デジタル終活という言葉を聞いたことはあるが、具体的にどのようなことなのか把握ができていない方が多いのではないでしょうか。また、不動産投資とはどのような関係があるのかについても知っておきたいでしょう。
デジタル終活とは、パソコンなどで管理している資産のパスワードやIDを自身に何かあった時に家族に知らせるための活動です。
近年、パソコンやスマホ、クラウドなどで重要な書類を管理している人が増加しているため、デジタル終活をする人が増えています。しかし、まだまだメジャーとは言えないです。
そこで、この記事では、「不動産投資でのデジタル終活の重要性」や「デジタル終活を進めるうえで重要になるポイント」、「デジタル終活を行っていないことで起こり得るトラブル」について詳しく解説していきます。
最後まで読んで、不動産投資の参考にしていただけると幸いです。
デジタル終活とは、パソコンやスマホのパスワードや登録しているサイトのログイン情報などを遺族に残すものです。
現在では、インターネットやパソコンを利用する人が増えたため、資産家の中でデジタル終活が注目され始めています。
また、インターネットの利用率と比例するように、不動産REITや不動産クラウドファンディングといったデジタル金融資産を持つ方が増加している事もデジタル終活が注目されている理由のひとつです。
インターネットの利用率が年々増加していることは、2019年に総務省が調査した下記のグラフからも見受けられます。
インターネットを利用しているのは若い層だけではありません。
年齢別のインターネット利用率からも、高齢者の利用者数が増加していることが分かります。
このように、高齢者を含めて多くの方がインターネットを利用しており、デジタル金融資産を所持している人も年々増えています。
そのため、今後もより多くの人がインターネットを利用するようになり、株や不動産REITといったデジタル資産を保有している人が増えていくのは間違いなさそうです。
さらに、スマホやパソコンのパスワードの解除も顔認証などの機能の発達でより困難になってきているため、ますますデジタル終活の必要性は増しています。
不動産投資を行っている場合、デジタル終活が重要です。
なぜならば、デジタル終活をきちんと行っていないと、相続でトラブルになる可能性があるからです。
例えば、登記情報などの重要な書類のデータがパソコンに保存されており、パソコンのパスワードがわからないために手続きがスムーズにできないなどのトラブルです。
また、不動産REITなどのデジタル資産の存在が家族に伝わっていないことで、遺産相続後にトラブルになったケースも報告されています。
このように、相続時のトラブルを防ぐためにも、デジタル終活は重要です。
不動産投資のデジタル終活を進めていくうえで、以下のポイントが重要になります。
それぞれについて、説明していきます。
デジタル終活では、スマホやパソコンのログイン情報を伝えておくことが重要です。
スマホやパソコンには、「相続に必要な個人情報」や「株や不動産REITなどの金融取引サイトの情報」など、多くの重要な情報が記録されていることが多くあります。
そのため、ログインするために必要なパスワードがなければ、残された家族が重要な情報を知ることが出来ず困ります。
また、パスワードの解除を専門の業者に依頼しても解除できない場合も多く、解除できたとしても高額な費用が必要な場合も多いです。
したがって、デジタル終活を進めていくうえで最も重要なポイントは、スマホやパソコンのIDやパスワード情報を家族の方に伝えておくことでしょう。
不動産REITや不動産クラウドファンディングなどの金融資産を取引しているサイトのアカウント情報を伝えておくことは非常に重要です。
パソコンが開けたとしてもサイトにログインできなければ、金融資産の情報がわからないためです。
特に、不動産REITを運用している場合は、遺族に運用しているという情報が伝わっていないと、仮に損害が発生していても遺族が知ることができません。
最悪なケースでは、遺族が負債を処理しないといけない事態もあり得ます。
このように、残された家族に余計な負担をかけないためにも、不動産REITなどの金融資産の存在とIDやパスワードの情報は伝えるようにしてください。
