投資用不動産を購入したけれど、購入直後に入居者がすぐに退去してしまうケースがあります。
なぜ、そのようなことが起こるのでしょうか?
実は、その物件をあなたに高利回り物件だとして、契約してもらうための「偽装入居者」の可能性があります。
きちんと調べずに契約して、後になって後悔した・・・とならないようにしなければなりません。
こちらの記事では、偽装入居者見破るための方法や留意点を徹底解説していきます。
なぜ偽装入居者がいるのでしょうか?
さまざまなケースがありますが、代表的なものは収益物件の購入希望者に対して、購入促進するためです。
さらにいうと、より高く買ってもらうためです。
以下にて具体的に見ていきましょう。
そもそも不動産の売買価格はどのようにして決まるのでしょうか。
自身の居住用物件と投資用の収益物件とでは、実は価格の決定方法が異なります。
自身居住用物件の場合は、「取引事例比較法」という方法が用いられることが一般的です。
これは、過去に売買実績のある、似たような取引事例をもとに、対象物件との違いを考慮して査定金額を算出する方法です。
簡単にいえば、似たような条件の物件と乖離があまり出ないような査定となります。
一方で、収益不動産の売買価格は「収益還元法」を用いて算出されることが一般的です。
これは、その物件が将来的に生み出す可能性がある収益から査定金額を算出する方法なのです。
家賃が高ければ高いほど、利回りが高くなり将来的に生み出す収益も大きくなります。
よって、築年数がある程度経過していたとしても、その点はこちらの方法についてはあまり関係がなく、家賃収入が大きい物件ほど、物件取引価格は高くなる可能性があるということです。
裏を返せば、「入居者がいない物件=家賃収入がない物件」については、どれだけ新しくても、立地が良くとも売買価格が低くなる可能性があるということなのです。
ここまで読んで頂ければ分かって頂けるかと思いますが、つまり、偽装入居者は、「入居者がいない物件=家賃収入がない物件」ということを回避するために存在しているということなのです。
さらにいえば、わざと相場よりも高い家賃で入っておいて、買主に「高収益が狙えるなどと甘い言葉をかけ」高い金額で売りさばくという可能性もあるのです。
このような事態に巻き込まれないために、収益不動産の購入を検討している方は、きちんと偽装入居者を見破るための方法を理解しておく必要があります。
もし、偽装入居者の場合、基本的にそこには住んでいません。これを逆手にとって見破ることが出来る可能性があります。
まずは各種メーターをチェックすることです。夏であれば特に電気のメーターがいいでしょう。
エアコンを使わずに生活するなど普通であれば厳しいからです。
エアコンを使っていれば電気のメーターは進みますがこれが進んでいなければ、そこで生活していないと疑う余地があります。
冬のケースであれば、ガスのメーターがいいでしょう。
お風呂に入る際には、ガスを使用するケースが一般的です。(一部では電気の場合もあります)
ガスのメーターが進んでいなければ、夏の電気のケース同様、誰もそこで生活していないことを疑う余地がありそうです。
誰も住んでいない物件のポストは、どのようになっているでしょうか。
集合ポストでは、ポスティング業者が数を裁くのに持ってこいの場所で、さまざまなチラシをどんどんポスティングしていきます。
そのため、定期的にポストの中身を取らなければ、2週間~1か月たらずの間に広告等で溢れかえってしまいます。
このような状態のケースでは要注意です。
また、ポストの入り口をテープなどで塞ぎ、中に郵便物すら入れられないようなポストも見かけます。
ポスティングチラシが溢れるのを防ぐためにやっている可能性もあるので、このようなケースも要チェックです。
マンションに住んでいる皆さんは、隣にどんな方が住んでいるかご存知ですか?
住んでから半年ほど経てば、一度や二度顔を合わせたことがあるのではないでしょうか。
もしくは、ドアを開ける音や掃除機をかける音など、何らかの生活音を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
少なくとも、「誰かが住んでいる」ということは分かる可能性が高いです。
本当に気になる方は、隣の方にインタビューしてみることをオススメします。
ただ、いきなり話を聞きに行くのは抵抗がある方もいますので、最終手段にするといいでしょう。
敷金及び家賃、入居開始日など賃貸借の条件が記載されている「レントロール」というものがあります。偽装入居者か否かを見極める上で、非常に重要な資料となります。
投資用不動産を購入するにあたっては必ずチェックするようにしましょう。
以下では、特に見ていただきたい点を列記します。
周辺エリアの家賃相場と比較した際に、高い場合は注意が必要です。
第1章でも述べましたが、家賃を高くすることによって高利回りをアピールして買主に魅力を与えている可能性があるからです。
あからさまなものは、すぐに気付くため、微妙なラインでやっているケースが多いようです。
少しでも違和感がある場合は、一歩立ち止まって考えるようにしましょう。
新築物件のケースであれば、入居開始時期は揃っていて当然です。
しかし、中古物件のケースで揃っている場合は偽装入居を疑わなくてはなりません。
入居開始日がここ最近のものばかりのケースや、過去に一定の期間に集中しているケースでは注意が必要です。
複数ある部屋同士で名義が揃っているケースでは注意が必要です。
特に、同じ法人の名義で揃っている場合は、一時的に誰かを意図的に住ませている可能性も否定できません。
投資用不動産の売買価格は、前述の収益還元法によって決定されます。
つまり、利回りが高すぎる場合には、裏に何かあると疑ってかかった方がよいということです。
実際に利回りは、どのくらいあればよいとされているのでしょうか。
一般財団法人日本不動産研究所から公表されている「第43回不動産投資家調査」によると、主要都市における「期待利回り」は下表のようになっています。
※期待利回り=購入した後に期待される年間家賃÷物件価格×100
おおむね4%台の後半から5%台の後半になっています。
次に都内です。
都内においては、4%台前半~中盤の推移となっています。
望ましいとされるのは、相場と比較して1%程度高い利回りの物件です。
主要都市であれば7%前後、都内の物件であれば5%台後半の投資用不動産がお勧めであるといえます。
いかがでしたでしょうか。
偽装入居者がなぜ存在するのか、ご理解いただけたでしょうか。
こちらの記事で解説した偽装入居者を見破る方法や投資用不動産を購入する際の留意点をぜひ参考にしていただき、不動産投資の成功にお役立ていただければ幸いです。
もし、偽装入居の心配のある方は専門家に相談してみるとよいでしょう。