「晴海フラッグ」への投資を検討している方は、上記のような疑問を持っている方も多いでしょう。
結論を言うと、「晴海フラッグ」は選手村で利用した建物を改修して大規模マンションにするため、東京五輪の開催時期や開催の有無によって大きな影響をうける可能性が高いです。
この影響を理解するためには、晴海フラッグの特徴をよく理解しておかないといけません。
そこでこの記事では、東京五輪の開催案と晴海フラッグへの影響、晴海フラッグの特徴について詳しく解説していきます。
晴海フラッグへの投資を検討している方は、この記事を最後まで読んで参考にして頂けると幸いです。
2020年1月に中国で感染が拡大した新型コロナウイルスは、全世界に大きな影響を与え続けています。
例えばアメリカやヨーロッパ各国では「ロックダウン」という都市封鎖が行われ、自由に外出ができない状況になりました。
また日本でも緊急事態宣言が発令されるなど、生活様式が大きく変わっています。
このような状況の中で、2020年3月24日にIOC(国際オリンピック委員会)は東京五輪を2021年に延期することを決定しました。
東京五輪の開催は、2021年3月現在でも不透明な状態が続いています。
IOCと日本政府は2021年夏の開催を目指していますが、新型コロナウイルスの変異型が発生し、新型コロナウイルスの猛威は収まっていません。
また2021年3月20日にはフランスのパリがロックダウンされるなど、日本だけでなく世界の情勢も不透明な状態です。
その中で、東京五輪の開催については以下の3つの説が出ています。
それぞれについて説明します。
最も有力な説が2021年の夏に開催する案です。
IOCのバッハ会長は「東京五輪の中止や再延期の憶測は相手にしない」と延期の可能性を否定しています。
また東京五輪組織委員会の橋本聖子会長も、開催に意欲をみせている状況です。
しかし「日本で緊急事態宣言が3月21日まで発令されていた」ことや、「海外でも未だに新型コロナウイルスが収束していない」ことなど、開催についての懸念材料は非常に多いと言えます。
次に有力視されている説が無観客での開催案です。
2021年1月27日にIOCのバッハ会長が東京五輪の無観客での実施について言及しており、「無観客での実施については明言できない。しかし、安全な大会の開催に必要なことは何でもする」と無観客での開催については否定していません。
また3月3日に行われたIOCやIPC(国際パラリンピック委員会)会長と、小池知事、橋本聖子組織委員会会長、丸川五輪相による5者協議では、無観客開催について協議されています。
ただし無観客開催なら経済損失が約2.4兆円になるとの試算を関西大学の宮本勝浩名誉教授が発表しており、経済的な打撃を懸念する声もある状況です。
11年後の2032年に開催する案は、政府やIOCからの言及は特にされていません。
IOCは基本的に再延期を考えていないため、現在この案は最も可能性が低い案になります。
なぜ11年後の2032年に開催するかというと、24年のパリ大会と28年のロサンゼルスが決まっているためです。
28年のロサンゼルス五輪のあとに、東京五輪を行うという案になります。
東京五輪の延期や中止が選手村跡地に作られる「晴海フラッグ」に対して、どのような影響を与えるかについて解説していきます。
晴海フラッグ(HARUMIFLAG)とは、オリンピックの選手村として利用された建物を分譲および賃貸マンションに改修するプロジェクトのことです。
このプロジェクトは、中央区の13万平方メートルを超える敷地に24棟のマンションを建設し、総戸数は5,632戸(分譲4,145戸、賃貸1,487戸)を予定しています。
選手村で利用した建物をマンションにするという点が大きな特徴のひとつです。
2012年のロンドンオリンピックの選手村である「イーストビレッジ」を大会後に民間企業が買い取り、分譲や賃貸マンションとして改修し、再利用した計画が成功したため、この事例を真似て晴海フラッグのプロジェクトが計画されました。
晴海フラッグの主な特徴は以下の7つです。
こういった特徴があるため、第一時分譲では非常に人気がありました。
晴海フラッグが投資用物件として向いているかどうかは、不透明な部分が多いです。
平均坪単価が安く様々な施設も作られるというメリットがある一方で、懸念されるリスクも多数あります。