不動産クラウドファンディングを利用している場合には、使用していないサービスは解除するか口座から資金を出しておくことがポイントです。
多数の不動産クラウドファンディングに投資している場合は、各口座に運用資金が残った状態で放置されていることがよくあります。
しかし、資金が残った状態の口座が多数放置されていると、遺産整理をスムーズにすることができません。
そのため、遺産相続をスムーズにするためにも、利用していない不動産クラウドファンディングのサービスを解約したり、口座から資金を移しておくことをおすすめします。
家族に残すIDやパスワードの情報を整理して紙のエンディングノートにまとめて準備しておくと万全です。
この際、最初に行うことが情報の棚卸になります。
ネット銀行の口座情報や不動産クラウドファンディングのアカウント情報などの思いつく限りのデジタル情報を書き出すのです。
それを終えると、次に行うべきなのが家族に伝えておく情報の整理になります。
リストアップした情報の中から必要な情報と必要でない情報を選択するのです。
その際、選択した情報の保管場所や内容、処分方法などを記載しておくことがポイントになります。
このように、エンディングノートに情報を残しておくことで、亡くなった後に遺族が困ることがなく、スムーズに遺産相続が可能です。
作成したエンディングノートは、金庫などの安全性が高い場所で保管しておかなければなりません。
エンディングノートには、非常に重要な情報が多く記載されているためです。
そのため、第三者の手に渡ってしまうと、資金を抜かれてしまうことや悪用されてしまうことが考えられます。
このような事態を防ぐために、エンディングノートを金庫などの第三者に盗まれない場所に保管することが重要です。
また、可能であれば家族だけがわかるヒントにパスワードを変換して記載することや、IDは別のところに書くなどの工夫をすることで、よりセキュリティを強化することが出来ます。
不動産投資していて、デジタル終活を行っていないために起こり得るトラブルは以下の3つです。
それぞれについて説明していきます。
故人が運用していた不動産REITなどのアカウント情報が残っていないため、家族が資産の存在を知らずに相続できないケースが想定できます。
このケースは、不動産REITの価格が下落してしまい含み損が発生し、高額な証拠金が遺族に請求される可能性があるので非常に危険です。
また、不動産REITなどの金融資産が後々発覚した場合、それらの資産を引き継ぐためには、戸籍謄本などの故人と関係性が表記された書類や相続人の印鑑証明書が必要です。
そうなると、手続きが複雑化して、手間も時間も掛かかってしまいます。
このような事態を防ぐためには、デジタル終活が非常に有効です。
家族が知らないうちに不動産を所有していたことが発覚し、登記情報などのデータがないことで相続手続きがスムーズにできないケースが想定できます。
そのため、登記書類などをデータで管理している場合、家族に対してパスワードとデータの場所を教えておくことが非常に重要です。
デジタル終活を行っていないと、相続手続きをスムーズに行えないばかりか、トラブルの原因にもなってしまうのです。
デジタル終活を行っていないことで、遺族がすべての資産を把握することが出来ず、遺産相続後に新たに資産が出てきてしまいトラブルになるケースが想定できます。
その際、高額な不動産投資の資産が残っていた場合にはより大きなトラブルに発展してしまう可能性が高くなります。
相続人が相続する遺産を決める遺産分割協議を行って遺産相続した後に、不動産などの新たな資産が発覚した場合には、遺産分割協議を新たに行う必要があるためです。
こういった相続時のトラブルを防ぐためにも、エンディングノートに情報を残して、デジタル終活を行うことをおすすめします。
近年のインターネットやパソコンの普及で、資産に関する重要なデータをパソコンやクラウド上に残す人は多くなりました。
そのため、不動産投資をしている人にとっても、デジタル終活は非常に重要です。
デジタル終活をしていないことで、遺産相続でトラブルになるケースはよくあります。
そのため、デジタル終活についてしっかり理解したうえで、デジタル就活をおこなうことがおすすめです。
この記事をあなたがデジタル終活を理解するための参考にして頂けますと幸いです。