ニュース

コロナの影響を受け、ローン返済が滞る方が急増?任意売却の条件やタイミングとは?

2021/08/02
コロナの影響を受け、ローン返済が滞る方が急増?任意売却の条件やタイミングとは?

2020年より新型コロナウイルスが流行し、今なお収束の見通しが立っていません。
コロナの影響を受けて、収入が減ってしまった方を中心に不動産のローン返済が滞ってしまっている方が急増しています。

ローンの返済が滞ってしまうと、どのようなことが起こるのでしょうか。

また、任意売却をするための条件や適切なタイミングはあるのでしょうか。

こちらの記事で解説していきます。ぜひ最後までお付き合いください。

コロナでローン返済が厳しくなった方が急増?

2020年に入ってから世界中で新型コロナウイルスが大流行しました。
日本においてもワクチン接種が徐々にスタートしているものの、国民の対象者の接種が完了するには、あと数ヶ月かかるとされています。

また、接種が完了してもコロナの収束には、まだまだ時間がかかるとする専門家が多数いることから、しばらくの間はコロナと付き合っていく生活が続きそうです。

さて、住宅金融支援機構から公表された資料によると、2020年4月以降に新型コロナウイルス感染症に伴って、ローン返済方法を変更した方の承認実績は下表のようになっています。

灰色:単月実績 緑色:累計実績)

出典:住宅金融支援機構

新型コロナ感染拡大に伴い、2020年4月~5月にかけて緊急事態宣言が発出されたのは記憶に新しいです。

この時期は多くの企業で売上が激減してしまいました。
売上の減少は、当然そこで働く従業員の収入にも影響を及ぼし、ひいてはローン返済にも響いているのです。

2020年の夏以降、国は徐々にコロナ前の経済に戻そうとしてさまざまな施策を講じています。

しかし、2021年に入っても依然としてローンの返済に困っており、返済方法を変更せざるを得ない方が一定数存在しているのが現状となっています。

ローン返済が滞ってしまうと何が起きる?

金利優遇制度の適用を外されてしまう

皆さんは「金利優遇制度」についてご存知でしょうか?

例として、住宅ローンを0.4%の金利で借りているケースがあるとしましょう。これは、本来の金利ではありません。

一般的に、ほとんどの方が店頭表示金利から金利優遇を受けて、引き下げ後の金利で借入を行っているのです。
店頭表示金利が2.4%のところを、2.0%の金利優遇を受けて0.4%になっているといった形です。

ローンの契約書に「滞納した場合は、金利優遇制度が対象外になる」旨がかかれている場合、金利が一気に引き上げられてしまう形になります。

例えば、4,000万円を返済期間35年、元利均等払いで借り入れていたとしましょう。
金利優遇が適用されている状態で、金利が0.4%であった場合には、月々の返済額は「102,076円」となります。

しかし、金利優遇を外されてしまい金利が2.4%になってしまった場合には、月々の返済額は「140,863円」となってしまい、40,000円近くも月々の支払いが増加してしまうのです。

もちろん、コロナによる特例で救済措置があるケースもありますが、相談なく滞納してしまうと、救済措置すら受けられなくなってしまう可能性もあります。

月々の返済が厳しくて滞納してしまっているのに、さらに返済額を引き上げられてしまっては、「泣きっ面に鉢」、「弱り目に祟り目」ですね。

催促を経て「競売」か「任意売却」へ

滞納後、2~3ヶ月で督促状が送られてきます。

さらに滞納が続いてしまうと、金融機関から「この人はローンの返済が不可能」と判断されて、いついつまでに返済しないと「期限の利益を喪失する」といった通告をします。

期限の利益は、ローンを分割して払っていく権利のことです。これを喪失するとは、すなわち、ローンの一括返済を意味します。

しかし、返済で困っている方が一括返済するなど、まず不可能です。

その後、金融機関は「抵当権」を使って不動産を差し押さえた上で、「競売」にかけます。
金融機関側も債権を回収するために、やむを得ないのです。

競売にかけられると、住んでいた方はそこを追われる形となります。競売にかけられるのを避けたい方は、「任意売却」を選択するという手段もあります。

任意売却とは?

不動産の所有者が何らかの事情によってローンの返済が出来なくなってしまったとします。

一般的には、前述の通り競売にかけられることになります。

しかし、競売が開始される前なら「任意売却」という手段もあります。
任意売却は、抵当権を金融機関から外してもらって一般的な不動産と同様に売却する方法です。

競売は家を追われてしまうのに対して、任意売却ではそのまま住み続けることが出来る可能性もあります。

本来ならばローンが完済されなければ抹消することが出来ない抵当権を金融機関との合意のもとで外してもらうことが出来る可能性があります。

ローンがきちんと返済されない以上、金融機関にとっての次善の策は、貸したお金をなるべく多く返してもらうことになります。

競売にかけて不動産を売却しても、ローン残債が残ってしまうようなケースでは、事実上残債を回収するのが厳しくなります。

なぜなら、所有者はお金がなくてローンが返せなくなった上に、住んでいた家を追われるからです。
このような状況では、残債の回収は望むべくもありません。

競売はおよそ相場の7割程度、任意売却はおよそ相場の8〜9割程度で取引されます

一般的には任意売却の方が、売却金額が高くなることから、金融機関にとっても残債を回収できる金額が高くなるのです。

金融機関側が任意売却に合意するのは、このようなメリットがあるからです。

任意売却が出来る条件やタイミングとは?

金融機関の合意

そもそも任意売却を行う目的は、金融機関へ返済するためのお金を得ることです。

よって、金融機関が納得しないレベルの金額では合意してくれません。この部分が一番重要となります。

手続きを進めるための時間を十分にとる

一般的に、ローンの滞納が始まってから1年後を目途にして競売が開始されます。

任意売却をしたい意向がある場合には、早めに金融機関にその旨の相談をしておくようにしましょう。
そのまま放置してしまうと、どんどん競売に向けた手続きが進行していきます。

もちろん、競売になったとしても任意売却が上手くいけば取り下げてもらうことはできますが、入札が開始されてしまうと、止めることは非常に困難になります。

手続きが進んでしまってから止めることが難しくなることから、事前の相談及び任意売却に向けた準備を進めておく必要があります。

連帯保証人や共同名義人の合意も必要

もし、連帯保証人共同名義人がいる場合は、この方たちの合意も必要になります。

売却するという話で、親族間で感情的になってしまい交渉が決裂しまうと大変です。

冷静になって、任意売却を出来るときのメリット、出来ない時にデメリットを落ち着いて話をして理解を得ることが大切になります。

相続した物件にローンの残債があっても売却可能?

相続した物件にローンの残債がある場合には、売却が可能なのでしょうか。

「売却金額>ローン残債」のケースであれば、売却したお金でローンの残債を完済できるのでスムーズに売却が出来るでしょう。

上記の逆で「売却金額<ローン残債」のケースではいかがでしょうか。
自己資金を多少投入して、「売却金額+自己資金≧ローン残債」と出来るのであれば問題ないといえます。

しかし、自己資金等で如何ともし難いケースでは、「任意売却」を検討すべきだと言えるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ローン返済が滞ってしまった際の任意売却について解説してきました。

任意売却をするための条件や適切なタイミングについてご理解いただけたでしょうか。

任意売却を検討されている方にとって、こちらの記事を参考になりましたら幸いです。

関連記事

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

関連コラム