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不動産投資で事故物件を購入して大丈夫なのか?賃貸需要の有無や事故物件が平気な人の割合を解説

2021/09/29
不動産投資で事故物件を購入して大丈夫なのか?賃貸需要の有無や事故物件が平気な人の割合を解説

数多くある物件の中には、「事故物件」と呼ばれるものが存在します。

殺人や自殺、孤独死などが起こった物件は、自分では住みたくないと考える方も多いのではないでしょうか。
そのため、不動産投資のオーナーとして事故物件を紹介されても、購入することに躊躇いが出るのも無理はありません。

一方で、近年事故物件の賃貸需要が高まってきているというニュースもあります。

なぜ賃貸需要が高まってきているのでしょうかまた、果たしてオーナーとして事故物件を購入して大丈夫なのでしょうか。
それとも避けておくべきなのでしょうか。

こちらの記事で解説していきますので、ぜひ最後までお付き合いください。

事故物件とは?

事故物件は、人が亡くなってしなった物件を指すことが一般的です。

亡くなると一括りにいっても、殺人をはじめ自殺・病死・孤独死などが挙げられます。

事故物件には「告知義務」というものがあります。
物件情報に「心理的瑕疵」や「告知事項あり」と記載されているのが、それにあたります。

これまでは、この告知義務について法律上の明確な定義が存在していませんでした。
そのため、告知するかしないかは不動産業者によって解釈が異なることもあったのです。

また、告知義務の期間についても明確になっていなかったため、事故が起きてから何年間経てば告知義務がなくなるという基準も曖昧でした。

過去に重大な殺人事件が起きてしまった場合には、裁判所から数十年に渡り告知義務があると判断された事例もありました。

一方で、人が亡くなっていたとしても、告知しなくてよい(=事故物件ではない)ケースも存在していました。
例としては、孤独死などで高齢の方が亡くなったケースです。

亡くなってから1日~2日程度の比較的短い時間のうちに家族や管理人などに発見され、室内に損傷がない場合には、人が亡くなっていたとしても事故物件とはならないこともあったのです。

このような曖昧さを低減するために、2021年5月に国土交通省から事故物件についての告知義務が発生する事項・期間についてのガイドライン案が公表されました。

ガイドライン案によると、入居者の「心理的瑕疵」が比較的大きいと考えられる、殺人や自殺、火災による死亡などは事件発生後3年間の告知義務があるとしています。

一方で、病死や老衰、死亡から日数が経たずに発見された孤独死や転倒による事故死や食べ物などがのどに詰まった窒息死などは、告知義務なしとされました。

告知義務なしとされたものは、いずれも事件性が低く、自然死に近いとの判断のようです。

これまでは、自身が所有している投資用不動産で人が亡くなってしまった際に、入居者がつかなくなってしまったり、家賃を減額せざるを得なかったなど、収益減になってしまっていたケースが多かったです。

この法改正で「自然死は告知対象外」と明確に定められたことで、不動産投資をしているオーナーにとってプラスに働くのではないでしょうか。

当サイトのプロデューサーである、八木チエのYou Tubeチャンネル「不動産投資の女神チャンネル」にて、分かりやすく解説する動画も公開しておりますので、ぜひご覧ください。

参照:不動産投資の女神チャンネル

事故物件に住むのが平気な人の割合とは?