特に、最寄り駅から徒歩20分かかるという「駅遠」のデメリットを打ち消すとされるBRT(高速バス運用システム)の実用化の有無は大きな懸念材料です。
投資用物件を購入する際に重要なポイントである立地は、決していいとは言えません。
停留所の少ないBRTが正常に機能しないと、利便性が良くない物件になってしまう怖れがあります。
ただしリモートワークの拡大により求められる立地条件にも変化が出ているため、購入するタイミングを見極められると優良な投資物件になる可能性は高いです。
晴海フラッグは2019年7月から段階的な販売を開始し、分譲として940戸が販売されました。
その際に893戸に対して2,220件の申し込みがあり、人気がある状態で第一期分譲が終了しています。
しかし東京五輪の開催が1年延期して2021年開催になったことにより、当初2023年に引き渡し予定だったマンションが2024年の引き渡しになりました。
また第一期分譲で契約した方は東京五輪の延期によって契約の解除が可能になり、契約を解除した場合には手付き金も返却されるため契約を解除した人もいます。
東京オリンピックの延期前は、2020年6月以降に第二期分譲と新街区第一期分譲が予定されていましたが、オリンピックの開催時期が不明のため分譲ができない状況になっています。
またオリンピック開催後に工事予定のタワーマンションの建設も延期されており、今後どの程度建設が遅れるかもわかっていません。
2021年の東京五輪の開催が更に延期された場合は「晴海フラッグ」にどういった影響を与えるのでしょうか?
「東京五輪が1年延期したケース」と「東京五輪が11年延期したケース」について解説していきます。
東京五輪が更に1年延期して2022年に開催された場合は、契約している方の解約が増える可能性が高いといえます。
その理由は、引き渡しの予定が当初より2年延期されるため、子どもの就学などを考えて購入した人はライフプランが大きく狂ってしまうからです。
一方で不動産の評価額が下がる可能性は高くありません。
なぜなら、1年の延期の場合は、「晴海フラッグ」が選手村として利用される可能性が高いため、オリンピックの選手村だったという付加価値が失われないからです。
引き渡しにさらに1年という時間がかかるデメリットはありますが、不動産の価格はあまり下がらないため、投資用物件としては問題無さそうです。
東京五輪が11年延期して2032年の開催になった場合は、晴海フラッグがオリンピックの選手村として利用される可能性は非常に低くなります。
企業としても入居者を入れずに11年待つことは旨味がなく、投資した資金の回収もできないため、現実的ではありません。
そのため東京五輪が11年の延期をすると決まれば、すぐに分譲マンションとして売却される可能性が高いと言えます。
このような事態になってしまうと選手村として利用されることはなくなるため、オリンピックの選手村だったという付加価値がなくなり、価格が下落する可能性が高いです。
東京五輪が中止になった場合も11年延期された場合と同様に、選手村で使用されたという付加価値がなくなるため、価格が下落する可能性が高いです。
選手村の付加価値がなくなると、「最寄り駅から徒歩20分かかる」不便な大規模マンションとみなされる可能性があるため、2割程度価格が下落するという意見もあります。
最寄り駅の勝どき駅周辺にはタワーマンションの建設が続いており、朝の通勤ラッシュが予想されることも価格が下落するといわれている原因のひとつです。
しかし価格が安く環境が良いため、人気になるという意見もあります。
リモートワークの拡大により、立地の悪さは問題にならないという観点です。
また交通混雑の解消のために晴海フラッグと新橋駅を行き来するBRTの運行が計画されており、交通の便が悪いというデメリットが改善される可能性もあります。
東京五輪の開催時期や開催の有無が不透明なため、現状晴海フラッグが東京五輪によってどういった影響を受けるかを判断することは非常に困難です。
ただし東京五輪が長期の延期や中止になると、晴海フラッグの価格が下落するという意見は少なくありません。
晴海フラッグへの投資を考えている方は、投資効果について慎重に見極めることが重要です。
晴海フラッグへの投資を検討している方は、ぜひこちらの記事を参考にして頂けると幸いです。