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コロナ禍における賃貸ニーズの変化とは?自宅で過ごす時間が増えたことによる影響について

2021/03/02
コロナ禍における賃貸ニーズの変化とは?自宅で過ごす時間が増えたことによる影響について

コロナ禍の影響を受けた2020年、公私ともに自宅にいる時間が増えて賃貸物件に対するニーズも変化しました。

こちらの記事では、コロナ禍における賃貸ニーズの変化やおすすめの不動産投資について解説していきます。

コロナ禍における中古マンションの成約件数の推移

国土交通大臣指定の「公益財団法人 東日本不動産流通機構」が発表した、月例マーケットウォッチ2020年11月度によると、2020年11月の首都圏の中古マンションの成約件数は、3,620件と前年比較で14.0%となっています。

2020年10月度も前年比で31.2%となっており、この数ヶ月で前年を大きく上回る成約件数で推移していることが分かります。

中古マンションの需要が急激に伸びてきていると言っていいでしょう。

当サイトのプロデューサーである、八木チエのYou Tubeチャンネル「不動産投資の女神チャンネル」にて、分かりやすく解説する動画も公開しておりますので、ぜひご覧ください。

参照:不動産投資の女神チャンネル

●首都圏の中古マンション 成約件数推移

年/月
件数(件)
前年比
2019/113,175-1.6%
2019/122,810-5.9%
2020/012,6800.5%
2020/023,7497.6%
2020/033,642-11.5%
2020/041,629-52.6%
2020/051,692-38.5%
2020/063,107-11.0%
2020/073,156-2.4%
2020/083,05318.2%
2020/093,328-7.3%
2020/103,63631.2%
2020/113,62014.0%

出典:公益財団法人 東日本不動産流通機構

コロナ禍における中古マンションの成約価格の推移

国土交通大臣指定の「公益財団法人 東日本不動産流通機構」発表した月例マーケットウォッチ2020年11月度によると、2020年11月の首都圏の中古マンションの成約価格は、3,756万円となっており、前年比で5.9%の増加となりました。

直近半年間については、どの月も前年比で成約価格が5%以上上昇しています。

この成約価格上昇は、2020年にコロナ禍でさまざまな投資が打撃を受けてしまった中、不動産投資には、人気が集まった結果であると言えます。

改めて、このコロナ禍において安定感のある投資であることが市場に評価された証左といえるでしょう。

●首都圏の中古マンション 価格推移

年/月価格(万円)前年比
2019/113,5487.6%
2019/123,5505.0%
2020/013,67211.5%
2020/023,5732.7%
2020/033,4890.0%
2020/043,201-5.8%
2020/053,296-0.9%
2020/063,5415.3%
2020/073,6285.4%
2020/083,6445.3%
2020/093,6936.6%
2020/103,6495.4%
2020/113,7565.9%

出典:公益財団法人 東日本不動産流通機構

コロナ禍において賃貸ニーズが高まったエリアとは?

2020年に猛威を振るった新型コロナウイルスの影響を受け、賃貸需要はどのように変化したのでしょうか。

最新の需要を調べるためのツールとして「ヒートマップ」があります。

このヒートマップでは、賃貸物件入居希望者の閲覧頻度によって色分けして表示されています。

つまり、そのエリアでの賃貸ニーズをある程度把握することが出来るようになっているのです。

参照:LIFULL HOME‘S


例として、新橋駅周辺を見てみましょう。

色が赤色なっているエリアは、賃貸物件の閲覧回数が多いことを示しています。

逆に青色や紫色になっているエリアは閲覧回数が少ないことを示しています。 

次に入居希望者の間取り検索条件です。ワンルーム~1LDKの検索が過半数を占めており、このエリアは単身者のニーズが高いことが分かります。

続いて、賃貸入居者の希望家賃です。このエリアでは、15万円~20万円の層が最も多くなっていることが分かります。

以下のデータは、賃貸入居者の希望する専有面積を示しています。20㎡~30㎡のワンルームタイプの需要が最も大きいことが分かります。

続いて、賃貸入居者の希望築年数です。築15年~20年の物件を全体の1/4の方が希望していることが読み取れます。

築31年を超えた物件に15%以上の方が検索しているのは、このエリアに住みたいけれど家賃が高くて、古い物件ならば・・・といった層と予想できるでしょう。

最後に、賃貸希望者の最寄り駅からの徒歩時間に関するデータです。こちらのデータからは、90%以上の方が駅徒歩10分以内を希望していることがわかります。

参照:LIFULL HOME‘S

このような方法で、賃貸ニーズのあるエリアを調べることができます。不動産投資を始めようと考えている方は、ぜひ利用してみてください。

コロナ禍によって、高額賃貸ニーズが減少?

