投資用不動産を運用していくにあたっては、購入時が大切です。きちんと収益をあげていくためも、出来る限り安く購入することが肝になってくるからです。
しかし、オーナー側(売主側)は、高く売却することを望んでいるため、一筋縄ではいきません。
当然、一方的な値引き交渉では、なかなか受け入れてもらえないどころか、破談になってしまう可能性もあるため、双方にとって納得のいく形での取引が望まれます。
こちらの記事では、安く購入するためのネタや値引き交渉をする際の留意点について解説していきます。
投資用不動産を購入し、運用していくにあたっては様々な指標があります。それら中の重要な指標の1つが、「利回り」です。
利回りは、「年間家賃収入」を「物件購入価格」で割り算して求めます。そのため、物件購入価格が利回りに非常に大きな影響を及ぼすことになるのです。
物件購入価格が高いと利回りは下がり、低いと利回りは上がります。
利回りが高い方が良いということは、不動産投資を行っている方の間では周知の事実です。
また、購入価格に応じて、金融機関からローンの借入を行います。借りたお金には「金利」がついてまわります。
借りた金額だけ返済すればよいというわけではなく、借りた金額に応じて、利息を支払うというものです。
つまり、金融機関から借り入れる金額は、出来ることなら低い方が良いのです。借入れる金額も少なければ少ないほど、月々の返済額が低くなります。
月々の返済額は、オーナーのキャッシュフローに大きく関わってきます。
長期的にかつ安定的にキャッシュフローを生み出していくことが大切なのは、どんな投資においても同様です。
利回りを向上させる、長期的にキャッシュフローを安定させるという意味において、値引き交渉を行うことが極めて重要となってくるのです。
当サイトのプロデューサーである、八木チエのYou Tubeチャンネル「不動産投資の女神チャンネル」にて、分かりやすく解説する動画も公開しておりますので、ぜひご覧ください。
まずは、売主が値引き交渉に応じやすいケースを理解する必要があります。
1つ目は、3~4ヶ月を経っても売れていない物件です。
一般的に不動産の売却期間は3ヶ月前後と言われています。売却に出した当初は、どんな売主であっても強気になっています。交渉されたとしても、簡単に売却金額を下げるようなことはしません。
しかし、なかなか売れないと焦りが生じてくるものです。
「売れない=価格が高い」と感じる売主が増えて、値引き交渉に応じてもらいやすくなります。
2つ目は、月末などの「締め日」のタイミングです。
特に、売主が不動産会社などの法人である場合には、ノルマのようなものが存在します。
このように月末や決算直前の追い込みについては、不動産業界に限らず、どの業界にいえることです。
営業成績が未達になっている場合には、何とか達成させるために、不動産会社側も背に腹は代えられなくなり、値引き交渉に応じてもらえる可能性が高いといえます。
売主にとって、売却の理由は様々あります。
その中でも多いのが、早く現金化したいと考えている方もいらっしゃるということです。
例えば、決済には通常1ヶ月半~2ヶ月程度かかります。この期間を1ヶ月以内にすることが出来れば、早く現金化したいと考えている売主の方にとっては大きなメリットとなり、値引き交渉に応じやすくなるといえるでしょう。
ポイントは、「この値引き交渉に応じることは、あなたにもメリットがありますよ」といったことを提示することです。
不動産を購入する際には、「買付申込→売買契約」という流れになります。
値引き交渉は、一般的に買付申込を出す時点で行います。
買付申込を出した時点では、購入をキャンセルしたとしても違約金の発生はしません。
そのため売主にとっては、「値引き交渉に応じたのに、キャンセルされてしまうかもしれない」という不安があります。
本気で物件の購入を考えているのであれば、売主の方にその旨を伝えておきましょう。
不安が払拭されることによって、値引き交渉に対しても、前向きに応じてもらえる可能性が高くなります。
値引き交渉による値下げ金額は、どのくらいが妥当なラインなのでしょうか。
一般的に言われているのは、下2桁の切り捨てです。
例えば、価格が2,080万円の場合であれば、切り捨て後は2,000万円といった形となります。
これ以上の値引き交渉は、売主側の心証を害してしまい、破談となってしまう可能性も秘めているので、極力避けた方が望ましいといえます。
もちろん安ければ安い方がいいという方もいますが、大幅な値引き交渉に応じない売主が多いため、本気で購入したい物件は価格のバランスを把握しておきましょう。
なお、どうしてもの場合は、間に入っている媒介業者に相談してみるようにしましょう。
中古物件で築年数が経過している場合には、修繕が近い将来にほぼ間違いなく必要になると思われる設備があるケースも存在します。
この場合は、的確に指摘をするようにしましょう。
決済が完了して以降は、修繕にかかった費用を前のオーナーに対して請求することが出来ません。
そのため、購入前の段階で修繕を入れてもらう、もしくは想定される修繕金額を予め売買金額から差し引いてもらうなどの対応を取る必要があります。
間に入ってくれている業者とも相談し、具体的な金額を売主側にぶつけてみると良いでしょう。
価格は相場より低く、人気なエリアの掘り出し物件が売却に出ることもあります。
そのような物件であれば、他の方も狙っていると考えるのが普通です。売主にとって、買主を選べる状況になっている可能性が高いといえます。
間に入っている媒介業者も、業者自身の身入りになる仲介手数料の観点からいえば、売買価格が高いに越したことはありません。
そのため、わざわざ低い金額を提示してくる方との交渉をまとめようとはしないでしょう。
つまり、買主が複数競合しているような状況の中で、値引き交渉をすると「売却先の候補」からその時点で外されてしまう可能性があるのです。
売主側も、値下げ交渉をされる前提で売却価格を高めに設定しているケースが多くあります。
例として本来2,100万円で売れれば良い場合に、2,280万円で設定といった形です。
まず、第1段階として2,280万円から100万円落として、2,180万円で提案する。それでも、買主が納得してくれない場合には、端数を切り捨てて2,100万円で提案する。このような具合です。
買主側からすると、2段階も譲歩してもらっているわけですので、購買意欲は増すに違いありません。
しかし、下げてもらった金額が果たして資産価値相応なものなのかどうかを一歩立ち止まって見極めるようにしましょう。
値引き交渉は、あくまで売主が納得し応じてくれて初めてまとまるものです。
そのため、買主自身だけの主張を押し通すようなやり方は、あまりオススメできません。
これを言われたら売主がどう感じるだろうか?といった想像力を働かせ、先方を思いやるような姿勢を持つことが大切になります。
値引き交渉する目的やポイント、実際に購入するに際しての留意点についてご理解いただけたでしょうか。
不動産投資の成功のためには、物件を安く仕入れる「値引き交渉」が重要です。しかし、交渉はあくまで売主の合意があって成り立つものになります。
買主自身の利益だけに捉われ過ぎてしまうと、うまくいくものもそうでなくなってしまいます。
購入価格を下げることに、前のめりになり過ぎることなく、売主のこともきちんと考えるといったスタンスの方が、最終的にはうまくいくかも知れません。