不動産投資管理

不動産投資は途中で管理会社の変更可能か?変更するタイミングなどについて

2021/07/06
不動産投資は途中で管理会社の変更可能か?変更するタイミングなどについて

家賃回収、入居者募集、物件の管理業務・・・これらの業務は管理会社の方でやってもらうのが一般的です。それゆえ、不動産投資を行っていく上で、管理会社選びは大切となります。

もし、管理会社の対応に不満がある場合には管理会社変更はできるのでしょうか。結論から言えば可能ですが、留意しなければならない点も少なからずあります。

こちらの記事では、管理会社変更に際しての手順や留意点を解説していきます。ぜひ最後までお付き合いください。

オーナーが管理会社変更を検討するタイミングとは?

管理の質に疑問

物件管理の仕事は、入居者募集や家賃回収、建物自体のメンテナンスなど様々あります。この中でも、きちんとメンテナンスされ、綺麗に保たれているかどうかという点は、資産価値の維持という面で重要です。

共有部分の修繕・清掃などが行き届いていないと、家賃の滞納率が上がるなど、住んでいる方の質が低くなる傾向があります。また、そのような方々が住んでいると、他の入居者が徐々に退去していってしまう可能性が高くなります。空室が目立つようになると、管理費や修繕費など、本来物件を維持するために必要なお金も集まらなくなってしまい、どんどん悪循環に陥ってしまうのです。 

このように、管理の質の疑問を抱いた場合に、多くのオーナーが管理会社の変更を検討するといえます。 

空室率が改善しない

不動産投資家にとって、入居率は収益を上げていく上で非常に重要なファクターです。裏を返せば、空室率が高くては、不動産投資で成功を収めることは難しいといえます。

新築や築浅であれば、空室になってしまったとしても、管理会社の良し悪しにあまり関係なく、物件の力で比較的入居者が付きやすいです。

問題は、築年数が10年近く経過した際の空室です。10年も経過すると、物件自体の老朽化が進行し、修繕が必要になるケースが出てきます。また、物件付近に新築物件が出てくると、競争力を失っていきます。こういった状況になった際の客付けが、管理会社の腕の見せ所となるのです。 

本来であれば、管理会社からオーナーに対して、空室率を改善するための具体的な提案があって然るべきです。「リフォーム・修繕の提案」や「競合と差別化するための付加価値の提案」など、競争力を取り戻すような施策を打ち出していけるかどうかは、その後の収益に大きなインパクトを与えていきます。

このような具体的な提案がないまま、空室率がなかなか改善しない場合に、オーナーは管理会社の変更を検討するタイミングといえるでしょう。

不信感が高まる

オーナーの方が管理会社の変更を検討するには、様々な要因がありますが、総じて言えることは「管理会社に対して不信感が高まっている」ということになるでしょう。

逆に、特に連絡もなく提案もない状態になると、「この管理会社は、全然自分が所有している物件について考えてくれていない」と不信感が高まり、管理会社変更の決定打になるのです。

管理会社変更は可能なのか?

結論から言ってしまうと、管理会社変更は可能です。変更することによって、「管理の質」「空室率の改善」などそれまでの不満が解消する可能性があります。

一方で、変更の際の留意点も存在しますので、第3章で解説していきます。

管理会社変更の際の留意点とは?

契約内容の確認/違約金発生の有無の確認

管理会社変更に際して、最も留意すべきは「違約金発生の有無」です。せっかく、新しい管理会社とお付き合いするようになり、管理面でこれまでの懸案が払拭されたとしても、旧管理会社との契約内容が原因で違約金を支払わなければならない事態になるようなことだけは避けなければなりません。

国土交通省によって定めている「賃貸住宅標準管理委託契約書」においては、申し出から3ヶ月後に契約解除となることが一般的となっています。
出典:国土交通省

しかし、管理会社によっては独自の規定を定めているケースもあります。

まずは、「現状契約に含まれているサービス内容」や「管理委託費」、「契約終了年月」など契約内容を確認することが大切です。

トラブルに巻き込まれないためには

管理会社同士の引継ぎが上手く行われずにトラブルになることがあります。

例えば、引継ぎ期間中に退去が出た場合です。空室になっているため、入居者の募集をする必要がありますが、今の管理会社は、解約通知を受けている場合、客付けをしたとしても、長くても3ヶ月程度の管理委託料しか取れないため、客付けにあまり力が入らないのが本音でしょう。今後お願いする管理会社も、管理対象期間外になるので、客付けをしても一銭も入ってきません。

このことから、新旧双方の会社がどちらも大きく損をするわけではないので、お見合いになる可能性が高いのです。

結局のところ、入居者が決まらないことによる一番の損害はオーナー自身に降りかかることになります。任せっぱなしにすることなく、どちらの管理会社に行ってもらうのか明確にすることが大切です。また、この期間だけは手間が多少かかったとしても逐一進捗を確認することが大切です。

繁忙期における管理会社の変更は避けた方が得策

管理会社の繁忙期は、1月~3月となります。新年度が始まる2~3ヶ月前~直前期です。

この期間は、入退居が多く管理会社もそちらに多くの時間を割かれることになります。管理会社どうしの引継ぎ業務がスムーズにいかない可能性もあるので、この時期の管理会社変更は極力さけた方が良いといえるでしょう。

10月~12月の間に新しい管理会社での業務をスタート出来るように、その3か月前の7月~9月あたりで、解約通知を送付するスケジュールが理想的です。

管理会社変更の手順とは?

今の管理会社と締結している「管理委託契約」の確認

まずは、管理委託契約書をご確認ください。

書面の中には、オーナー側からの「解約予告期間」の記載があるはずです。3ヶ月が一般的ではありますが、管理会社によっては6ヶ月のケースもあります。なお、この期間内においては管理の移管をすることはできません。

新しい管理会社の選定

管理会社変更をしたいと考えるということは、何らか目的や狙いがあるはずです。管理委託料を減らしたい方、空室率を改善したい方、今の管理会社の対応が杜撰で不信感が募り、このままはやっていけないと考えている方など個々によって理由は異なるでしょう。

新規の会社選定に際しては、変更の目的の明確化と同時に複数の管理会社から話を聞き、慎重に選定するように心がけましょう。 

今の管理会社へ解約通知を行う

今後お願いする管理会社の選定が完了したら、今の管理会社へ解約通知を行います。

オーナーご自身で直接行う場合と、新しい管理会社から代理で行ってもらう場合の2パターンがあります。ご自身で行うのが面倒な方や、長年の関係もあり気まずい方は代理で行ってもらうといいでしょう。オーナーには手間を掛けずにスムーズに引き継ぎができます。

今後お願いする管理会社との契約

今後お願いする管理会社と管理委託契約を締結します。また、入居者がいる場合には新旧の管理会社同士で賃貸借契約書や敷金などに関する引継ぎが行われることになります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

不動産投資においては、管理会社の質で成否を分ける可能性があります。こちらの記事をお読みいただき、「今が管理会社を変更するタイミングなのでは?」と感じたオーナーの方がいらっしゃいましたら、変更に際しての留意点や手順を参考にしていただければ幸いです。

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八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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