[入門]不動産売却

不動産投資において売れない物件の原因は?なかなか売れない場合の対策についても解説!

2021/08/12
不動産投資において売れない物件の原因は?なかなか売れない場合の対策についても解説!

所有している投資用不動産を売却したいと考え、いざ売却活動を始めたものの、なかなか売れずに頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。

売れない物件には、どのような原因が考えられるのでしょうか。

また、なかなか売れない場合に、どんな有効な対策があるのでしょうか。

その対策などについてこちらの記事で解説していきます。ぜひ最後までお付き合いください。

投資用不動産の一般的な売却期間とは?

下の表は、2021年1月に公益財団法人 東日本不動産流通機構が公表した「首都圏不動産流通市場の動向(2020年)」の一部抜粋で、登録を開始(売出しを開始)してから成約に至る日数をまとめたものになっています。

出典:公益財団法人 東日本不動産流通機構

2020年については、中古マンションが88.3日、中古戸建住宅が111.3日となっており、約3ヶ月~4ヶ月程度の時間を要していたことが分かります。

前年(2019年)前々年(2018年)と比較した際に、日数がかかっているのは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が少なからず絡んでいるといえそうです。

上記の日数は、平均値です。

この中には1ヶ月経たずに成約した物件もあれば、半年近くかかって成約した物件も含まれています。

ご自身の所有している不動産が、売出してから半年以上成約に繋がっていないケースでは、原因の追究と改善するための対策を考える必要がありそうです。

不動産投資でなかなか売れない原因とは?

売却価格が適切ではない

不動産投資をしていく上で、オーナーの方が重要であると考える指標の1つに「利回り」があります。

この利回りは、物件価格に対してどれだけ家賃収入をあげられるかというものです。

つまり物件価格が安いほど、利回りが良く(高く)なります。

不動産投資家にとって、投資用不動産は安く購入できるに越したことはないのです。
なかなか売れない場合には、買い手から割高であると見られている可能性があります。

問い合わせすらない状況が続くようであれば、売却価格の見直しも検討するべきだといえるでしょう。

エリアに需要がない

不動産投資をしていく上では、入居者がいなくては成立しません。

入居者がいなければ家賃収入が得られず、オーナーのキャッシュフローに悪影響を与えかねません。

そのため最寄り駅まで遠い物件や、バス停などの公共交通機関が利用しにくい立地の物件のケースでは、売れにくくなる可能性があります。

不動産会社の動きに問題がある

不動産会社は、複数の売買案件を同時並行で動かしています。

どんな方でも、どんな会社でも複数のタスクがある場合には、「優先順位」がつきものです。
不動産会社の最大の目的は、売買を成立させ仲介手数料をもらうことです。

仲介手数料の金額は、物件の売買価格に応じて変化します。
取引金額が大きい物件の方が仲介手数料の上限金額が高くなりますので、優先順位は高くなりがちとなります。

また、取引が成立しなければ不動産会社にとっての身入りは、ゼロになるため売りやすい物件の方が優先順位は高くなってしまいます。

このような形で、ご自身の物件の優先順位が低くなってしまうと、なかなか売却活動を出来ずなかなか売れない要因となることもあるのです。

オーナー自身に問題がある

なかなか売れない原因の1つにオーナー自身の対応に問題がある可能性もあります。

購入希望者が内見に来ることもあります。

その時の対応で愛想が悪いケースや、質問に対してきちんと答えないといったことがあるのは、「もっての外」です。

入居者がいる物件は内覧の対応はないですが、空室物件の場合は基本内覧はつきものです。折角の内見希望が出ても、予定がなかなか合わせられず、結局中を見てもらえないまま他に決められてしまったというケースもあります。

不動産投資は、近年会社員の方が多く取り組んでいるため、土曜日・日曜日に内見の希望が出やすいです。
売却期間中は、このニーズに対応できる準備をしておくべきだといえるでしょう。

なかなか売れない物件の対策とは?

