都内においては、20代~30代の方を中心にワンルームよりも1回り小さい「極小アパート」が人気を集めています。
室内の広さよりも、駅までの距離などの利便性を求める方が以前よりも増えてきているようです。
このような極小アパートの賃貸需要市場は、入居率が非常に高く、不動産投資家にとっても放っておけない状況となっています。
なぜ、極小アパートは人気があるのでしょうか。
こちらの記事ではその背景とともにお伝えしていきます。極小アパートについて把握しておきたい方は、ぜひ最後までお付き合いください。
極小アパートは、床面積にして10㎡以下、畳にすると6枚程度の広さの物件のことです。
6畳といっても、バスやトイレ、キッチンなどもその中に含まれているため、実際に有効な居住スペースとしては、3畳~4畳程度となります。
近年、「3畳物件」と呼ばれているものは、まさにこのような物件です。
なお、3畳とは面積にして4.86㎡、正方形であるならば約2.2㎡四方の広さとなります。非常に小さいです。
国土交通省から公表されている「住生活基本計画」において、「最低居住面積水準」では1人暮らしの場合は、25㎡であるとされています。
この水準に照らしてみると、極小アパートの床面積は、この最低居住面積水準に遠く及ばない狭さです。
出典:国土交通省
こちらの記事を読んでいる方で、子どもの時に自分自身の部屋があった方は思い出してみてください。
多くの方は、6畳~8畳だったのではないでしょうか。
極小アパートの部屋は、皆さんが子どもの時に自分の部屋だった広さよりも1回り以上小さい広さなのです。
そんなに狭いところで生活なんて出来ない!という方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実は現在この極小アパートが20代~30代の方を中心に人気を集めているのです。
極小アパートの家賃相場は、どのくらいなのでしょうか。
日本において、最も高いとされる都心3区(千代田区・港区・中央区)の物件であっても、7万円台~10万円台とされています。
同エリアのワンルームと比較して2万円~3万円程度賃料が低いイメージです。
こちらの記事をお読みの方で、「都心3区で月10万円を切る物件だから、築30年や40年以上の築古物件でしょ」と思われた方もいらっしゃると思いますが、そうではありません。
築5年以内の物件であっても、上記の相場付近である物件は多数存在しています。
ワンルームとは、居室が1つの部屋で構成されている間取りの部屋のことです。
6畳程度の居室に加えて、トイレやキッチン、ユニットバスが配備されていることが一般的です。
専有面積としては、一般的には25㎡~30㎡程度となります。
ワンルームタイプのマンションは、他の不動産投資と比較して、少ない資本で始められることや、流動性が高くで出口戦略に有利であること、また管理に手間がかからないことなどの理由から、不動産投資の初心者の方に人気があるのは、投資家の皆さんにとっては周知の事実と言えます。
下の表は、東京都23区における間取りが「1R~1K」の家賃相場です。
(2021年6月6日作成)
エリア |
新築 |
築10年以内 |
築20年以内 |
千代田区 |
12.17万円 |
12.33万円 |
11.27万円 |
中央区 |
10.67万円 |
11.21万円 |
10.52万円 |
港区 |
15.51万円 |
13.33万円 |
12.44万円 |
新宿区 |
10.84万円 |
10.69万円 |
10.10万円 |
文京区 |
11.37万円 |
10.64万円 |
9.58万円 |
台東区 |
10.36万円 |
9.91万円 |
9.66万円 |
墨田区 |
9.64万円 |
9.22万円 |
8.94万円 |
江東区 |
10.56万円 |
9.93万円 |
9.61万円 |
品川区 |
9.70万円 |
9.71万円 |
9.52万円 |
目黒区 |
12.43万円 |
11.67万円 |
10.91万円 |
大田区 |
8.96万円 |
8.53万円 |
8.29万円 |
世田谷区 |
9.94万円 |
9.35万円 |
9.07万円 |
渋谷区 |
11.97万円 |
11.83万円 |
11.41万円 |
中野区 |
10.34万円 |
9.31万円 |
8.82万円 |
