不動産投資管理

中古物件での不動産投資!築年数に合わせた保険選びのコツは?

2021/07/29
中古物件での不動産投資!築年数に合わせた保険選びのコツは?

不動産投資をする上で、オーナーの方が考えるべきことに「保険」があります。

一口に保険といっても、火災保険地震保険のほか、孤独死保険施設賠償責任保険など様々あります。

これらの保険のどれに加入した方が良いのでしょうか。

こちらの記事では、築年数に合わせた保険選びについて解説していきます。ぜひ最後までお付き合いください。

不動産投資において、どのような保険があるのか?

火災保険

火災保険は、火災や自然災害などで損害を受けた不動産の修繕にかかるお金を補償してくれる保険です。

不動産投資で、投資用不動産を購入するには、金融機関から融資を受けることが一般的です。
対象となる不動産が火災保険に加入していないと、金融機関から融資を受けることが出来ないケースがほとんどです。

金融機関は、融資をする際に不動産を担保にしています。

もし、火災やその他の災害で不動産がなくなってしまっても、保険金によって融資した金額が回収できなくなるリスクを回避しているのです。

火災などで、物件自体が残ったとしても復旧までには多少なりとも時間やお金がかかります。
当然、その間のオーナーに家賃収入は入ってこないため、ローン返済が滞るリスクも火災保険によって軽減することも出来ます。

オーナーにとっては、加入必須の保険であるといえるでしょう。

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地震保険

地震保険は、地震が原因で起きた火災や津波などの対象不動産への損害を補償してくれる保険です。

ご存知の通り、日本は地震大国です。

ちょうど10年前の2011年に起こってしまった東日本大震災をはじめとして、全国各地で地震が原因による不動産への被害の報道は後を絶ちません。

なお、地震が原因で起きた火災や津波などでの不動産の損害は、火災保険や水害保険の対象外となります。

そのため、火災保険と同様に、オーナーの方が重要視している保険であるといえます。
地震保険について、法律(地震保険法)でどこの保険会社と契約しても保険金額は変わらないと定められています。

また、将来の地震の発生確率に基づいて地域(都道府県)ごとに保険料が算出されているため、対象不動産の所在地によって保険金額が異なります。

なお、地震保険については、「単体」で加入することはできず、火災保険とセットで加入することが一般的です。

施設賠償責任保険

施設賠償責任保険は、オーナーの方が保有している不動産の欠陥などによって、他人や物に損害を与えてしまった際に、損害賠償金を補償する保険です。

例えば、台風や竜巻などの突風でアパートの屋根などが飛ばされてしまい、他の方の家にぶつかってしまった場合や、マンションのアンテナが落下してしまい、他人にケガを負わせてしまった場合などに適用されるケースがあります。

しかし、オーナーが故意に行ったケースやオーナーの身内には適用されません。
また、損害賠償金だけにとどまらず、万が一訴訟になってしまった際の費用などもカバーしてくれる保険もあります。

こちらの保険も地震保険同様、「単体」で加入することはできず、火災保険などとセットでの加入が必要となります。

孤独死保険

孤独死保険とは、文字通り保有している不動産で孤独死が起きてしまった際に、オーナーが被る損害を補償してくれる保険です。

孤独死が起きてしまうと、入居者募集の際に告知義務があります。
家賃を減額しないと入居者がつかない可能性もありますが、この減額分が補償の対象となる可能性があるのです。

日本は、少子高齢化社会に突入しており、今後も高齢者の割合は、どんどん増加していくとされています。
賃貸物件の入居者の平均年齢もその例外ではありません。

むしろ、不動産投資家は、今後若い世代だけではなく、高齢者をどう取り込んでいくかが不動産投資の成否を分ける可能性が高くなっています。

そのため、近年ではこの孤独死保険を検討するオーナーの方が増えているのです。
過去には、対象物件全戸が加入対象とされてきましたが、現在は一戸単位からでも加入が可能になっています。

