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不動産投資ローンの個人属性って何?融資を行う金融機関が見ているものとは何か徹底解説!

2021/05/13
不動産投資ローンの個人属性って何?融資を行う金融機関が見ているものとは何か徹底解説!

不動産投資をする際に、金融機関からお金を借りてローンを組むのが一般的です。

金融機関は、個人属性を見て融資するか否かを判断していますが、そもそも、個人属性とはどのようなものなのでしょうか。

そして個人属性の違いは、融資にどのような影響を与えるのでしょうか。

こちらの記事では、不動産投資ローンを検討している方向けに、金融機関が融資の審査をする際に見ている個人属性について詳しく解説していきます。ぜひ最後までお付き合いください。

個人属性とは?

個人属性は、融資を申込んだ方の年収、勤務先やその規模、金融資産の有無、借入の有無などを指します。

お金を貸し出す金融機関側からすると、「この人に融資をしてきちんとお金が返ってくるのか」、また「この人に貸すならどのくらいの金額までが良いか」を判断する材料となるのです。

一般的に、金融機関からの評価が高いと言われているのが、サラリーマンやOLなどの定職に就いていて、毎月きちんと収入が見込める方です。

近年、サラリーマンやOLなどの会社員の方々で不動産投資を始める方が増加しています。これは会社員の方々の属性が高いことに起因している部分が大きいということなのです。

また、医師などの年収が高い職業の方や、公務員の方も高属性となります。

下の表は、どのような職業の方が不動産投資を行っているのかを表したものになっています。

出典:不動産投資と収益物件の情報サイト健美家(けんびや)

個人属性には、勤続年数も関係してきます。

直近3年~5年の収入をみられることが一般的です。勤続年数は、長ければ長いほど信用は高まると言えるでしょう。

逆に、収入が不安定な方や、就職または転職して間もない方は、属性が決して高いとはいえません。

また、高収入や安定した職業の方であっても、他の借入があるケースや過去に金銭トラブルなどを起こしたケースでは、個人属性は低くなってしまいますので注意が必要です。

なお、金融機関側は、具体的にこれらの何をどのくらい見て、属性を判断しているのか、といった明確な基準値は公表していません。

また、これら以外にも金融機関独自で基準を定めている可能性もありますので、参考程度にしていただくといいでしょう。

個人属性が不動産投資ローンに与える影響とは?

個人の属性は、不動産投資ローンにどのような影響を与えるのでしょうか。

大きくは、「融資可」と「融資不可」ですが、融資可の場合は「金利」と「限度額」の2点になります。

金利は、融資を受ける金融機関の種類によって異なります。

おおよそメガバンクで1%台、地方銀行で1.5%3%程度、信用金庫で2%4%程度が目安となっています。

もし、3,000万円の融資を受けて返済期間25年で考えた場合、    

  • 金利2.0%の場合は、月々127,156円、総返済額は38,146,723

  • 金利3.0%の場合は、月々142,263円、総返済額は42,678,858

となります。

金利が1%違うだけで、大きく返済額が異なるのがご理解いただけることと思います。

また、融資限度額については、一般的に年収の57倍程度と言われています。

しかし、属性によって、7倍までとなったり10倍までと大きくなったりして変動していきます。

高属性の方ほど、金利は低くかつ限度額も大きくなります。

金利が低ければ、総返済額が低くなりますし、限度額が大きければ投資の幅ができるため、不動産投資に取り組みやすくなります。

個人属性以外で不動産投資ローンに影響がある要素とは?

個人属性は、特に問題がないのに、融資が下りない・・・といったケースが存在します。

それは、「物件自体の属性」です。

今の日本の不動産投資は、入居者から家賃収入を得ることによって収益を上げていくビジネスモデルがメインになっています。

裏を返せば、入居者がいなければ何も始まらないことになります。

金融機関は、物件の持つ収益力や管理状態なども見ています。

  • 賃貸ニーズがきちんとあるエリアなのかどうか

  • 物件付近の利便性は良いのか

  • 想定される利回りはどの程度なのか

  • 築年数が経っている物件の場合、耐震基準は満たしているのか

  • 過去の修繕はどのように行われてきたのか

など、上記のような項目で、物件自体の評価が低くなってしまっていると、個人属性がいくら良くても、融資が通らないこともあるのです。

不動産投資を始めるに際しては、金融機関から高く評価が出る物件選びも重要になってくるのです。

金融機関は基本、万が一返済期間中に名義人からの返済が滞ったケースを想定して、きちんと貸したお金を回収できるよう物件評価をしています。つまり、金融機関から満額の融資額が出ないような物件は資産価値が低いということになります。その場合は一旦購入を見直すようにしましょう。

個人属性を高く見せるためのコツは?

自己資金を多めに準備する

金融機関への預金残高など、自己資金が多く準備できる方は個人属性が高くなります。

現金を一度にたくさん準備できる人というのは、金融機関によってポイントアップ要素の1つとなります。

近年、頭金が少なくてもまたは0でも始められることを謳っている不動産会社もありますが、金融機関によってその条件でできる場合もあります。しかし、本当に全く自己資金がないのと、自己資金がある方の個人属性に対する評価は多く異なります。

また借入金額が大きくなると、後々のキャッシュフローに影響を及ぼす可能性もあります。

不動産投資で成功させたい方は、無理なく返済できる融資額を受けることを念頭に、余裕のあるシュミレーションするようにしてください。

他に組んでいるローンを見直してみる

もし、他でローンを組んでいる場合にはご自身にとっての負債となります。

これから組もうとするローン以外の月々の返済額に応じて、融資額が少なくなってしまう、または融資自体が下りなくなってしまう可能性があります。

他にローンを組まれている場合は、借り換えの見直しなど少しでも返済額を抑えることが重要です。

残高不足には要注意

融資がおりない原因として口座の残高不足も挙げられます。

実際にあったケースですが、この方は「年収は600万円、勤続年数も8年で勤めている会社自体も東証一部上場企業・・・」年収的にメガバンクからの融資は厳しいかもしれませんが、地方銀行などであれば、融資をしてくれる可能性が高くなります。

しかし、この方はどの金融機関からも融資が下りなかったのです。

なぜなのでしょうか。

それは、過去に口座の残高不足が原因で、「引き落としがかからない=未納」となってしまったからなのです。

携帯電話料金の引き落とし口座を生活用口座とは別に設定していたようです。

数ヶ月に1度、まとめて入金しておき、そこから携帯電話料金を引き落としていたのですが、残高があると勘違いし、入金をしなかったそうです。

悔やまれるのが、不足していた金額が約400円だったそうです。

その400円が足りなかったがために、引き落としがかからず、信用情報に傷がついてしまったのです。

信用情報は、各金融機関にも共有されます。

1度傷がつくと、数年間金融機関からの融資を受けることができなくなってしまいます。この方は、5年間上記の信用情報が抹消されなかったそうです。

うっかりしていようが、たった数百円の未納であろうが、金融機関には聞き入れてもらえませんので、注意しましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

不動産投資ローンを借りる際の個人属性について解説してきました。

融資のどのような影響を与えるのか、また個人属性以外で融資に影響を及ぼす事項についてご理解いただけたでしょうか。

融資をきちんとしてもらうためには、個人属性のほかに物件自体の属性も大切となります。

物件の選定にあたっては、ぜひ不動産会社へ相談してみるとよいでしょう。

こちらの記事が不動産投資ローンを検討している方の参考になりましたら幸いです。


八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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