家賃滞納は、マンションやアパートの不動産投資をしていく上でのリスクです。
事前審査を厳しくするなどで、事前に対策を打つことでリスクを減らすことができますが、完全になくならないリスクでもあります。
オーナーにとっては、家賃滞納は収入がなくなることになるので、放置してよいものではありません。
早い段階で手を打っておかなければ、完全に回収しきれなくなってしまう可能性もあります。
こちらの記事では、入居者に家賃を滞納されてしまった際には、どのように対応したらよいかを徹底解説していきます。
家賃滞納が発生する理由として最も多いのは、「支払うお金がない」ということですが、それだけではありません。
家賃の引落し口座への「入金忘れ」や、振込払いの方による「振込忘れ」などもあります。
ほとんどの場合は、通知及び催促によって「一時的な支払い遅れ」で済みますが、中には大きな問題に発展してしまうケースもあります。
支払い期日を過ぎても、家賃の入金が確認できなかった場合、入居者(家賃滞納者)に通知及び督促を行います。
連絡手段は、電話または手紙またはその両方であることが一般的となっています。
入居者(家賃滞納者)に連絡して、すぐに家賃を支払う意思を示している場合には、連帯保証人への連絡まではしなくても良いでしょう。
しかし、連絡が取れない場合や、連絡が取れても家賃支払いの約束がされない場合には連帯保証人への連絡をしておくべきです。
連帯保証人にも入居者(家賃滞納者)同様に家賃の支払い義務があります。
家賃滞納から2週間以上経過してしまった際には、「督促状」を送ります。
万が一、訴訟を起こすことになってしまった際に、入居者(家賃滞納者)に対して家賃の督促を行っていたという証拠を残さなくてはなりません。
督促状を送る際には、「配達証明付き内容証明郵便」を利用します。
内容証明郵便が送られてきたことに驚いて、家賃を入金する方もいるようです。
督促状を送付しても、入居者が支払いに応じず、家賃滞納から3ヶ月ほど経過してしまった際には、「催告書」を送付します。
催告書には、滞納されている家賃の支払い期限と、これがなされない場合には賃貸借契約の解除をする旨を記載し、配達証明付き内容証明郵便で送付します。
催告書を送付しても家賃滞納が解消されず、進展が見られない場合は「明け渡し請求訴訟」をすることになります。
裁判においては、物件の明け渡しに加えて滞納している家賃の請求も行います。
被告(入居者や連帯保証人)が裁判に出頭してきた時は、話合いで和解するケースもあります。
もし、被告(入居者や連帯保証人)が欠席した場合には、原告(オーナー)の請求通りの判決が出る可能性が高いといえます。
明け渡し訴訟請求に際しては、不動産登記簿謄本や固定資産評価額証明書などが必要になります。
また証拠書類として、「賃貸借契約書」や「内容証明郵便」(賃貸借契約の解除を通知した郵便)やそれをきちんと配達したという「配達証明」なども必要となります。
詳しくは、裁判所や専門家に問い合わせるようにしましょう。
判決が確定すると、強制執行となります。
強制執行の際には、裁判所の職員が入居者を退去させることになります。もし、不在であったとしても解錠して室内に入ることができます。
室内に入った後、明け渡しの作業費用の見積もりを行います。その上で、室内にあるものを運び出して空室の状態にします。
運び出しが完了したら、明け渡しの断行日が記載されている催告書及び公示書を室内に貼り終了となります。
家賃滞納を未然に防ぐ最大の対策は、入居審査を厳しくすることです。
ここを厳しくすることによって、家賃滞納のリスクを大きく減らすことができます。
家賃滞納で一番大きな理由は、「金銭面」です。
つまり、入居者に家賃の支払い能力が備わっているのかどうかが非常に重要になってきます。
収入面は、シビアに見るべきでしょう。
月収が家賃の3倍に満たない方は、将来的に家賃滞納者となってしまうリスクがあります。
厳しく見るという意味においては、月収が家賃の4倍程度であることを条件にするなどの工夫をすると良いでしょう。
その他にも、雇用形態(正規社員・非正規社員)や勤続年数も重要な要素となります。
属性が高い方(社会的な信用が高い方)に入居してもらえるようにすることが、最大の家賃滞納対策といえるでしょう。
家賃保証会社は、入居者(家賃滞納者)の支払いが滞った際に家賃を保証してくれる会社のことです。
家賃の保証以外にも、家賃回収業務を担ってくれるので、オーナーにとっては非常に手間が省けます。
家賃保証会社の利用のメリットはそれだけではありません。
家賃滞納によって、訴訟に発展しまうケースも少なからずありますが、その際にかかる訴訟費用を負担してくれるケースもあります。
また、強制執行によって退去してもらった際には、原状回復および残置物の撤去が非常にネックとなってしまいますが、このような費用を負担してくれる家賃保証会社もあります。
後になって、想定外の出費をしないためにも、家賃滞納及びその後のリスクも鑑みた上で家賃保証会社を選定するとよいでしょう。
皆さんは、ガス・水道・電気などの公共料金や生命保険や自動車保険の保険料の支払いをどうされているでしょうか。
振込ではなく、口座振替やクレジットカード払いなどを利用している方が多いと思います。
利用者側にとっては、その都度の振込が面倒くさい、また振込手数料などがかかってしまうというデメリットがあります。
公共料金会社や保険会社にとっては、未納者の軽減というメリットがあります。
双方の利害が一致しているのです。
これを不動産投資に置き換えてみましょう。
先ほどの例で考えると、利用者=入居者です。入居者にとっては、毎月の振込は面倒で手間がかかります。さらに手数料までかかってしまいます。
前述のように、家賃の一時的な滞納の原因の1つに「振込忘れ」というものがあります。
これを未然に防止するには、口座振替の利用が有効です。
口座振替であれば、決まった日に決まった金額が引き落とされることになります。
そもそも、お金がない方への根本的な解説策にはなりませんが、少しでも家賃滞納のリスクを減らすために活用してみるとよいでしょう。
いかがでしたでしょうか。
家賃滞納が発生した際の対応やリスク回避策を解説してきました。
こちらの記事でも触れてきましたが、家賃滞納を防ぐ上で一番大切なのは、事前の対策です。
入居審査を厳しくして家賃滞納のリスクが高い方の入居を認めないようにすることが大切となります。
万が一、実際に発生してしまった際には、手順を間違えないように管理会社や専門家に相談しながら、解決策を探っていくと良いでしょう。
また、訴訟が起こってしまった際のリスクヘッジとして家賃保証会社の利用を検討することをオススメします。