駅から近い物件は、利便性も高く人気があり入居率が高い傾向にあります。そのため、駅から遠い物件は最初の検索の段階で漏れてしまう可能性を秘めています。
こうした物件は、不動産投資に向いていないのでしょうか。
実は、やり方次第では収益を上げる方法は多くあります。駅から遠い物件でも、不動産投資をする価値はあるのです。
こちらの記事では、駅から遠い物件で入居率を上げる方法を紹介していきます。駅から遠い物件の入居率で悩まれているオーナーさん、ぜひ最後までお付き合いください。
入居希望者が賃貸物件を探すにあたって重要な指標の1つとしているのが、駅からの距離です。
駅から近い物件は、通勤・通学や商業施設も近くにあり利便性に優れています。
一般的に、駅から近いほど高い家賃収入や、高い入居率が見込めるため、不動産投資家からも人気があります。
スマートフォンが普及し、賃貸物件の検索サイトが充実している昨今において物件情報を手軽に検索できるようになりました。
「家賃の範囲」や「駅からの距離」、「部屋の間取り」など検索条件を指定することで、検索した方の希望に合うような物件がすぐに出てきます。
検索サイトのユーザーにとっては、非常に便利な機能ですが、一部の不動産のオーナーにとってはあまり有難くない側面も持っています。
例えば、駅からの距離です。多くのユーザーは、駅徒歩で「5分以内」などの条件から検索を始め、そこで気に入った物件があれば、入居を決めてしまいます。
「5分以内」でお気に召す物件がなければ、「7分以内」、「10分以内」などと駅から遠ざけていきます。
それでも、希望に見合う物件がなければ、エリア(駅)自体を変えてしまうケースも少なくありません。
つまり、駅から15分や20分離れている物件は、最初から検索にかからないままになってしまっている可能性もあるのです。
普通にやっていたら、駅から近い物件に負けてしまうことになります。
駅から遠い物件でも入居率を上げるためには、駅から近い物件には取り入れられないような要素や、物件自体の付加価値を高める努力が必要になってくるのです。
詳しくは第2章以降で紹介していきます。
もし、駅から遠い物件を所有しているオーナーの方が入居率の面で苦労していたとしましょう。
これを、「駅から遠いからだ」と短絡的に決めるのはいけません。
それも一因の可能性がゼロではありませんが、原因分析を誤ると違った方向で対策を立ててしまうことになります。
オーナー自身が、「なぜ空室が埋まらないのか」という真因に辿りつくことが大切です。
2020年から流行した新型コロナウイルスの感染拡大を受け、むしろ駅近でなくとも生活していける方、仕事が出来る方が増えていています。
このことだけでも、「駅から遠い」というのは、理由にならないと言えます。
駅から遠い物件であっても、入居率が低い真因を分かれば適切な対応策を立てることができるのです。以下のように整理をしてみてください。
空室になる真因を探ることで、入居率アップの糸口が見えてきます。
全国賃貸新聞から公表された、「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても入居が決まる人気設備ランキング2020」によると、単身者向け、ファミリー向けのランキングは以下のようになっています。
単身者向け | ファミリー向け | ||
順位 | 設備 | 順位 | 設備 |
1 | インターネット無料 | 1 | インターネット無料 |
2 | エントランスのオートロック | 2 | 宅配ボックス |
3 | 宅配ボックス | 3 | エントランスのオートロック |
4 | 浴室換気乾燥機 | 4 | 追い炊き機能 |
5 | ホームセキュリティ | 5 | システムキッチン |
6 | 独立洗面台 | 6 | ホームセキュリティ |
7 | 24時間利用可能ゴミ置き場 | 7 | 浴室換気乾燥機 |
8 | システムキッチン | 8 | 防犯カメラ |
9 | TVモニター付きインターフォン | 9 | ウォークインクローゼット |
10 | エレベーター | 10 | 24時間利用可能ゴミ置き場 |
出典:全国賃貸新聞
単身者向けもファミリー向けも「インターネット無料」が1位にランクインしています。
インターネットをご自身で契約されている方は、身をもって体感されていると思いますが、月額で4,000円~5,000円程度の費用がかかります。もちろん、家賃とは別途です。
今や、テレビ離れが進み、スマートフォンやタブレットなどでYoutubeなどの動画を見ている方が増えてきています。
スマートフォンで通信費の上限がないプランに入れば、通信費を気にする必要はありませんが、その場合には別途追加費用がかかるため、以前にも増してインターネット環境の有無は重要となってきています。
もし、家賃が相場よりも2,000円~3,000円高かったとしても、インターネットが無料であれば、入居希望者の抵抗は比較的少ないといえるでしょう。
むしろ、賃料+インターネット費用の合計で考えればメリットがあるはずです。
この他にも人気のある設備が複数あります。
入居率に苦労しているオーナーさんは、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
「TVモニター付きインターフォン」や「システムキッチン」は、築年数が経過している物件にはないケースが多いです。
その一方で、前述のランキングからも入居希望者からの需要は高いことが分かります。
相場は、TVモニター付きインターフォンが1室あたり約5万円~10万円、システムキッチンは1室あたり約60万円~80万円となっています。
システムキッチンは入居者がいるタイミングでは、なかなか工事が難しいですが、入居者の入れ替わるタイミングで導入の検討をしてみるとよいでしょう。
この他、室内のクロスの張替えや外壁の補修・塗装なども入居率アップには有効な手段となります。
リノベーションによって、物件の付加価値を高める努力をしていきましょう。
駅から遠くても入居率が高い物件は、多く存在しています。
例えば、ペットの飼育を可である物件です。
今回の新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛により、ペットを飼う方がかなり増えています。
その一方で、ペットの飼育が可能な物件はまだまだ少ないといえます。
ペットを飼っている方は、ほぼ間違いなく「ペット可」を条件に入れて検索をかけます。
駅からの徒歩距離で表示されず、不利な条件でも、「ペット可」で表示されれば選ばれる可能性があることから、入居率が高くなるのも納得できますね。
もう1つ、入居率が高い物件の例としては、ガレージハウスのタイプの物件であるということです。ガレージハウスとはガレージ(駐車場・車庫)と建物が一体となったものを指します。これは車が好きな方にとって非常に魅力的な要素になります。
車所有者の多くは移動手段に車を利用するため、駅からの距離を重要視しない傾向があります。そのためガレージハウスは駅から離れていても高い入居率が期待できると言えるでしょう。
記事の第2章でさまざまな工夫を紹介してきましたが、何をおいても「物件自体」が魅力的であることが重要です。
魅力があれば、入居率は自ずと上がり、安定的な不動産経営を行うことができます。
駅から近いことは、入居者が物件を選ぶ上で1つの理由にはなりますが、駅から遠かったとしても集客することは可能です。
是非、オーナーとしてニーズが高い付加価値を見極めて駅から離れているというデメリットを物ともしない運営を心掛けていきましょう。