不動産投資を成功させるには、どのようなことが重要でしょうか。
立地や借入れ金利は誰しもが重要視するところです。それらと同様に重要なのがローンの融資期間です。
不動産投資においては、投資金額が大きくなりますので融資期間は成功の可否に大きなインパクトがあります。
こちらの記事では、融資期間が不動産投資に与える影響について解説していきます。
不動産投資において、融資期間が与える総支払額への影響はどの程度あるのでしょうか。
金利が同じであっても、融資期間によって大きな差が出ることもあります。
ここでは、その差を感じていただくためにシミュレーションを行います。
| 35年ローン(A) | 20年ローン(B) | 差(B-A) |
月々の返済額 | 99,377円 | 151,763円 | 52,386円 |
年間の返済額 | 1,192,524円 | 1,821,156円 | 628,632円 |
総返済額 | 41,738,340円 | 36,423,120円 | -5,315,220円 |
| 35年ローン(A) | 20年ローン(B) | 差(B-A) |
月々の返済額 | 96,327円 | 148,939円 | 52,612円 |
年間の返済額 | 1,155,924円 | 1,787,268円 | 631,344円 |
総返済額 | 40,457,340円 | 35,745,360円 | -4,711,980円 |
3,000万円の融資を受けて、金利2.0%で35年かけて返済する場合と20年で返済する場合を比較すると総返済額で500万円以上の差が生じます。
これだけ差があると、なるべく短期間で完済をしたいところですが、35年ローンの場合は月々約10万円に対して、20年ローンの場合は月々の返済額が15万円を超えることになりキャッシュフローに大きな差が生じます。
支払い総額の面では、短期のローンの方にメリットがあります。
一方で、長期のローンではキャッシュフローを多く出しやすく、その資金をさらに運用できるというメリットがことを考えると、必ずしも短期のローンが良いというわけでもありません。
また、3,000万円の融資を受けて35年ローンで返済していく場合、金利が2.0%と1.8%の場合とでは、月々の返済額にして3,000円、総返済額になると100万円以上の差になります。
金利が0.2%違うだけで、将来に大きな差を生むことから、金利には妥協しない姿勢が大切です。
ご自身で「月々の返済額を抑えたいから35年ローンが良い」「総支払額を減らしたいから20年ローンが良い」など、無条件でローン期間を自由に選択することはできません。
金融機関が提示可能な融資期間の上限を理解しておく必要があります。
ご自身の属性(年収や勤続年数、他の借入れ)などもローン審査には影響します。
しかし、それは融資期間の上限にはほとんど関係がありません。
不動産投資における融資期間の上限は、法定耐用年数が基準となっています。
法定耐用年数とは、税法上における資産の寿命を指します。
例えば、新築の木造住宅は22年、鉄筋コンクリート造りは47年などです。
出典:国税庁
金融機関は、融資を行う際に不動産に対して抵当権の設定をします。
万が一、融資したお金が返ってこない可能性がある場合には抵当権を実行し、不動産を売却したお金を残債に充てることになります。
よって、融資期間は一般的に法定耐用年数より短い期間で設定されることになります。
また、不動産投資用のローン(アパートローン)は、住宅ローンと異なり簡単に融資期間を長くしてもらえないケースもあります。
信用が低い方だと、融資期間を短くされることもあります。
中古物件の場合は、この法定耐用年数から築年数を差し引いて融資期間の上限を決定します。
例えば、築20年の中古ワンルームマンション(鉄筋コンクリート造り)を購入する際には、47年(鉄筋コンクリート造りの耐用年数)-25年(築年数)=22年が融資期間の上限となりますので、35年ローンを組むことは難しいということになります。
1点注意していただきたいのは、中古物件の場合は、この「法定耐用年数」と「減価償却費を算出する残存耐用年数」が異なることです。
減価償却費を算出する場合の残存耐用年数は、(法定耐用年数-経過年数)+(経過年数の20%)で算出されます。
つまり、築25年経過している鉄筋コンクリート造りの物件であれば、
(47年-25年)+(25年の20%=5年)=27年が残存耐用年数となります。
あくまで、この残存耐用年数は減価償却費の算出を行うためのものであり、金融機関の融資上限期間とは関係がないことに注意してください。
上限年数を理解した上で、それに対してご自身の意向に沿ったローンを組んでいくことになります。
最大のメリットは、月々のローン返済額が抑えられることです。
月々の支払いが少なければ、キャッシュフローを生みやすくなるため、他の資産運用に投資できます。
また、万が一空室になってしまったとしても、ダメージが最小限に抑えられるでしょう。
近年では、20代の方で不動産投資をする方が増えています。
月々の収入が30代~40代の方と比較して少なくても、ローンを長期で組みやすいため、老後の不労所得を生み出せることも大きなメリットがあるからといえます。
最大のデメリットは、利息が乗っかってしまうため、総支払額が増えてしまうことにあります。
また、長期で返済していく中において、築年数の経過による修繕などの突発的な出費が出てしまうケースもあります。
最大のメリットは、利息を抑えることができて総支払額が少なくなることです。
また、完済が早まることで、家賃収入だけが入ってくる時期が早まります。
そして、担保が外れることになりますので、もし好条件で売却できそうな場合に身動きがとりやすくなるのもメリットといえるでしょう。
もし、将来的な年金対策として家賃収入を考えていない方にとっては、短期でローンを組み、条件の良いところで売り抜けるということも1つの戦略といえます。
最大のデメリットは、月々の支払いが高額になってしまうことです。
空室になってしまった際には、ご自身の資金に打撃を与えることになります。
いくら総支払額が短くなるからといって、月々の家賃収入を上回るローン返済をする返済計画は避けるといいでしょう。
管理費や修繕積立金、固定資産税なども鑑みて月々のローン返済金額が無理のないように設定することが大切です。
融資期間については、長期融資・短期融資のどちらにもメリット・デメリットがあるのがご理解いただけたと思います。
どちらが良いというのは、一概にいうことはできません。
解説してきたように、手元に多くお金をおいておきたい方は長期融資の方が良いでしょう。
また、空室のリスクに備えたい方にとっても長期融資の方が有望です。
一方で、老後資金に家賃収入を考えておらず、途中で売却益を狙う方にとっては、担保が取れる時期を早めておくという意味において、短期融資の方が良いといえます。
要するに、ご自身が「何を重要視するか」で長期融資・短期融資のどちらにするのかを選ぶことが大切です。
いかがでしたでしょうか。
融資期間が不動産投資に与える影響を解説してきました。
成功させるためには、ご自身が重要視する内容に応じて、融資期間を考えることが重要です。
不動産は、大きな買い物です。
何となく判断して、後で後悔することは避けなければなりません。
少しでも困ったことがある場合は、プロに相談すると良いでしょう。