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IT重要事項説明(IT重説)ってなに?オンライン化のメリット・デメリットを解説!

2021/01/11

IT重要事項説明(IT重説)とは、従来は対面でなされていた賃貸契約における重要事項説明を、ITを活用して非対面で実施することです。では、ITを活用した重要事項説明とは、具体的にどのように実施されるのでしょうか。

今回はIT重要事項説明(IT重説)とは何なのか、不動産取引オンライン化のメリット・デメリットを交えながら解説します。

IT重要事項説明(IT重説)とは?

IT重説はIT重要事項説明の略称で、パソコンやタブレット、スマートフォンなどのIT機器を用いた重要事項説明を指します。

このシステムは、2013年6月の「世界最先端IT国家創造宣言」以来、対面や書面の公布が前提だった業務のIT化促進を皮切りにスタートしました。その後、2015年8月〜2017年1月の約2年間にわたって、国土交通省による社会実験(ITを活用した重要事項説明等のあり方に係る検討会)がなされ、実質的には2017年10月からITを用いた賃貸取引における重要事項説明が全国で本格的に始まりました。なお、2019年10月〜2020年9月の1年間にかけては、売買取引に関する社会実験も実施されています。

そもそも「重説」とは?どういう意味?

重説」とは、「重要事項説明」の略称です。「重要事項説明」とは、宅地建物取引業者が不動産の売買や賃貸契約の締結に先立ち、物件の買主や借主に対して、宅地建物取引業法第35条にもとづいて重要な事項を説明することを指します。

つまり重要事項説明とは、「不動産契約にあたり借主が物件の質や機能、契約上のルールに関する大切なポイントについて説明を受けること」です。重要事項説明を受けることは法律で決まっているため、入居希望者は契約を締結する前に宅地建物取引業者から必ず説明を受ける必要があります。

IT重要事項説明(IT重説)で遵守すべき事項

重要説明のIT化に先立ち、国土交通省は「賃貸取引に係るIT重説の本格運用の開始について」という文書で、次の5つの「遵守すべき事項」を提示しました。

  • 双方でやりとりできるIT環境の整備
  • 重要事項説明書等の事前送付
  • 重要事項説明書等の準備とIT環境の確認
  • 宅地建物取引証の提示と確認
  • IT環境に不具合があれば中断

「遵守」とは「必ず守るべきこと」という意味であるため、これら5つの事項は、逸脱せずに守るべき事項になります。

IT重要事項説明(IT重説)で留意すべき事項

また、先述した「遵守すべき事項」とあわせて、次の6つの事項を「留意すべき事項」としてあげています。

  • IT重要事項説明を実施についての同意
  • 相手方のIT環境が安定性の確認
  • 説明の相手方の本人確認
  • 必要に応じて内覧の実施
  • 録画・録音した場合の対応
  • 個人情報保護法に関する対応

「留意」とは「遵守」よりも強制力はありませんが、「注意すべき事項」というニュアンスになります。IT重要事項説明(重説)をする際には、物件の貸主や関係者から書面での同意取得が必要です。また、録画・録音する場合には宅地建物取引業者と相手の双方の了承が要ります。録画・録音を含めた個人情報は、適切な管理が求められます。

IT重要事項説明(IT重説)で必要なもの

IT重要事項説明で必要になるツールは主に「ネットワーク環境」と「Web会議システム」の2つです。

ネットワーク環境

宅地建物取引業者や説明の相手が動画や音声をスムーズに送受信できるネットワーク環境が必要です。ネットワーク環境が不安定だと、発話が不明瞭になったり、内容を把握し切れなかったりするからです。重要事項説明の間は、静止画の状態が数秒間続いたり、途中でネットワークが切れたりしない環境が求められます。

Web会議システム

Web会議システムとは、遠隔地とインターネットを通じて映像や音声でやり取りをしたり、資料を共有したりするコミュニケーションツールです。最近のWeb会議システムはZoomLINESkypeなど、クラウドサービスやアプリを通しての取引が一般的であるため、インターネット回線につながっているパソコンやタブレット端末などのIT機器があれば、場所を選ばずにいつでもどこでも簡単に接続ができます。

IT重要事項説明(IT重説)のメリット

では、IT重要事項説明には具体的にどのような利点があるのでしょうか。この章ではIT重要事項説明の代表的なメリットを4つ解説します。

コスト削減

1つ目のメリットは、重要事項説明のIT化による時間や費用の削減です。顧客が遠隔地にいる場合、遠方の宅建物取引業者を再度訪問するには、移動時間や交通費の負担が大きくなります。賃貸契約がIT化されると、遠方にいる顧客がわざわざ何度も時間とお金をかけて不動産会社に足を運ぶ必要がなくなるため、時間や費用のコストの削減が可能です。

