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自販機設置で土地を賢く有効活用!メリット・デメリットや成功のポイントを解説

2021/04/06
自販機設置で土地を賢く有効活用!メリット・デメリットや成功のポイントを解説

自販機設置の土地活用は、狭い土地で収益化する際に有益といわれる投資手法です。今回は自販機設置の土地活用とは何かについて、メリット・デメリットや成功のポイントなどを交えて解説します。自販機ビジネスに興味のある人や、土地のさらなる収益化を目指したい人はぜひ読んでみてください。

自販機設置の土地活用とは

自販機設置の土地活用とは、そもそもどのような投資方法なのでしょうか?日本で需要があるとされる背景とあわせてみていきましょう。

自販機設置の土地活用の概要

自販機設置の土地活用とは、所有する土地や借りた土地などに自販機を設置し、収益を得るビジネスです。一般法人「日本自動販売機システム機械工業会(JVMA)」の2019年12月末現在のデータによると、飲料自販機の普及台数は約237万台。また、年間の売上は2016年の調査の段階で2兆円を超えるとされています。日本の自販機の普及率は人口1人あたりでみると世界トップレベルであり、現在も大きな市場を有しています

自販機設置の土地活用に需要がある背景

日本はあらゆる場所に自販機があり、すでに飽和状態だとの指摘もあります。果たして本当に土地活用としての将来性は見込めるのでしょうか?自販機設置の土地活用に需要があるとする背景を、2つの特徴をもとにみてみましょう。

1つ目の特徴は「顧客を飽きさせない日本の自販機の技術力の高さ」です。1970年代半ばに登場した「クールとホットの飲料を一緒に販売する自販機」は世界的にみても革新的な技術として注目を集めました。現在も、スマホアプリや電子カードで購入できるイノベーション自販機やデジタルサイネージ型の自販機など技術の進化は続いています。顧客を飽きさせないアイディアや技術力は、日本における自販機設置の土地活用の需要を維持し続けられている一因です

そして2つ目の特徴は、「顧客の潜在需要の高さ」です。独立行政法人中小企業基盤整備機構による2012年の調査によると、今後も自販機を利用したいと回答した比率が約70%と高く、20代男性や30代女性、60代の男女などのターゲット層の潜在需要があると明らかになりました。つまり、自販機市場は飽和状態にあるものの、若年層や高齢者への関心を喚起することでさらなる需要の開拓が可能だといえます

自販機設置の土地活用の特徴について

自販機設置の土地活用にはいくつかの特徴があります。必要な土地の広さや設備、見込まれる利益などをあわせてみていきましょう。

「フルオペレーション」と「セミオペレーション」

自販機設置の投資手法には「フルオペレーション」と「セミオペレーション」の2つの方法があります。

「フルオペレーション」とは、自販機を設置する土地を飲料メーカーに貸し出し、売上の一部を得る投資方法です。自販機の設置、商品の補充、売上金や釣銭の管理、定期点検やメンテナンス、ゴミの回収など手間のかかる管理運用を業者が全て行ってくれます。ただし、自販機の電気代の負担は必要です。

「セミオペレーション」とは、自販機を購入して運用に関する収益を全て得る投資方法です。売上で得た収益は全て投資者のものなる点に加え、販売価格も自分で調整できるため、競合性の低い土地に自販機を設置できると高い収益が見込めます。ただし、初期費用として自販機本体の費用がかかるうえに、管理運用を全て自分で行うことが必要です。

必要な土地の広さ

自販機は種類によって大きさが異なるため、想定する機器の大きさが土地の広さにおさまるかどうか事前に把握する必要があります。また、一般的に自販機の高さは180cmほどあるため、土地の広さだけでなく障害物や屋根にぶつからないかも確認しておきましょう。なお、自販機をコンクリートベースで固定する場合は、奥行きが最低でも90cm以上は必要です。

必要な設備

自販機を購入する場合、自販機本体のほかに以下の設備の準備が求められます。

  • コンセント:自販機を稼働させるための電気を供給するため。
  • 防犯カメラ:いたずらや盗難を防ぐため。
  • コンクリートベース:屋外での災害による機器の転倒を防ぐため。
  • 転倒防止版:屋内での災害による機器の転倒を防ぐため。

自販機は平均して300kg程度のものが多く、災害が多い日本では転倒による人や物への被害を未然に防ぐ対策が重要です。

見込まれる利益

自販機設置の土地活用で見込まれる収益は、先述した通り投資方法によって異なります。フルオペレーションでの収益は飲料の売上本数によって決定され、相場のマージンは1本あたり15〜20%といわれています。

またセミオペレーションでの収益は、飲料の仕入れ価格と販売価格の差で決定されます。缶の場合は40〜70円程度で仕入れて110〜210円で販売し、ペットボトルの場合は50〜80円で仕入れて110〜190円での販売が一般的です。なお、フルオペレーションとセミオペレーションどちらのケースにおいても、電気代が2,000〜4,000円程度毎月かかる点に留意してください。

自販機設置の土地活用のメリット

自販機設置の土地活用にはどのようなメリットがあるのでしょうか?代表的な利点を解説します。

管理や運用の難易度が低い

自販機設置は無人で稼働してくれるため、管理や運用の面で難易度が低い点がメリットです。また、自販機で扱う缶やペットボトルは形に差異が少なく壊れにくいため扱いやすい特徴があります。なお、フルオペレーションでは商品や機器の管理なども業者がしてくれるため、さらに手間がかかりません。