実際に事故物件に住むことが平気な方はどのくらいいるのでしょうか。

株式会社AlbaLinkより「事故物件に住むのはありかなしかについての意識調査」が公表されています。

この調査結果によると、28.6%の方が「事故物件に住むのはあり」と回答しています。
おそらく思っていたより多いと感じた方が多いのではないでしょうか。

出典:株式会社AlbaLink

全体としては3割弱の方が事故物件に住むことは構わないとしていますが、事故物件になった経緯によって許容範囲に差があるのもまた事実です。

下の表は、事故物件を問題ないとした356人の方に、どの程度のものであれば許容できるのか否かを調査した結果になっています。

出典:株式会社AlbaLink

孤独死は7割以上、事故死は5割以上の方が許容範囲であるとした一方で、自殺や他殺などは、心証が良くなく、多くの方が許容できないとしています。

もう1つ、皆さんの想像と異なると思われるデータがあります。それは、年収と事故物件入居者の関係です。

事故物件のイメージとして、家賃が安い=あまり所得がない方が入居していると考えている方が多いのではないでしょうか。
しかし、実態は少々異なるようです。

下のグラフは、年収別の事故物件に住んでもいい方の割合になっています。

出典:株式会社AlbaLink

驚くべきことに、年収が低い方の方が事故物件に住むことを許容する率が低く、高くなればなるほど許容できる率が高くなっているのが分かります。

年収が1,000万円を超えている方は、実に半数の方が事故物件に住むことを許容しているのです。

このことから、事故物件に住んでいる方≠年収が低く家賃を抑える必要がある方ではないといえそうです。

事故物件の賃貸需要が高まっている理由とは?

一般的に事故物件の家賃は、付近の相場と比較して2割~3割程度低くなっています。

駅からの距離や築年数、床面積がほぼ同じマンションの部屋で、安く借りることが出来るのは入居者にとって有難いことです。
この点については、非常に大きなメリットであるといえるでしょう。

もう1つの大きな理由としては、事故物件に対する認識が変化してきたからだといえます。

下記の表をご覧ください。

こちらのデータは厚生労働省から公表されている、年ごとの老衰による死亡者数と死亡者全体に対するその割合をまとめたデータになっています。


平成10年平成15年平成20年平成25年平成30年令和2年
老衰による
死亡者数(人)
21,33623,44635,95169,684109,606132,435
死亡者全体に対する
割合(%)
2.32.33.15.58.09.6

出典:厚生労働省 人口動態統計月報年計(概数)の概況

平成10年の老衰による死亡者数21,336人(全体の2.3%)だったものが、年々増え続けてきています。

平成30年の調査では、100,000人を超え、最新のデータ(令和2年分)では、132,435人(全体の9.6%)となっています。
ご存知のように、日本は少子高齢者社会に突入しており、この流れは今後も続くどころか、加速度的に増えていく可能性を大いに秘めています。

死亡者全体に対する老衰の割合は、10%を超えるのは時間の問題で、この先5年~10年で15%や20%になっていく可能性は非常に高いといえるのです。

死というものは、誰にでも訪れるものです。ある意味仕方のないものです。
世の中が、「物件で誰かがなくなるのは、ごく自然なことである」という認識に徐々に変わってきているのではないでしょうか。

このように、人が亡くなっている物件に住むことに徐々に抵抗がなくなってきているのが、需要が増えてきている一番大きな要因であると見てとることができます。

不動産投資において、事故物件の購入を避けるべき?

不動産投資に限らず、どんなビジネスにおいても成功の基本は、「安く仕入れ、付加価値等を付けて高く売る」ことです。

不動産投資において、重要な指標の1つとして「利回り」があります。

この利回りは、一般的に高いほど良いとされています。
収益物件における家賃収入を物件の購入価格で割って求めるため、物件購入価格は安ければ安いほど、利回りは高くなることになります。

(※入居者がきちんとついて家賃収入を得られることが大前提です)

この意味において、事故物件は相場よりも安く購入できることが出来るため、利回りの向上に大きく寄与することが期待できます。

もちろん、告知期間が数十年と続いてしまうような、殺人などの重大な事件が起きてしまった物件については、避けた方が無難ですが、そうでない物件であれば、長い目で見たらプラスに働く可能性が高くなります。

告知期間が終了すれば、家賃も他の部屋と同等に設定することも可能になります。

また第2章や第3章で解説してきたように、事故物件に住むのが平気な方の割合で孤独死や事故死の場合では5割を超えていることまた人が部屋で亡くなることを仕方ないと考える層が増えていることから、追い風とはでは言いませんが、逆風にはならないと言えるでしょう。

まとめ

事故物件が平気と考える方の割合や、賃貸需要について解説してきました。ご理解いただけたでしょうか。

オーナーとして購入をすることも、決して悪い選択肢ではありません。

むしろ、上手くいけば通常の物件と比べた時に成功を収めることが出来る確率が高くなる可能性も秘めています。

興味のある方は、ぜひ不動産会社へ相談してみてはいかがでしょうか。

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八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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