不動産を購入する際に金融機関から借入を行う方が多くいます。
しかしローンの組み方を間違えると、ローン地獄に陥る可能性を秘めています。
ローン地獄に陥る原因とは、いったいどのようなものがあるのでしょうか。また、その対処方法はどのようなことが考えられるのでしょうか。
こちらの記事では、ローン地獄に陥る原因とその対策、また万が一陥ってしまった際の対処方法について徹底解説していきます。
自身の身の丈に合わない借入を行ってしまった場合は、ローン地獄に陥るリスクが高くなります。
一般的に、不動産を購入する際のローンとして「年収の7倍まで」が一つの目安になっています。
年収500万の方であれば借入の上限は3,500万円、年収600万円の方であれば借入の上限は4,200万円・・・といった具合です。
しかし、この上限ギリギリで借りるということが危険なのです。
なぜならば不動産にかかる費用は、購入時だけではありません。
また、将来的に家計が変化する要素をしっかり見込まなければなりません。
例えば、ご自身の勤務先の給与形態は安心でしょうか。途中で大きく下がる可能性などはありませんか。お子さんがいらっしゃる家庭は、将来かかる教育費を見込めていますか。さらにいうと、毎月の返済のみならず、老後資金も貯蓄できるでしょうか。毎月のキャッシュフローがカツカツなど、いざという時にローン返済に耐えられなくなってしまいます。
銀行などの金融機関は、多くの金額を長期間貸し出すことによって利益を得ています。
そのため、金融機関は評価額が出る物件であれば、借入額をあえて下げるような提案をしてくることは少ないといえます。
不動産を購入する側からすると、限度額いっぱいまで貸してくれる金融機関ことを有難いと感じる方もいらっしゃると思いますが、慎重に検討するようにしましょう。
もう1つの原因としては、ローンの選択で失敗してしまっている可能性があります。
世の中には、数千種類のローンがあると言われていますが、金利や融資条件、手数料などがそれぞれの金融機関によって異なっています。
不動産購入時に、不動産会社が勧めるローンの中には、その不動産会社と昔から付き合っている金融機関のものであることもあります。
もちろん、それがこれから借入をする方にとって最善であれば何ら問題はありません。
しかし、あくまで「お付き合い」の側面があるので、本当はもっと良いローンがある可能性は十分にあります。
ローンは、今後数十年にわたり、返済していかねばなりません。
後になって、後悔しないように金融機関やローンの選択については、勧められるがままではなく、ご自身で条件をきちんと調べることが重要となります。
まず第1に余裕を持ったシミュレーションをするようにしましょう。
この先、どんな方にも収入減のリスクがないとは言い切れません。
数年前まで華やかだった航空業界は、平均年収も高く、多くの方が憧れる職業でした。それが、新型コロナウイルスによる大打撃・・・。JALやANAといった超一流企業ですら、新卒の採用見送りやボーナス大幅カットになりました。
誰がこんな事態になると予測できたでしょうか。
この先、絶対に安泰となる職業などないことを再認識する必要があります。
また、金利上昇リスクも考慮に入れる必要があります。
2021年2月以降、長期金利の上昇の気配があります。以下は、直近1年間のフラット35の金利推移です。
年月 | 最低金利 | 最高金利 |
2020年1月 | 1.270% | 1.940% |
2020年2月 | 1.280% | 1.940% |
2020年3月 | 1.240% | 1.870% |
2020年4月 | 1.300% | 2.030% |
2020年5月 | 1.300% | 2.030% |
2020年6月 | 1.290% | 2.030% |
2020年7月 | 1.300% | 2.060% |
2020年8月 | 1.310% | 2.060% |
2020年9月 | 1.320% | 2.060% |
2020年10月 | 1.300% | 2.060% |
2020年11月 | 1.310% | 2.060% |
2020年12月 | 1.310% | 2.060% |
2021年1月 | 1.290% | 2.060% |
2021年2月 | 1.320% | 2.170% |
2021年3月 | 1.350% | 2.230% |
出典:住宅金融支援機構
多くの金融機関で「最低金利」の方を採用していますが、その水準が上昇してきています。
余裕を持った返済のためには、年収の20%(1/5)程度の返済額であることが理想です。裏を返せば、年間返済額の5倍程度が年収であることが望ましいといえます。
金利1.0%、35年ローンを組んだ場合のシミュレーションは下記のようになります。
借入額 | 2,000万円 | 3,000万円 | 4,000万円 |
毎月の返済額 | 56,457円 | 84,685円 | 112,914円 |
年間の返済額 | 677,484円 | 1,016,220円 | 1,354,968円 |
年間返済額の5倍 | 3,387,420円 | 5,081,100円 | 6,774,840円 |
こちらのシミュレーションで行くと、年収500万円の方が3,000万円、年収670万円~680万円の方が4,000万円の借入が理想ということになります。
一般的には「固定金利」と「変動金利」の2つのタイプに大別されます。
固定金利は、借入時から返済完了時まで、金利と返済額が一定のタイプです。
金利の変動リスクがない分、金利は変動金利と比較すると高めに設定されています。
なお、一度固定金利にすると、途中から変動金利への変更はできません。
一方で、変動金利は半年ごとに金利の見直しが行われるタイプです。
近年では、低金利で推移しているため、変動金利の方が金利面では有利となっています。
しかし、いつ金利上昇するか分からないのがリスクといえます。
どちらにもメリット・デメリットが存在します。ご自身の状況に照らして、タイプを選択することが重要といえるでしょう。
自分にあった金利タイプが分からない方は、専門家へ相談してみるとよいでしょう。
もし、金融機関への返済が難しく、ローン地獄に陥りそうになった場合は、どのようにするのが良いのでしょうか。
まずは、借入を行っている金融機関へ相談することが大切です。
相談することで、返済計画を見直してもらえるケースもあります。
月々の返済額を減額(当然返済期間の延長はされます)してもらえる可能性や、返済を一定期間猶予してもらえる可能性があります。
どうしようもなくなってから、相談をすると選択肢が限られてしまう可能性あるため、なるべく早いタイミングで相談していただくことをお勧めします。
最終的には、任意売却という手段があります。
任意売却は、金融機関から借入をしたローンを滞納している際に、オーナーと債権者(ここでは金融機関)が合意のうえで不動産を売却することです。
一般的に、オーナーが数ヶ月間ローンを滞納し続けると、債権者(金融機関)は、少しでもローンを回収するために、不動産の差し押さえをしたうえで「競売」にかけます。
競売にかけられてしまうと、市場価格よりかなり低い金額で買い叩かれてしまうことになりますが、任意売却にすると、この競売をストップすることができます。
また、任意売却を選択することによって「リースバック」などを利用できる可能性もあります。
こちらが利用できれば、そのままご自身の家に住み続けることが出来る可能性もあります。
リースバックについて詳しくは下記の記事をお読みください。
また、任意売却になると、債権者が売却価格を決めるのが一般的です。
そして、債権者は少しでも貸した金額を回収しようとするため、なるべく高い価格で売却しようとしてくれます。
しかし、任意売却を利用することによって、信用情報等に傷がつくので、今後数年間の生活に多少支障が出ることを覚悟しなければなりません。
こちらは、あくまで「最終手段」です。
いかがでしたでしょうか。
ローン地獄に陥る原因とその対策、そして万が一陥ってしまった際の対処方法について解説してきました。
ローンは、長い間付き合っていくものです。
少しでも不安な方は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家へ相談してみることをオススメします。