残債が入ります。

純資産の部には、資本金利益剰余金が含まれます。

全資本から負債を引いた残りとなります。

この純資産の部が「自己資本」だと考えていただければ問題ありません。

自己資本比率の計算方法

自己資本比率は、「自己資本÷総資本×100」で求められます。

総資本は自己資本+他人資本です。

例えば、自己資本が1,000万円、他人資本が1,500万円の場合の自己資本比率は、

1,000万円÷(1,000万円+1,500万円)×100=40%

になります。

貸借対照表でいえば、「純資産の部÷資本の部」ということになります。

ここでは、事例のシミュレーションを行って、自己資本比率への理解を深めていきます。

1,500万の中古マンションをローン1,200万組んで購入

中古ワンルームマンションを購入しました。

ここでは、1,500万円のうち1,000万円を土地、500万円を建物とします。

また、1,500万のマンションを1,200万円のローンで購入したということは、「1,500万円-1,200万円=300万円」が自己資金ということになります。

これらを踏まえ、貸借対照表を作ると以下のようになります。

 

この貸借対照表からは、以下のことが分かります。

  • 資産1,500万円のマンションを所有している
  • マンションの持ち分は、金融機関が1,200万円で自身が300万円である
  • 自己資本比率は300万円÷1,500万円×100=20%である

購入した物件の運用が上手くいって利益を出せた場合

もし、購入した物件の運用が上手くいき利益を出せた場合のシミュレーションです。

ここでは、金融機関の残債が50万円減少、利益が50万円出せたとします。

そうすると純資産の部が拡大し下記の図のようになります。

 

この貸借対照表からは、以下のことが分かります。

  • 資産1,500万円のマンションを所有している
  • マンションの持ち分は、金融機関が1,150万円で自身が350万円である
  • 自己資本比率は350万円÷1,500万円×100=23.3%である

自己資本比率が前年の20%から23.3%へと上昇したのがご理解いただけるかと思います。

このように利益を出すことが出来れば自ずと自己資本比率は上がっていきます。

購入した物件の運用が上手くいかず赤字になってしまった場合

もし、購入した物件の運用が上手くいかず、赤字になってしまった場合のシミュレーションも見てみましょう。

ここでは、金融機関の残債が50万円減少、かつ赤字が50万円出てしまったとします。

そうすると純資産の部が縮小し下記の図のようになります。

 

この貸借対照表からは、以下のことが分かります。

  • 資産1,400万円のマンションを所有している
  • マンションの持ち分は、金融機関が1,150万円で自身が250万円である
  • 自己資本比率は250万円÷1,400万円×100=17.8%である

自己資本比率が前年の20%から17.8%へと減少してしまいました。

赤字になってしまうと自己資本比率が減少してしまいます。

不動産投資で自己資本比率を高めるためには?

毎年、着実に利益を出し続ける

不動産投資で自己資本比率を高めるにはさまざまな方法がありますが、一番大切なのは毎年利益を積み重ねて「利益剰余金」を増やしていくことです。

利益剰余金を増やしていくことで、「自己資本」自体を増加させることになります。

利益を出していくには、入居率を高めることが大切です。

空室があると利益に対してのインパクトが大きくなってしまいます。

入居してもらうための、必要なメンテナンス等は怠らないようにしましょう。

可能な範囲で繰り上げ返済を行う

また、負債については繰り上げ返済ができる部分は積極的に行っていくと良いでしょう。

無理に返済して、自身の生活資金にまで支障をきたしてしまっては、元も子もありませんが、借入れをしている限りにおいては、利息がついて回ってくることを意識しておきましょう。

高利回り物件に新規投資する

現状の物件で思うように利益が生み出せていない場合、新規投資には躊躇する方もいらっしゃいますが、思い切って高利回り物件に投資してみるのも1つの手です。

貸借対照表が左右ともに膨らみますが、利益を出していくことで自己資本比率は着実に上がっていきます。

近年、地方を中心に数百万円から購入できる高利回り物件も多くありますが、空室リスクなど慎重に検討した上で検討してみてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

自己資本比率と不動産投資の関係についてご理解いただけたでしょうか。

是非、ご自身の自己資本比率を算出してみてください。

ちょっと低いのでは・・・という方は、こちらの記事で紹介した自己資本比率の高め方を参考にしていただき、安定感のある不動産経営を実現してください。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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