団体信用生命保険

団体信用生命保険(通称:団信)は、ローン契約者(オーナー)に万が一のことがあった際や重度の障害を患ってしまった際に、ローンの残債をゼロにしてくれる保険です。

金融機関から加入を求められるケースもあります。

もし、オーナーに万が一のことがあった場合には、ローンが完済した物件だけが家族のもとに残る形になります。
ローンがない収益物件で家賃収入が入ってくる形となるのです。

しかし、固定資産税や都市計画税などの税金や管理費・修繕積立金などを支払う必要はありますが、家賃収入と比較すると大きな金額ではありません。

これが、不動産投資は生命保険代わりになると言われる所以です。

なお、一般的な生命保険と同様、健康状態に問題がある方は加入できないこともあります。

不動産投資において中古物件を購入する際に留意することとは?

インスペクションとは?

インスペクターと呼ばれる専門家が、投資用不動産の欠陥や劣化の状況、その改善にかかる金額などを調査することをいいます。

インスペクターになることが出来るのは、国土交通省が認定した建築士のみです。

認定を受けるためには、「既存住宅状況調査技術者講習」を修了する必要があります。

2018年に施行された「改正宅地建物取引業法」によって、インスペクションの実施した場合には、その結果の報告が重要事項説明の際に義務づけられています。

出典:国土交通省

インスペクション自体の実施が義務ではないため、実施していない物件では当然重要事項説明に記載はされないとなります。

しかし、中古物件を購入する際には実施されている物件を選んだ方が後々思わぬ損害を被らずに済むといえるでしょう。
また、「欲しい物件だけどインスペクションが未実施」の物件については、売主に実施の提案をしてみると良いでしょう。

きちんとした調査結果が出た方が、売主側も費用負担をしたとしても、適正価格の算出が出来るという意味でメリットがありますし、双方が納得した売買が出来るといえるでしょう。

瑕疵保険とは?

中古物件は、築年数が経過している以上、多少の不具合は仕方がありません。

例として、ドアの立て付けが悪い、壁の一部に穴が開いているなどの不具合について、買主・売主の双方が認識した上で、不動産売買が行われることもあります。

売主側には瑕疵担保責任があるものの、契約不適合責任を免責とする特約をつけて取引が行われることもあります。

例えば、「雨漏りしています」と売買契約書に書かれていて、かつ買主が了解していた場合、その箇所からの雨漏りについては、程度に関わらず売主側は免責となります。

そうなると、修繕するための費用は買主負担となってしまいますので、非常にリスクの大きい不動産売買となってしまうのです。

瑕疵保険は、売主側が加入する保険です。

加入するためには、事前にインスペクションを受けなければなりません。

そのため、「瑕疵保険に加入されている=一定の品質は担保されている」といえます。

中古物件を購入する際には、瑕疵保険に加入されているかどうかを確認するようにしましょう。

築年数に合わせた保険選びとは?

築年数に合わせた保険選びは、どのように考えたらよいのでしょうか。

まず、築年数に関係なく「火災保険」と「地震保険」には加入するべきだといえます。

新築物件でも、築5年程度の築浅物件でも、築30年の築古物件でも、同じ場所に建っていれば火災や津波が発生してしまえば、同じ運命となってしまうからです。

施設賠償責任保険は、老朽化が進んでいる物件(築15年以上)のオーナーは、加入しておいた方が良いでしょう。

とは言え、新築物件のオーナーが加入しなくて良いということではありません。

保険料と補償のバランスを鑑みて加入するかどうか判断をされると良いでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

こちらの記事で紹介してきたように、不動産投資を行っていく上ではさまざまな保険があります。

保険料は、タダではありませんので、保険にかかる費用と補償のバランスを考えた加入が大切となります。

どの保険に加入するべきか、悩んでいる方は専門家に相談してみていただくことをおススメします。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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