不動産投資管理

不動産投資を行う際の火災保険の選び方とは?注意点も合わせて解説!

2021/07/08
不動産投資を行う際の火災保険の選び方とは?注意点も合わせて解説!

不動産投資を行う上で、火災保険はさまざまな自然災害リスクに備えるために必要不可欠なものです。では、この火災保険を選ぶ基準にはどのようなものがあるのでしょうか?

不動産投資物件に掛ける適切な火災保険を選ぶためには、まず火災保険に関する正しい基本的な知識を身に付けておく必要があります。ここでは火災保険とはどのようなものかといった基本的なことから、火災保険が補償してくれる範囲、火災保険の種類とその選び方などについて解説していきます。 

この記事に最後までお付き合いいただき、火災保険に関する知識を深めていただきたいと思います。

火災保険とは

火災保険とは、一戸建てやアパートマンションなどの不動産と、その建物の中にある家電製品や家具などの動産が自然災害などにより被害を受けた場合に、その被害を補償してくれるというものです。

火災保険の対象とする不動産や動産は自分で決めることができるため、建物に対してのみ火災保険を掛けるというように保険の対象を自分で決めることができます。そのため、自分に必要な保険の範囲をしっかりと認識して加入する火災保険を選ぶ必要があります。

火災保険はどのような損害を補償してくれるのか

火災保険は、火災以外の災害も保証してくれます。ここでは、火災保険によって補償される損害について、特約を付けた場合も含め解説していきます。ここで記述する補償される損害は、火災保険の契約内容や特約が付いているかいないかによっては、保証されないこともあります。契約内容をよく確認し、無駄な保険料を支払わないよう、自分に必要な補償のみを受けることができる火災保険を選びましょう。

火災保険で補償される損害(特約が付いている場合も含む)

火災保険で補償される損害には、以下のようなものがあります。 

  • 火災
  • 落雷
  • 破裂、爆発
  • 風、雹、雪害
  • 水漏れ
  • 車などの衝突
  • 騒擾(騒動)
  • 盗難
  • 水災
  • 諸費用(臨時費用、失火見舞い費用、地震火災費用)
  • 不測かつ突発的な事故による破損や汚損
  • 建物(管理)賠償責任保障特約
  • 電気的または機械的事故保障特約
  • 弁護士費用特約
  • 家主費用保障特約
  • 家賃収入保障特約
  • 臨時費用保障特約

火災保険と一緒に地震保険を追加することで補償される損害

火災保険では一部の費用保険金を除くと、地震や津波などにより被った損害を補償してもらうことはできません。そのため地震による損害に備えるためには、地震保険への加入が必要になります。

地震保険に加入すると、地震が原因で起きた火災、損壊、埋没、流失による損害を補償してもらうことができます。

火災保険の契約の種類には2種類ある

火災保険の種類には、短期契約と長期契約の2つがあります。ここでは、その2つの違いについて解説していきます。

短期契約

火災保険の短期契約とは、契約期間が1年に満たないようなもののことを言います。この短期契約は、新居などに引っ越すまでの火災保険のつなぎなど、特殊な事情がある場合に利用されます。

短期契約は、火災保険の内容の確認や見直しが簡単にできる、契約者自身が契約内容を忘れにくいというメリットがある反面、保険料が長期契約に比べて割高になる、保険料の支払いが滞ると免責となる可能性があるというデメリットもあります。

長期契約

火災保険の契約期間は、2015年10月より最長10年となりました。それ以前は最長36年でしたが、近年では以前に比べて自然災害の発生が多くなったため、保険会社が長期に渡る収支予測を行うことが困難になったという理由から、最長10年に期間が短縮されました。2022年中には、さらに期間が5年に短縮される見通しです。

長期契約で火災保険に加入した場合、保険料の総支払額が安くなる、保険の内容の改定の影響を受けにくいといったメリットがありますが、保険の見直しができない、契約内容を忘れてしまう可能性が高まるといったデメリットもあります。

火災保険加入するタイミングはいつ?

火災保険への加入は、不動産投資用ローンを組む場合はローンの実行日から加入することを金融機関から求められます。
ローンを組まずに現金で物件を購入する場合にはいつ加入するかはオーナー様の自由になりますが、物件に万が一の事態が起こった場合に備えるための火災保険なので、引き渡しのその日から加入するようにしましょう。

不動産投資で火災保険はどのような役割を果たすのか

近年では大きな災害が多発しており、南海トラフ地震や首都直下型地震が起こるという予測もあります。このような状況の中で、金融機関から多額のローンを借り入れて不動産投資を行う場合、自然災害リスクにより物件が大きなダメージを受けたり、物件そのものが消失してしまったりする可能性がないとも言い切れません。

そのような状態になってしまった場合、火災保険に加入していないと手元に残るのは巨額のローン残債のみといった状況に陥ってしまう可能性があります。この自然災害リスクによる損害を低く抑えるためにも、火災保険は不動産投資を行う上で非常に重要な役割を果たします。

また、覚えておかなければならないのは特約を付けないと、火災保険だけでは地震による被害は保証されないということです。自然災害リスクによる被害を軽減するためには、火災保険への加入と同時に地震保険への加入もおすすめます。

損しない火災保険の選び方

ここでは、火災保険に加入して損をしないための、知っておきたい選び方のポイントについて解説していきます。

保障内容をきちんと把握する

火災保険は、自然災害などによるすべての損害を補償してくれるわけではありません。火災保険の補償内容を精査して、どの範囲の損害までを補償してくれるのかをしっかりと把握しておきましょう。

必要のないオプションは外す

火災保険には、さまざまな特約を付けることができます。多くの特約を付ければ補償の範囲が広がり、安心感も増すかもしれませんが、その分保険料も高額になります。追加しようとしている特約が本当に自分の不動産投資に必要なものかどうかよく考えましょう。

また、一般的な保障内容であっても、自分が所有する物件には必要が無い保障を除外して契約することが可能な火災保険もあります。例えば雪のあまり降らない地域に物件が建っている場合、物件が雪害により損害を被ることあまり考えられません。
このような不要な補償は除いて契約することにより、火災保険の保険料を低く抑えることが可能になります。

火災保険に加入することによるキャッシュフローへの影響を把握する

火災保険に加入した場合、当然ですが火災保険料を支払うことになります。この費用が高額になるとキャッシュフローが少なくなってしまいます。自分がその物件からどの程度の利益を得たいのかという点と、物件に何らかの損害が出た場合の補償とのバランスを考えて、火災保険の特約などを付けるかどうかを決めましょう。

また、火災保険の保険料は加入年数分を一括で支払うと、保険料が数%安くなるため支払総額でみるとこちらのほうがおトクの上、一年払いにすることでキャッシュフローも把握しやすくなります。

複数の火災保険の相見積りを取って比較する

火災保険会社は数多くあるため、複数の火災保険の相見積もりをとってみましょう。同じ保障内容であっても保険料に差があったり、保険料が同じでも保障内容に差があったりするためです。

このように相見積もりを取ることで、自分の予算と希望に合った火災保険を見つけることができます。

まとめ

ここまで、火災保険とは何かといったことや、火災保険が補償してくれる損害、火災保険の種類や火災保険に加入するタイミング、不動産投資における火災保険の役割、火災保険選びで損をしないために知っておきたいポイントについて解説していきました。

不動産投資を行う際の、火災保険の重要性についてお分かりいただけたと思います。この記事で解説した内容が、不動産投資を行う際の火災保険選びの一助になれば幸いです。

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八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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