狭い土地でも運用可能

所有している土地の面積が狭くても土地の活用が可能です。アパートやマンションの建設には広大な土地が必要ですが、一般的な自販機の場合は幅100cm、奥行き70cmほどのスペースがあれば収益化が目指せます。狭い土地活用の方法としては、その他にもトランクルームや駐車場、コインラインドリーなども可能です。しかし、自販機設置の土地活用はこのような投資方法よりもさらに狭い土地で運用できます。

他の土地活用と並行できる

先述したとおり、自販機は小さな土地があれば設置できるため他の土地活用との併用も可能です。例えば、アパートやマンション経営をしている場合、空いている土地に自販機を設置すればプラスの収益が得られます。

防犯や防災になる

自販機は夜間でも暗い道を明るく照らす効果があるため、防犯の役割があります。また、災害時にライフラインが切れた際、自分や周囲への水分補給としても活用可能です。収益が得られるだけでなく、もしもの事態にも備えられます。

自販機設置の土地活用のデメリット

一方で、自販機設置の土地活用にはどのようなデメリットがあるのでしょうか?代表的な事柄をみていきましょう。

ゴミやいたずら被害の可能性

自販機を設置すると、ゴミやいたずら被害が生じるリスクがあります。よくある被害としては、空き缶やペットボトルのゴミが散乱する、自販機の落書き被害や硬貨の入り口に物を詰められるなどの被害があるようです。このようなトラブルの抑止力として、自販機に防犯カメラを設置する対策を講じられます。

立地によっては管理委託が困難

フルオペレーションによる自販機投資の場合、オフィスや人通りの多い土地、集合住宅の近くや近くにコンビニがない土地などは比較的に設置審査がおりやすいとされています。しかし、収益の見込みがない土地では業者の審査がおりずに自販機の設置ができない場合があります。一方、セミオペレーションの場合は、自販機を買い取って設置するため業者の審査とは無関係です。

環境の変化によるリスク

「住宅地が取り壊された」「近くに新しくコンビニができた」などの環境の変化によって、自販機の収益が大きく影響を受ける可能性があります。周囲の変化はコントロールできない事柄であるため、状況によってはビジネスに失敗することもあり得る点に留意しましょう。

しっかり利益を得たい人には向かない

一般的に自販機1台で得られる収益は月に数千円程度にしかならないため、投資でしっかりと収益を得たい人には不向きです。狭い土地であっても駐車場やトランクルームなどとしての活用の方が利益は大きくなります。生活に不自由しないくらいの不労所得を得たい人は、自販機以外の投資方法を検討してみるとよいでしょう。

自販機設置の土地活用における収益計算の事例

自販機設置の土地活用ではどのような収益が得られると予想されるのでしょうか?フルオペレーションとセミオペレーションでの事例をそれぞれみていきましょう。

フルオペレーションの収益計算の事例

フルオペレーションでのひと月あたりの収益は、次のように概算できます。

(飲料1本あたりの販売価格)×(ひと月あたりの売上総本数)×(フルオペレーションのマージンの割合)−(ひと月でかかる電気代)

セミオペレーションの収益計算の事例

セミオペレーションでのひと月あたりの収益は、次のように概算できます。

(飲料1本あたりの販売価格)-(卸売業者からの仕入価格)×(ひと月あたりの売上総本数)-(自販機リース代)-(ひと月でかかる電気代)

リースではなく自販機を買い取って運用する場合、リース代ではなく初期投資として自販機本体の購入費がかかります。その他、状況に応じて機器の修理費用やメンテナンス費用などの加味も必要です。

自販機設置の土地活用におけるポイント

最後に、自販機設置の土地活用を成功させるためのポイントを解説します。

土地活用の目的の明確化

土地活用は目的によって適さないケースがあるため、何を目指すのか明確化してから活用方法を選ぶことがポイントです。例えば「豊な老後生活を送るための資金にしたい」という目的ならば、自販機ビジネスよりも賃貸経営をしたほうが大きな収益が得られます。投資の目的が手段と合致しているか確かめるには、まず「どうして土地を活用したいのか」を整理してみましょう。

土地の用途地域や制限の確認

用途地域は都市計画法によって利用が制限されている土地です。用途によっては活用できない場合があります。「所有している土地が用途地域か」「どのような制限があるか」は、不動産投資会社やインターネットなどから確認できます。

土地活用の専門家への相談

不動産投資会社やコンサルタントなどの専門家への相談は、トラブルのない土地活用への第一歩です。「所有している土地に適した活用方法が知りたい」「問題が生じたときにアドバイスがほしい」という方は、ひとりで悩まずに専門家に相談しましょう。

まとめ

今回は自販機設置の土地活用について、メリット・デメリットや成功のポイントなどを交えて解説しました。要点は次の通りです。

  • 自販機設置の土地活用には、土地を貸し出して売上の一部を得るフルオペレーションと、自販機を購入して全ての収益を得る投資方法セミオペレーションの2つの投資方法がある。
  • 自販機設置は小さな土地で運用可能であり、他の土地活用との併用もできる点がメリット。
  • 立地によっては管理委託が困難であり、収益化できても少額程度しか得られない可能性がある点がデメリット。

自販機設置の土地活用では専門家に相談し、アドバイスを受けることが成功への近道です。ご自身の所有している土地で自販機の運用ができるのか確かめたい人や、他の土地活用との併用をご検討の方は、ぜひお気軽に不動産投資会社にお問い合わせください。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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