売却価格の見直し

不動産の売却価格は、「居住用」と「投資用」とで異なった決められ方をします。

居住用は、「取引事例比較法」といって築年数や駅からの距離など、条件が似通っている過去の取引事例をもとにして価格が決まっていきます。

そのため、同じような条件であれば取引価格に差はそこまで生じません。

一方で投資用は、「収益還元法」といって、将来的にどれだけ収益を見込めるかによって価格が決まってきます。
もっとストレートにいうと、「どれだけ家賃が取れているか」ということです。

そのため、どれだけ新しくても、どれだけ駅に近くても家賃が取れていなければ売却価格は高くなりません。

反対に、きちんと家賃が取れていれば多少古くとも、多少駅から離れていても、売却価格は高くなるといえます。

多くの不動産投資家が購入の際に参考にする指標の1つに利回りというものがあります。
下記は一般財団法人 日本不動産研究所から公表されている期待利回りです。

※期待利回り=購入後に期待できる年間家賃収入÷物件購入価格×100

出典:一般財団法人 日本不動産研究所 第44回不動産投資家調査

特に売却価格がこの数値から乖離している場合には、価格を見直す必要があるといえるでしょう。

リフォームの検討

なかなか売れない場合には、リフォームの検討も有効です。

全国賃貸新聞より、「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても入居が決まる人気設備ランキング2020」が公表されています。

出典:全国賃貸新聞

このランキングによると、浴室乾燥機システムキッチンTV付きインターフォンなどの設備があれば、家賃が相場よりも高くても入居希望者にとってのニーズがあるということなのです。

もし、ご自身が所有の投資用不動産にこれらの設備がない場合には、設置の検討をしてみると良いでしょう。

このリフォームによって、家賃が高く取れれば先ほどの収益還元法の説明の通り、売却価格の上昇が期待できますし、もし家賃を高く取れなくても不動産自体の資産価値の向上が見込め、売却できる可能性が高まります。

不動産会社との契約内容の再考

不動産を売却する際には、オーナーと不動産会社との間で媒介契約を結ぶことが一般的です。

媒介契約には、下記の通り3種類があります。


専属専任媒介契約専任媒介契約一般媒介契約
複数の不動産会社
との契約
不可不可
購入希望者との
直接取引
不可
レインズ登録5営業日以内7営業日以内任意
売却主への
業務報告義務
1週間に1回以上2週間に1回以上任意
契約有効期間3ヶ月以内3ヶ月以内制限なし

※標準契約約款では
3ヶ月以内

レインズ(REINS)とは、「REAL ESTATE INFORMATION NETWORK SYSTEM」の略で、国土交通大臣から指定を受けている、「不動産流通機構」が運営しているコンピューターネットワークシステムのことです。
不動産の取引関係者が情報を共有でき、リアルタイムでの情報交換をすることが可能になっています。

一般媒介契約は、複数の不動産会社との契約が出来ることや、購入希望者との直接取引も可能な一方で、レインズへの登録や売主への報告義務が任意であることから、積極的に売却活動が行われにくくなります。

もし、今まで専任媒介契約や一般媒介契約で、なかなか売却できなかったというオーナーの方がいらっしゃいましたら、信頼できる不動産会社と専属専任媒介契約を結ぶなど、契約条件の再考を視野に入れると良いでしょう。

売却時期の再検討

どんな取引にも波があります。株価に代表されるように、世界や日本で起こるさまざまな事象が原因で、株価の上下や出来高の多少が起こります。

不動産取引も例外ではありません。
市場全体の取引が活性化していない時期は、なかなか売れにくいこともあるのです。

つまり売却出来ないからといって、物件や価格設定など、オーナーではどうしようもないことが原因であることもあるのです。

その場合には、焦ることなく売却時期の再検討をする姿勢が大切となります。

まとめ

不動産投資において売れない物件の原因や、なかなか売れない場合の対策について解説してきました。

こちらの記事が、今後売却を検討している方の参考になりましたら幸いです。

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八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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