不動産投資で新規で物件を購入する際には、一般的に金融機関から融資を受けることになります。
特にローンの「金利」と「融資期間」は多少数字が異なるだけでも、利回りやキャッシュフローに影響してくるため、慎重に検討することが大切です。
金利は、月々の返済額や総返済額の観点からしても、言うまでもなく「低い」方が良いといえます。月々の返済額が少なくなり、キャッシュフローが安定するからです。
融資期間は、「長い」方がオーナーの方にとっては良い条件となります。
ここで、多くのオーナーの方にとって、悩みの種があります。
それは、「金利2.0%・融資期間20年」、「金利2.5%・融資期間25年」といった、「金利が低いけど短い融資期間」と「金利が高いけど長い融資期間」のどちらを優先すべきなのか、ということです。
こちらの記事では、この疑問についてシミュレーションも交えて解説していきます。ぜひ最後までお付き合いください。
ローンの金利が異なることによる返済額の違いは、どのくらいになるのでしょうか?
「借入金額」と「融資期間」を固定してシミュレーションをしていきます。
ここでは、借入金額を2,000万円、融資期間を20年間、返済方法は元利均等とします。
金利2.0%のケース
月々返済額・・・101,176円
年間返済額・・・1,214,112円
総返済額 ・・・24,282,300円
金利2.5%のケース ※( )内は金利2.0%との比較
月々返済額・・・105,980円(+4,804円)
年間返済額・・・1,271,760円(+57,648円)
総返済額 ・・・25,435,230円(+1,152,930円)
これらのシミュレーションからお分かりいただけるように、金利が異なることで月々返済額、年間返済額、総返済額に影響を与えることになります。
金利が2.0%と3.0%では、同じ金額を借りても、総返済額では230万円以上もの差になります。
出来ることなら、極力低い金利で借入れをしたいものです。
続いて、ローンの融資期間が異なることによる返済額の違いはどのようになるのでしょうか。
借入金額と金利を固定でシミュレーションしてみます。
ここでは、借入金額を3,000万円、金利を2.0%、返済方法は元利均等とします。
融資期間20年のケース
月々返済額・・・151,765円
年間返済額・・・1,821,180円
総返済額 ・・・36,423,456円
融資期間25年のケース ※( )内は融資期間20年との比較
月々返済額・・・127,156円(-24,609円)
年間返済額・・・1,525,872円(-295,308円)
総返済額 ・・・38,146,723円(+1,723,267円)
融資期間30年のケース ※( )内は融資期間20年との比較
月々返済額・・・110,885円(-40,880円)
年間返済額・・・1,330,620円(-490,560円)
総返済額 ・・・39,918,769円(+3,495,313円)
このように融資期間が長くなればなるほど、月々の返済額や年間の返済額は少なくなり、キャッシュフローは安定するといえます。
しかし、総返済額も大きくなってしまうことはデメリットです。
「金利VS融資期間」では、どちらが優先されるのでしょうか。
「金利2.0%・融資期間20年」、「金利2.5%・融資期間25年」で比較してみたいと思います。
ここでは、2,000万円を借入れ、元利均等で返済していくものとします。
金利2.0%・融資期間20年のケース
月々返済額・・・101,176円
年間返済額・・・1,214,112円
総返済額 ・・・24,282,300円
金利2.5%・融資期間25年のケース
※( )内は金利2.0%・融資期間20年との比較
月々返済額・・・89,723円(-11,453円)
年間返済額・・・1,076,676円(-137,436円)
総返済額 ・・・26,916,835円(+2,634,535円)
上記のような結果となります。
「金利2.5%・融資期間25年」については、金利が高い分、総返済額は大きくなってしまいますが、融資期間が長いことにより、月々や年間の返済額を抑えることができます。
利息が抑えられることによって総返済額を大幅に圧縮することが出来ます。
長期的にローンを抱えることに不安を感じている方にとっては安心が出来ること、ローンが完済している物件の方がスムーズに売却が出来る可能性があることも利点だといえます。
シミュレーションの通り、融資期間が短ければ短いほど、毎月の返済額が高額になるため、資金繰りが大変になります。
また、団体信用生命保険の期間も短くなります。
契約者に万が一のことがあった際に、ローンが終わってしまうとメリットを享受できなくなってしまいます。
2020年以降、新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るっています。
日本においても、今なお収束しておらず第5波が到来したという専門家の方もいるほどです。
ワクチン接種が徐々にスタートしているものの、国民全員が接種を完了するまでには、まだ数ヶ月かかるとされています。
接種完了後も変異株などの影響もあり、収束するまでにはまだまだ時間がかかる可能性が高いです。
今回のコロナ禍で、倒産した企業や個人事業主が相次ぎました。
特に、飲食店や旅行業界では大きな打撃を被ってしまったのは、皆さんご存知の通りです。
国や自治体からも、補助金などが出ていましたが、それでも「資金繰り」がままならず、倒産に追い込まれてしまったケースが数多くあります。
不動産投資も、事業の継続を考える上では「資金繰り」が非常に重要です。
もっと突き詰めていってしまえば、資金繰りが出来なくなったらアウトです。
そのような意味においては、最初は大きく長く借りた方が得策であるといえるのでしょうか。
資金に余裕が出来た際に繰り上げて返済していけばよいのです。
長くローンを組んでいて、期間を縮めるということはできますが、最初から短く組んでいて融資期間(返済期間)を延ばすということはできません。
どのような条件で借入をするのが最善なのかどうかは、オーナーによって変わってきます。
自己資金・キャッシュフローに余裕があるかないかで戦略が変わってきます。
短期融資にしても良いケースは、自己資金に余力があり、月々の高額な返済に十分耐えられるという方です。
そうでない限りは、前述のように短期→長期への変更はできないことから、長めに組んでおいた方が良いといえます。
一方で、長期融資は総返済額こそ大きくなりますが、月々の返済額が抑えられるため、キャッシュフローに余裕を持たせながらの不動産投資が可能になります。
手元の資金に余裕が出来る分、将来の繰り上げ返済に備えた計画的な貯蓄をするようにしましょう。
また、現在は低金利状態と言われています。
日本銀行の黒川総裁の記者会見からも、当面の間は今の状態が継続する可能性が高いことを伺い知ることができます。
しかし、融資期間が長くなればなるほど、金利の上昇リスクも上がります。
借入を行う際に、長期の固定金利を選択することも視野に入れておいた方が良いでしょう。
これらの状況を鑑みて、それぞれのオーナーが最善の選択をしていただくことをお勧めします。
不動産投資ローンにおいて、金利や融資期間が月々の返済額や総返済額に及ぼす影響や長期融資や短期融資のメリット・デメリットを解説してきました。
ご理解いただけたでしょうか。
金利と融資期間のどちらを優先すべきかどうかは、自己資金の状況や考え方によって異なってきます。
こちらの記事を読んでいただいて、オーナーの方それぞれがより良い選択をするようにしていただけると幸いです。
困ったら専門家に相談してみると良いでしょう。