杉並区 |
9.08万円 |
8.56万円 |
8.32万円 |
豊島区 |
10.51万円 |
9.59万円 |
9.14万円 |
北区 |
9.46万円 |
8.79万円 |
8.44万円 |
荒川区 |
8.16万円 |
7.93万円 |
7.90万円 |
板橋区 |
8.92万円 |
8.16万円 |
7.83万円 |
練馬区 |
8.03万円 |
7.61万円 |
7.22万円 |
足立区 |
7.33万円 |
6.89万円 |
6.87万円 |
葛飾区 |
7.33万円 |
6.90万円 |
6.77万円 |
江戸川区 |
7.38万円 |
7.18万円 |
7.03万円 |
参照:アットホーム
千代田区、中央区、港区、目黒区、渋谷区など利便性が非常に良いエリアの築10年以内の1R~1Kに住むためには、月11万円~13万円の家賃が必要になるというデータとなっています。
さらに言えば、上記の11万円~13万円は、あくまで家賃相場です。
これに加えて管理費等が1万円~2万円程度上乗せされる形になります。
いざ住もうとなると、15万円弱の賃料・管理費を覚悟しなければなりません。
近年では20代~30代の方を中心に極小アパートへの需要が増加しています。
東京23区内で知名度が大きい駅から徒歩10分圏内であることがポイントです。
同エリアのワンルームと比較して、家賃相場が2万円~3万円ほど安い設定になっています。
かつては、家賃を抑えようとすると、狭くて古いアパートが一般的な選択肢でした。
しかし、近年ではインターネット環境や、オートロックなどの設備も整っている綺麗な極小アパートができると、すぐに入居者で埋まってしまうというということなのです。
単身者にとっては、かつて、「部屋の間取りや広さ」が重視されていました。
しかし、近年では「通勤・通学の時間」の方が重視される傾向が強くなってきています。
2011年に起きた東日本大震災時に、東京都内も交通機関が麻痺して、帰宅困難者が続出しました。
こうした災害時に身動きがとりやすいように住む場所の「利便性」を考える方が増えていることが背景として挙げられるのではないでしょうか。
また、平均給与も伸び悩んでいます。
2008年に起きたリーマンショック、2020年に大流行し今なお収束していない新型コロナウイルスの影響なども企業の業績に対して良い影響を与えていないのが現状です。
雇用している企業側にとっても、勤務の年数に応じて給与を上げていくようなやり方は厳しくなってきました。
そこで、家賃をなるべく抑えられ、かつ利便性が良い物件に入居者の目が向いているということも大きな背景として挙げられるでしょう。
この極小アパートは不動産投資家にも人気が出てきています。
その理由は、床面積が小さくなればなるほど、床面積あたりの賃料が高くなる傾向があります。
同じエリアの極小アパートとワンルームで例を挙げて比較してみましょう。
25㎡のワンルームで賃料が10万円の場合、1㎡あたりの賃料は100,000÷25=4,000円となります。
一方、10㎡で賃料が8万円の場合、1㎡あたりの賃料は、80,000÷10=8,000円となるのです。
このように、1㎡あたりの賃料は極小アパートに軍配が上がります。
メリットは、賃料単価だけではありません。
投資用不動産を所有すると、固定資産税や都市計画税などの税金、入居者が入れ替わるタイミングでのクリーニングやクロスの張替えなど、ランニングコストも発生します。
これらの経費は、床面積が小さければ小さいほど落ちるのは言うまでもありません。
資本主義の基本は、いかに安く仕入れて、いかに(付加価値つけて)高く売るかどうかです。
もっと端的に言ってしまえば、いかに少ないコストで売上を上げていくかです。
この極小アパートは、資本主義の理にかなっているモデルになっており、従来のアパートやワンルームと比較して投資効率が非常に良いのです。
極小アパートとワンルームの違いについて解説してきましたが、ご理解いただけたでしょうか。
利便性が良く家賃が抑えたい20代~30代の入居希望者と、投資効率の良さから不動産投資家に人気が出てきている極小アパート。
双方の利害が一致していることから、今後大きく伸びていく可能性があります。
こちらの記事を読んで、極小アパート投資に興味を持った方は、ぜひ不動産会社へ相談してください。