不動産売却

不動産売買時に確定測量は必要?それとも不要?費用や流れ、留意点を徹底解説!

2021/03/23
不動産売買時に確定測量は必要?それとも不要?費用や流れ、留意点を徹底解説!

「土地」や「土地付き一戸建て」の不動産売買をする際に、その土地の「境界」を明確にされていないケースがあります。

実は、境界が明確でないと、先々トラブルになってしまう可能性があるのです。

これから土地の売却を検討されている方、売却後のトラブルを避けるためにも、確定測量をした方がよいといえますが具体的にどういったものなのでしょうか。また、どういった流れでどのくらいの費用がかかるのでしょうか。

こちらの記事では、確定測量を行う際の費用や流れ、留意点を徹底解説していきます。

確定測量とは?

現況測量

土地家屋調査士が、土地の現況を目視で境界を計測する方法です。

境界杭の位置や塀の位置などから、「この辺りが境界」といった簡単なポイントを測量図に反映させていきます。

こちらは、正確な数字ではないため、ざっくりとした面積等を知りたい場合に利用します。

確定測量

土地の所有者、土地家屋調査士に加えて、現況測量の際には登場しない「隣の土地所有者」にも立ち会いをしてもらいます。

現況測量よりも格段に厳密な測量を行い、土地の境界を確定させます。

確定測量が必要な土地・不要な土地

確定測量が必要なケース

①土地を売却するとき

土地を売却する際には、買主側から書類の開示を要求されることがあります。

もし、確定測量図がないまま売却し、その後買主が境界のことでトラブルに巻き込まれてしまった場合、売主であるあなた自身にも責任が及びかねません。瑕疵担保責任と言って、事前に売主が物件の瑕疵を買主に開示していなかった場合に、売主が責任を負うといったものですが、建物のみ適用されるイメージをお持ちの方もいらっしゃると思います。

しかし、この瑕疵担保責任は土地についても適用されます。代表的なものは、土壌汚染や地中の埋設物などですが、境界についても同様です。買主の方にも安心して取引をしていただくという意味においても必要と言えます。 

②所有している土地に新たな建物を建てるとき

現在、所有している土地に新たに建物を建てる場合にも、確定測量図が必要となります。

きちんと確定測量を行っていない土地では、工事すらできない可能性もあるので注意が必要です。

確定測量が不要なケース

①分譲されている住宅を購入した場合

分譲されている住宅を購入された方は、既に確定測量がされている可能性が高いです。その際には、わざわざお金をかけて自身で行う必要はありません。

購入時に不動産業者から測量図も一緒に渡されているケースもあります。

不安な方は、管轄の法務局に問い合わせてみるとよいでしょう。

②地価が安い大きな土地

後述しますが、確定測量にかかる費用に、土地の面積が大きく影響します。面積が大きければ大きいほど、手がかかり費用が高額になりがちです。

資産価値があまり高くない土地においては、稀に売却価格を調査費用が上回ることがあります。こうなってしまっては本末転倒です。

確定測量の流れ

次に、確定測量する際の流れについてみていきましょう。

依頼から、完了まで3ヶ月ほどかかります。必要な方は、完了したい日程から逆算してスケジュールを段取る必要があります。

土地家屋調査士へ確定測量依頼をする

まずは、土地家屋調査士へ確定測量することからスタートします。

依頼に際しては、土地の登記識別情報や登記簿謄本、建物の図面等を用意しておくとよいでしょう。また、今後のスケジュールや提出書類などについて、不明な点があればこの段階で相談しておきましょう。

必要書類を提出し、現況測量

依頼の後、必要な書類の提出を依頼されます。

役所や法務局などに行き、依頼された書類を入手し調査士へ渡します。役所や法務局で手に入れた資料以外で、あっても家に境界についての参考資料がある場合には、この時点で渡しておくようにしましょう。