下記の表は、公益財団法人 東日本不動産流通機構から公表されている「首都圏賃貸居住用物件の取引動向」のうち、東京23区について抜粋したものです。

2020年4月~6月と7月~9月で賃料がどのように変化したのかをまとめてあります。

23区内で見てみると、賃料が上昇した区が12区、下落した区が10区、変化なしが1区となっています。

23区内で家賃が比較的高い(家賃13万以上)エリアである都心3区+渋谷区に関しては、上昇した区が2区(港区・渋谷区)、下落した区が2区(千代田区・中央区)となっています。

以上の状況を鑑みると、高額賃貸ニーズが減少しているとは、言い切れない状況となっています。

また、実際に家賃下落した千代田区、中央区は大手企業が多く集まっている区であり、テレワークの浸透により、会社の近くに住まなくてもよくなったという傾向が読み取れるとも言えるでしょう。


2020年4月~6月(A)2020年7月~9月(B)差(B-A)
東京23区

件数(件)

賃料(万円)

 件数(件)

賃料(万円)

賃料差(万円)

千代田区 11515.6193193-2.5
中央区34814.141713.6-0.5
港区54617.762518.2+0.5
台東区46910.657510.7+0.1
墨田区49110.05229.6-0.4
江東区61611.667011.3-0.3
荒川区2599.12909.4+0.3
足立区3958.84988.6-0.2
葛飾区2867.33087.7+0.4
江戸川区5449.16329.4+0.3
文京区36310.047210.1+0.1
豊島区6049.36549.6+0.3
北区4319.04518.9-0.1
板橋区5768.18688.4+0.3
練馬区6698.78708.6-0.1
新宿区95010.8 1,32811.0+0.2
渋谷区58414.165514.6+0.5
中野区8219.57919.4-0.1
杉並区6909.4 9069.4±0.0
品川区85012.01,06212.2+0.2
目黒区45012.250912.1-0.1
大田区1,3289.41,5159.3-0.1
世田谷区1,11410.71,22010.8+0.1

出典:公益財団法人 東日本不動産流通機構

首都圏賃貸居住用物件の取引動向(2020年04~06月)

首都圏賃貸居住用物件の取引動向(2020年07~09月)

コロナ禍において賃貸物件で求める設備とは?

コロナ禍において、賃貸物件で求められる設備とは、どのようなものなのでしょうか。

以下は、全国賃貸新聞が公表した「この設備があれば、家賃が高くても良い」という設備の調査結果です。

順位設備
1インターネット無料
2エントランスのオートロック
3宅配ボックス
4浴室換気乾燥機
5ホームセキュリティ
6独立洗面台
724時間利用可能ゴミ置き場
8システムキッチン
9TVモニター付きインターフォン
10エレベーター
11防犯カメラ
12ガレージ
13ウォークインクローゼット
14洗浄機能付き便座
15IoT機器

1位は「インターネット無料」でした。

コロナ禍で、テレワークが普及したことや、家にいる時間自体が増えたことにより、自宅でインターネットを利用する機会が増えました。インターネット回線を契約すると数千円かかってしまいますので、無料で利用できるのは非常に訴求力があるようです。

2位の「エントランスのオートロック」、5位の「ホームセキュリティ」、11位の「防犯カメラ」など、防犯面を重要視する方が増えているのが分かります。

また、3位の「宅配ボックス」は、従来は家にいなくても荷物を受け取れることが利点でしたが、コロナ禍においては、人との接触を避けようとする意識を伺い知ることができます。

出典:全国賃貸新聞

コロナ禍における不動産投資への影響とは?

第1章で解説してきたように、中古マンションの成約件数が増加してきています。

2020年のコロナ禍において、株式投資やFX投資などをはじめとして、さまざまな投資で打撃を受けました。そのような中、不動産投資が影響をほとんど受けなかったのは、コロナ禍において、不動産の価値が市場から評価されていると考えてよいといえます。

今後は、安定感のある投資として、不動産投資がさらに注目を集めていくと考えてよいでしょう。

賃貸ニーズの変化を受けてどのような不動産投資がオススメなのか?

コロナ禍によって、テレワークが大きく普及しました。これを受けて、ワンルームタイプの需要が増加していくものと思われます。

コロナ禍が起こる前から、単身世帯が今後の日本で増えていく予測になっていることに加え、今後は、「仕事をする場所」としての賃貸需要が期待できるからです。

都内においては、ワンルームマンション規制などもあり、供給の数は比較的抑えられていくと考えられています。手堅く不動産投資を行うならワンルームであるといえるでしょう。

第5章で解説した、「設備」についても、満たしているかどうかをチェックすることを念頭に入れておくと良いでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

コロナ禍における賃貸ニーズの変化やおすすめの不動産投資について解説してきました。今後の不動産投資をする方にこちらの記事が参考になれば幸いです。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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