不動産投資における必要資金は金融機関から借りるのが一般的です。
既に不動産投資をやっている方の中には、「2棟目も考えているけど融資が下りるか不安」だと考えるオーナーの方も少なくないようです。
不動産投資における融資の可否はどのようにして決まるのでしょうか。また、審査の際に返済実績などは考慮される可能性があるのでしょうか。
こちらの記事では、不動産投資における融資の特徴や、金融機関が融資をしたいと思う不動産投資家について解説していきます。ぜひ最後までお付き合いください。
住宅用ローンと投資用ローンでは、審査の基準が異なります。
これらのローンには、どのような違いがあるのでしょうか。
住宅ローンでは、借り入れを行った方自身の収入がローン返済の原資となります。
金利は、金融機関によって異なりますが、概ね0.4%~1.5%程度です。
よって、借り入れた方の年収や勤務先が安定していれば、金融機関側からすると「この二人になら貸しても大丈夫だろう」ということになるのです。
一般的に、「中小企業に勤務しているよりも大企業に勤務している方の方が有利になる可能性がある」と言われているのはこのためです。
また、ローン返済期間中に定年退職を迎える方は、定年退職後の収入が減少する可能性、つまり返済の原資が減少する可能性があります。
このような方は、定年退職前にローンが完済する方と比べた場合に、金融機関にとってはリスクとなります。
よって、借り入れ開始時点での年齢も大切な要素となります。
このように住宅用ローンは、「借り入れを行う人自身」が重要となってくるのです。
投資用ローンでは、住宅ローンのケースとは異なり、「入居者が支払ってくれる家賃収入」がローン返済の原資となります。
お金を貸す側にとっては、「貸した方がどれだけ家賃収入を得ることが出来るのか」ということが重要となります。
よって、物件の立地や周辺の家賃相場、修繕の状況など収益物件自体も融資を行う際の審査の対象となってくるのです。
このように投資用ローンは、個人的な属性に加えて「物件の収益力自体」が大切となります。
なお、金利は低ければ1.5%程度、高いと4.0%を超えるものまであります。
不動産投資家によって、利回りを確保していく上で金利は非常に大切です。
仮に、5,000万円の融資を受けて返済期間25年で考えた場合、
となります。
金利が1.0%違うと、ここまで大きな差になるのです。
金利が4.0%を超えてくると、ローン返済額が大きくなり、収益を上げることが難しくなってくるといえます。
個人属性は、融資を受けようとする方の「経済的な信用度」及び「社会的な信用度」のことです。
その人に対して「本当にお金を貸してもよいのかどうか」を判断する際に利用されます。
どの金融機関が何を見ているかは、公表されていません。一般的には、概ね以下の内容で判断されると言われています。
一般的に高い評価を受けるのは、会社員などの「安定した収入」が見込める方です。
近年、会社員で不動産投資を始める方が増えてきていますが、これは会社員が高属性であることに起因している部分が大きいといえるでしょう。
また、公務員や医師の方も高属性で、融資を受けやすい職業であるといえます。
融資の可否のポイントは、その物件が将来的にどれくらいの収益を生み出すことが出来るのかということです。
具体的な例でみていきましょう。
住宅であれば、一般的に駅からの距離が近いほど、築年数が浅いほど物件の評価が高くなります。
収益物件も同様に考えられがちですが、実際はそうではありません。
上記2つのパターンにおいては、満室想定でいくと、
となります。
もちろん、物件の管理費や老朽化等も細かくみていかねばなりませんが、家賃収入における
物件の収益力という面においては、Bの方が高評価となるでしょう。
金融機関が融資したいと考える不動産投資家とは、どのような方々なのでしょうか。
不動産投資をする方がローンを組む際には、同時に団体信用生命保険(通称:団信)に加入することが一般的となっています。
団信は、オーナー自身に万が一のことがあった場合や高度の障害等を患ってしまった場合に、ローンの残債がゼロになるという仕組みです。
オーナーの家族にとっては、万が一の際にローンが完済された収益物件が残るという点で、生命保険代わりになる側面を持っているといえます。
一方で、お金を貸し出す金融機関側の立場になって考えてみると、完済が適用されるケースが相次いでしまっては、金融機関自体の経営が成り立たなくなってしまいます。
このため、貸す側にとっては、健康な方が望ましいのです。
高血圧や喘息、ガンなどを持病として持っている方は、団信に加入できない可能性があります。
既に不動産投資を行っていて、借り入れ及び返済の実績がある方は金融機関にとっての評価が高くなるケースがあります。
なぜでしょうか。
不動産投資をやっていて、きちんと返済出来ているということは、所有している物件でしっかりと収益を上げることが出来ている証左にもあります。
融資を行う金融機関にとっての最大の懸念は、「貸したお金がきちんと返ってくるのかどうか」ということです。
収益がしっかりと上げられていれば、きちんと返済してもらえる可能性が高いということです。
これから不動産投資を始める初心者の方が個人属性、物件自体の収益力にも問題がなかったとしても、あくまで初心者です。
実際の運営については、金融機関も不安がゼロというわけではないはずです。一方で、1棟所有の経験者であれば、その不安も軽減されます。
金融機関にとっては、不動産投資初心者よりも1棟を既に所有している経験者に貸したいと考える可能性が高いといえます。
2棟目の融資審査をするにあたっては、1棟目の融資実績が重視されるということです。
1棟目に借り入れした金融機関がどこなのか、どんな融資枠なのかが大切ということになります。
不動産投資を拡大していきたい意向がある方は、1棟目の融資を適当に考えてはいけません。
第3章で解説してきましたが、「返済実績がある=1棟目をきちんと運用出来ていて収益が上がっている」と考えることができます。
よって、1棟目の返済実績があれば2棟目から融資を受けやすくなるのは、事実だといえます。
さらにいえば、返済実績がある方は、借り入れの期間や金利で優遇される可能性があります。
金融機関は、お金を貸した利息で利益を上げています。
つまり、お金を貸し出す相手がいなければ経営が成り立たなくなってしまうのです。
金融機関側からしてみれば、1棟目の返済実績がある不動産投資家は、「有力な有縁者」なのです。
しかし、ここで1棟目はどこの金融機関から融資を受けたのかは、2棟目の融資に影響が出る可能性があることを注意して頂く必要があります。例えば継続して1棟目と同じ金融機関を利用するのであれば問題ないのですが、1棟目の融資先の金利が高い場合は、2棟目は新しい金融機関での融資がおりないケースがあります。よって、とりあえずスタートするのではなく、2棟目、更に3棟目ときちんと将来を見据えた融資計画を立てることが重要です。
いかがでしたでしょうか。
不動産投資における融資の特徴や、金融機関側が融資をしたと考える不動産投資家の特徴について解説してきました。
既に1棟目を所有している方で返済実績のある方は、金融機関にとっては有力な有縁者です。
2棟目を検討している方は、ぜひ積極的に相談してみるとよいでしょう。