書類が整った後、調査士が現況測量を行い境界のところに仮の杭を設置しておきます。

境界確認のための立ち会い

仮杭の設置が終わったら、境界確認のための立ち会いが行われます。

立ち会うのは、調査の依頼者、土地家屋調査士、隣の土地の所有者などです。隣の土地が私有地ではなく公用地である場合は、役所の職員が立ち会います。

ここで、双方が納得した場合には、コンクリート杭などの境界標を設置します。

土地の境界を決める相手が公的機関(役所)の場合、立ち会いに来る方に決裁権があることは、ほとんどなくその場で結論は出ません。一旦持ち帰って、上長に確認したり稟議を通過させたりするため、次のステップへ行くまでに時間がかかることが多いです。

確定測量及び書類の完成

隣の土地を所有している方からの同意を得ることができ次第、ようやく確定測量を行うことになります。

その後、詳細な図面(=確定測量図)が出来上がります。また、隣の方から筆界確認書に署名・押印をしていただきます。土地家屋調査士が、この確定測量図と筆界確認書を法務局に登記して完了です。

実際にやることが多くあり大変そうに見えますが、専門家(=土地家屋調査士)などが助けてくれますので、何かあればすぐに相談するようにしましょう。 

確定測量にかかる費用相場

次に確定測量にかかる費用を見ていきます。

土地が約100㎡の場合、官民の立ち会いが必要なケースでは600,000円~800,000円程度、不要のケースでは300,000円~500,000円程度となっています。

しかし、面積が同じであっても土地の形が複雑であるケースや、必要な資料がないケースにおいては、相場よりも高くなる可能性があります。

以下のようにいくつかの段階で費用がかかります。

各種事前調査業務

事前に現地に行っていただく「現地調査」や確定測量を行うにあたって必要な「図面調査」「所有権の調査」などがあります。

こちらの費用相場は100,000円程度です。

測量業務

実際に現地で測量を行う「現地測量」やその後の「境界検証」などがあります。

こちらの費用は100,000円~150,000円程度です。

土地の形や面積によって左右されてきます。

書類作成業務

さまざまな書類の作成を依頼することになります。「不動産調査報告書」「測量図作成」などが主となります。

こちらの費用は30,000円~50,000円程度です。

境界確定業務

境界を確定させるための「立ち会い」「境界確認書作成」などがこれに該当します。

隣の土地を個人が所有している「民有地」である場合と、国や都道府県、市区町村などの自治体が所有する「官有地」の場合とでは、業務量が異なってくるため金額に大きな差が生じます。

一般的に民有地のケースの方が圧倒的に安く相場は20,000円程度です。一方で官有地のケースでは100,000円程度になることもあります。

確定測量を行う際の留意点

段取りをしっかりする

今日依頼して、1週間後までに・・・などという性質のものではありません。

前述のように、依頼から完了まで3ヶ月程度かかります。中には、境界確定が長引き半年近くかかってしまうケースもあります。土地の売買が目的のケースでは、確定測量が中々進まないと、売買の話自体がなくなってしまう可能性があるので気を付けましょう。

先を見て段取りをきちんとすることが重要です。 

今は、売却の予定がなくとも将来的に考えているという方は、今から準備しておいていただいても決して早くはありません。 

隣の土地を所有している方との関係

土地所有者の方は、隣の方の顔を知っていますか?会ったら挨拶をきちんとしていますか?そもそも、どんな方かご存知ですか?

知らないだけなら、まだしも、日ごろから何かとトラブルがあり、あなたご自身への心証が良くないと境界確定の際にも影響してくる可能性があります。立ち会いを拒否などされてしまうと先に進めません。

日ごろから関係を良好にしておくようにしましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

不動産売買の際の確定測量について解説してきましたが、流れや費用面はご理解いただけましたでしょうか。

調査を依頼するに際しては、適正な金額で行うべく複数から見積もりを取ることをオススメします。

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八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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