不動産投資管理

需要期の空室対策とは?不動産経営を失敗しないためにするべきこと徹底解説!

2021/04/23
需要期の空室対策とは?不動産経営を失敗しないためにするべきこと徹底解説!

年度の切り替えである2月~4月は不動産の需要期と呼ばれています。この時期は不動産投資家にとっては非常に大切な時期です。なぜなら賃貸需要が年間の中で最も大きくなるからです。

  • 「需要期なのに、なぜ空室対策が必要なの?」
  • 「みんなが動き出す時期だから、問い合わせはたくさん入るでしょ」

と考える方も少なくないでしょう。しかし、これは大きな間違いです。

世の中には、多くの物件があるため、しっかり対策をしないと他の物件に埋もれてしまう可能性があります。

また、需要期と呼ばれる期間は、それほど長くないので、そこを過ぎてしまうと一気に需要が落ち込んでしまうため、絶対にチャンスを逃すことはできないのです。そのため需要期のうちに必ず空室を埋めなければなりません。

こちらの記事では、需要期の空室対策にはどのような方法があるのか徹底解説していきます。

なぜ需要期の空室対策が必要なのか?

2月~4月の需要期は、転居や大学生の1人暮らしなど賃貸物件の入居ニーズが1年の中で最も大きくなる時期です。

たくさんの需要があるのだから、空室対策などしなくても、賃借人はいずれつくだろうなどと高を括ってはいけません。なぜなら、他にも賃貸物件は多くあり、対策をしているオーナーも多くいるからです。 

忘れてはならないのは、日本における空き家率は年々上昇しているということです。

総務省の統計局が公表した資料によると、平成15年(2003年)に659万戸だった空き家の数が、平成30年(2018年)には846万戸となっており、15年の間で150万戸近く増えているのです。単純計算ではありますが、1年間で10万戸もの空き家が増加していることになります。

出典:総務省 統計局 

その原因は「需要数<供給数」になっているということです。需要数の方が多く、入居希望者が早く動き出して契約しなければ賃貸物件がなくなってしまうという状況であれば、ドンと構えていたら良いのですが、残念ながらそうではないのです。

入居希望者が数ある中から賃貸物件を「選ぶ」という流れは、今後もしばらく続きます。投資用不動産をお持ちのオーナーは、この「選ばれる側」になるように努力をしなければならないということなのです。

何もせずに、空室のまま需要期が終わってしまい、次の需要期までずっと空室が続くということは避けなければなりません。

具体的な需要期の空室対策とは?

フリーレントを設定する

需要期の入居希望者は、会社の転勤や大学への入学など、新しい生活を始める方が中心になります。

会社の転勤であれば、該当の会社がある程度、転居に伴う費用を負担してくれるケースもありますが、補助でお釣りが来ることはまずありません。少なからず、持ち出しはあるでしょう。

また、地方から都内の大学へ進学するなどで転居する方は、費用補助は基本的に出ません。引っ越し費用や、家具、家電の購入費用など何かと出費がかさみます。 

そのような中、契約したけれど、まだ引っ越していないにも関わらず、賃料を支払う、つまりカラ家賃が発生することをなるべく避けようとする心理が働きます。

このような時に、1ヶ月のフリーレント等がついていると、他の物件と比較した際に目立ちやすくなるはずです。

1ヶ月分の家賃をとれないのは、オーナーにとって目先は痛いかもしれません。しかし、この先数ヶ月ずっと家賃収入が得られない状況より、「損して得取れ」です。

入居希望者が魅力を感じる付加価値をつける

入居希望者が魅力を感じるような付加価値をつけることも差別化につながります。

例えば、家具、家電を設置してみることです。前述のように、転勤・入学など新生活を迎える方は何かと費用がかかります。既に配備されていることで、入居者側にとっては、購入費用のみならず引っ越し費用まで削ることでき、非常に魅力的です。

また、インターネットをフリーにすることや、ペットの飼育を可にすることなども他の物件との差別化となります。

築10年以上経過している物件では、リノベーション視野に入れると良いかもしれません。

賃料設定を見直す

賃料が、相場と比較して競争力がある設定になっているかどうかをチェックしましょう。知らず知らずのうちに、ご自身の物件が割高になっていて、賃料の段階で検討から漏れてしまうのは避けなければなりません。

一方で、この部分は利回りとも大きく関係してきます。また、一度下げてしまうと、なかなか上げにくくなってしまうことから、もし下げる場合は慎重に行うようにしましょう。 

また、敷金や礼金を設定している場合は、周辺の物件を鑑みて0円にすると効果的です。もしくは退去時に入居者に返金する敷金だけを設定するだけでも、大きく魅力を感じてもらえるでしょう。

どの方法が自分の物件にとって効果的であるか、管理会社と相談しながら見極める必要があります。

需要期を逃さないために心がけることとは?

入居審査のスピードアップ

入居希望者は、今後住む物件を決めるために問い合わせてきています。中には、急ぎで翌週には引っ越したいという方もいらっしゃいます。

入居審査は、管理会社・保証会社・オーナーと複数の方が絡むため3日~5日程度かかることがありますが、理想を言えばその日のうちに結論を出してあげられる状態にすることです。

需要期に問い合わせをしてくる入居希望者は、即決をする覚悟を持っているケースが多いです。入居審査自体に時間がかかってしまうと他の物件を検討してしまうかもしれません。

もし、入居者属性(学生のみ・社会人のみ・女性のみ)など、前提条件があるなど何か要望がある場合は、事前に管理会社へ伝えておいていただき、オーナー自身の審査は即日で判断するようにしましょう。 

入居者が学生の場合は、学年を確認

もし、入居者が学生の場合は、学年のチェックが必須となります。

大学4年生や専門学校生や短大生であれば2年で卒業となります。年度末をもってほぼ間違いなく退去することになるでしょう。そこで、オーナーは空室対策のために動く必要があります。 

解約通知は1ヶ月前が一般的ですが、2月末に解約通知を受けて、そこから募集するとなると出遅れてしまいます。

そこで、1月頃に入居している学生に退去予定があるかどうかを、それとなく質問してみることです。そして、もし退去予定であるならば、その日程を早めに決定してもらうことです。

これによって、募集をかける際の入居可能日が明確になってきます。入居可能日が分かっていると、物件を探している方も問い合わせがしやすくなります。 

また、場合によっては退去日自体を早めてもらうような相談をすることです。卒業をする方は、次のステージへ向かうので3月末までいることはあまりありませんが、中にはギリギリまで契約をする方もいます。退去後、クリーニングや原状回復などが入るため、入居可能日が4月中旬以降にずれ込んでしまうと、大きな機会損失となってしまう可能性があります。

相談次第では、2月中旬~下旬で退去、3月上旬~中旬にかけて入居可能という流れが作れるケースもあります。

これらの動きが出来るかどうかで、その後の募集状況が大きく変わってきますので是非、覚えておいてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

需要期の空室対策の方法について解説してきましたが、その重要さをご理解いただけたでしょうか。

ぜひ、こちらの記事を参考にしていただき、需要期のチャンスを逃さないようにしていきましょう。

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八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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