「収益マイホーム」という言葉を聞いたことはありますか?
近年、マイホームで収益を生み出すことが出来る「賃貸併用住宅」を検討する方が増えてきています。
入居している方からいただく家賃収入で、オーナー自身の住宅ローンの一部または全額の返済ができ、なおかつ、ローン返済が終了すると、家賃収入が丸々入ってくるというモデルです。
普通にマイホームを建てると、ローン返済は100%負担しなくてはならないことを考えると非常に魅力的であるといえます。
こちらの記事では、収益マイホームのメリットやデメリット、留意点を徹底解説していきます。
一般的なサラリーマンやOLの方で勤続年数が一定以上で余程低所得でない限りにおいて、誰にでもマイホームを購入するチャンスがあるといわれています。
毎月安定した収入があれば、金融機関は融資をしてくれる可能性が高いからです。
近年、年金への不安などから資産運用先として不動産投資が注目を集めています。
実際に、資産家だけではなくサラリーマンやOLの方の多くが初めているのもまた事実です。
しかし、マイホームを購入した後で不動産投資をしようとする際や、その逆で不動産投資をしている方がマイホームを購入しようとする際に制限がかかる可能性があります。
なぜでしょうか。
マイホームを購入する際には、住宅ローンを組むことが一般的です。要は、借入れを行うわけです。
不動産投資において金融機関から融資を受ける場合、アパートローンを組むことになります。
こちらも借入れです。
金融機関にとっては、住宅ローンでもアパートローンでも「借入れ」であることには変わりはないので、既に住宅ローンやアパートローンで借入れがある場合、他方における融資額が減少してしまう可能性があります。
中には、投資用不動産を保有しているために、頭金を多く入れなければ住宅ローンの融資が満足に受けられないというケースもあります。
バブル絶頂期は、マイホームを購入すると値段が上がっていき、売却することで売却益を大きく得ることが可能でした。
そのため金融機関もお金を貸すことに対しては、そこまで厳しくなかったといわれています。
バブルが崩壊した後は、不動産の価格が上がるケースが少なくなってきているため、金融機関も融資をすることに対して慎重にならざるを得ません。
しかし、マイホームを持ちながらでも不動産投資もしたい。そんな悩みに応えてくれる手法があります。それが収益マイホームです。賃貸併用住宅とも呼ばれています。
収益マイホームは、1つの建物の中に自身が居住する「自宅部分」と賃貸に出し、家賃を受け取ることができる「賃貸部分」が併設されている物件を指します。
自宅を建てる際には、住宅ローンを組みます。
普通は、住宅ローンを毎月ご自身の手元から捻出しなければなりませんが、収益マイホームにおいては、毎月家賃収入が得られることから、ローン返済に充当することが出来ます。
つまり、月々のローン返済額を抑えることが出来るのです。
また、ローンが完了した後には、家賃収入が入ってくる形にもなるので、ニュースで多く耳にすることになった年金問題の心配も少なくなります。
一方、賃貸併用住宅はメリットだけではなくデメリットもあります。
双方を鑑みて、実際に収益マイホームを建てるかどうか検討してみてください。
住宅ローンよりアパートローンの方が金利が高くなります。
不動産投資において収益物件を保有する際の借入れについては、アパートローンを利用することが一般的です。
裏を返せば、区分マンションやアパートなど、賃貸に出して家賃収入を得るような物件では、住宅ローンの利用はできません。
収益マイホームについては、どちらのローンが適用になるのでしょうか。
結論からいってしまうと、収益マイホームにおいては、金利の低い住宅ローンを利用することが可能になっています。
しかし、無条件で適用になるわけではありません。
具体的な条件としては、「自宅部分」の床面積が50㎡以上かつ、建物全体の床面積の1/2以上を占めていることが必要となります。
例えば、建物全体の床面積が200㎡として
といった形となります。
自宅部分の床面積を大きくし過ぎてしまうと、賃貸部分が小さくなってしまうため、収益性が落ちることになってしまいます。
バランスを見て、ご自身のよって最善の選択をするように心がけましょう。
一般的な住宅である場合、ローン返済はすべてご自身の手元から出すことになります。
例えば、一戸建てを購入するのに4,000万円の借入れを、金利0.6%、返済期間35年で行ったとします。
この場合、毎月のローン返済額は月々約106,000円となります。
一方で収益マイホームである場合は、住宅ローンの一部を家賃収入で補うことが可能です。
例えば、収益マイホームを建てるのに6,000万円の借入れを上記と同条件の金利0.6%、返済期間35年で行ったとします。
また、家賃として入居者から毎月90,000円が入ってくるとします。
この場合、金融機関への毎月の返済額は、約160,000円となりますが、家賃収入と相殺されて実質の負担が70,000円で済むというものです。
家賃相場が高いエリアであれば、さらに高家賃が入ってくる可能性もあり、うまくいけばローンのほとんど家賃収入で賄えてしまうケースもあります。
この数年、年金の問題に関するニュースを耳にすることが多くなりました。
厚生労働省から公表されているデータによると、毎年少しずつ年金支給額が減少してきているのが分かります。
出典:厚生労働省
年金を支える若い働き手が減少し、年金を受給するお年寄りが増加している状況なので、驚くような結果ではありません。
つい数年前に出生者数が100万人を切ってしまったニュースがあったばかりですが、昨年末には新型コロナウイルスの影響もあり、ついに80万人を切ってしまうのではという衝撃的なニュースが報道されました。
年金が徐々に減っていくというトレンドに傾向に歯止めがかかるような状況であるとはいえません。
このような状況で、収益マイホームはローンの返済が終わってしまえば、家賃収入が入ってくることになります。
もちろん、税金や管理費などは除外して考えなければなりませんが、それでも今後減っていくと思われる年金対策には非常に有効であるといえるでしょう。
収益マイホームは、自宅の上または横に他人が住むことになるため、絶対に住みたくないという方も中にはいることでしょう。
そういった意味で一般的な投資用不動産と比較した際には需要の面で不安が残ります。
万が一、売却を考えた際には、やや不利になってしまう可能性があることに留意しておくことが大切です。
自宅部分以外に、賃貸部分も併設するため必然的に床面積が大きくなります。
また、お金が大きくかかる水回り部分であるキッチンやトイレ、浴室なども別途設置しなければならず、イニシャルコストは高額になりやすいです。
家賃収入が得られる可能性があるとはいえ、大きな費用が必要となるため、事前にしっかりとシミュレーションを行った上で、動き出すことおすすめします。
どんな収益物件を購入する際にも重要なことですが、エリアの賃貸ニーズはどうなっているでしょうか。
万が一、入居者がいなければ、家賃収入を得ることができず、ローンで家計が圧迫されてしまう可能性があります。
ご自身が収益マイホームを建てようと考えているエリアに賃貸ニーズがきちんとあるのかどうか今一度チェックすることが大切です。
いかがでしたでしょうか。
収益マイホームについて解説してきました。
自宅が収益物件になるという非常に魅力的な側面がある一方で、少なからずデメリットも存在しています。
メリット・デメリット双方をしっかり吟味していただいた上で、やってみたいという方はぜひ収益マイホームを建ててしてはいかがでしょうか。