日程調整の柔軟化

2つ目のメリットは、顧客と宅地建物取引業者との日程調整が柔軟にできるようになる点です。仕事や育児で平日に十分な時間が取れない人や、家を留守にできない人でも、インターネットで賃貸契約ができれば、日程調整の幅を広げて柔軟に対応できます。仕事終わりや少しのスキマ時間を利用して、重要説明を受けられるため、日程が合わずにストレスを抱える心配がありません。

リラックスできる環境

3つ目のメリットは、緊張感のないゆったりと安心した環境下でやり取りが可能な点です。不動産取引に不慣れで堅苦しさを感じている顧客でも、わからない事項や専門用語について質問しやすくなります。相互の認識のズレやミスコミュニケーションを減らし、お互いが納得した形で契約に進むことが可能です。

本人が外出できない場合も可能

4つ目のメリットは、来店困難な顧客でも契約が可能な点です。基本的に契約者本人がケガや病気で外出できない場合は、代理人による対応となりますが、IT化に伴い、契約者本人が重要事項説明を直接受けることが可能になりました。

IT重要事項説明(IT重説)の流れ

IT重要事項説明(IT重説)は、次の5ステップで完了します。具体的な流れは次の通りです。

接続テスト

ネットワーク環境において、Web会議システムが正常に機能するか事前に確認をします。音声は途切れないか、画面は静止状態にならないかなど、スムーズにコミュニケーションが取れるかについてのテストです。

書類送付

契約者に賃貸契約に係る書類を郵送またはEメールにて送付します。賃貸契約に係る書類とは、例えば重要事項説明書や賃貸借契約書などです。契約者が事前に書類に目を通せるよう、IT重要事項説明の前日までに届くようにします。

IT重説の実施

ネットワークやWeb会議システムの機能を確認し、契約者に書類が届いたら、いよいよIT重要事項説明の実施です。宅地建物取引業者証を契約者に画面越しに提示し、登録番号を確認してもらってから重要事項説明に進みます。

契約者の書類返送

IT重要事項説明が終了した後は契約者が書類に署名・捺印をし、書類一式を送付者(不動産業者や宅地建物取引業者)に返送します。

カギ引き渡し

契約が開始する前日までに、賃貸物件のカギを契約者に引き渡して完了です。

IT重要事項説明(IT重説)のデメリット

最後に、IT重要事項説明の代表的なデメリットを解説します。それぞれの注意点を踏まえながら、スムーズな取引にお役立てください。

ITツール導入に手間がかかる

IT重要事項説明では、パソコンやタブレット端末などのIT機器を利用できることが前提です。よって、ITツールをそもそも所持していない場合は、ツール導入にコストや手間がかかります。ただ、現在はIT通信機器やインターネット環境が広く普及しており、ITツールの導入自体が大きなハードルとなる可能性は低いでしょう。

通信環境の影響を受ける場合がある

IT重要事項説明はインターネット環境に大きく依存するシステムなため、通信環境が悪いと機能しない点がリスキーです。山間部や混線しているビルや住宅街などの環境では、通信が不安定になる状況も考えらます。ただし、先述した国土交通省によるIT重要事項説明の社会実験では、通信障害による大きなトラブルは検知されていないため、それほど心配しすぎる必要はないでしょう。

身元確認を万全にする必要がある

パソコンやタブレット端末の画面を通してのやりとりになるため、相手の身元の十分な確認が必要です。インターネット環境が不安定だと、画像が乱れて宅地建物取引証がきちんと見えない場合もあり得ます。記載された名前と登録場番号は必ずはっきりと提示してもらい、読み上げて確認をとってください。もしもトラブルに遭遇したり、準備の途中でわからないことがあったりした場合は、国土交通省をはじめ、各地の整備局や開発局・事務局など、信頼できる機関に相談しましょう。

まとめ

今回は、IT重要事項説明(IT重説)について、不動産取引オンライン化のメリット・デメリットを交えて解説しました。要点は次の通りです。

  • IT重説はIT重要事項説明の略称。IT重要事項説明とは、パソコンやタブレット端末などのIT機器を用いた重要事項説明のこと。
  • IT重要事項説明の代表的なメリットは「コスト削減」「日程調整の柔軟化」「リラックできる環境」「契約者本人が外出できない場合も可能」の4つ。
  • 対するデメリットは、「ITツール導入の手間」「通信環境の不安定性」「身元確認の不確実性」。

現在、ITを用いた重要事項説明は賃貸契約に関するものに限定されていますが、さらに不動産売買へと裾野を広げると予想されます。今回ご紹介した内容を、今後の不動産投資にぜひお役立てください。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ不動産プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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