不動産投資をしていると部屋自体の空室に目が行きがちですが、実は駐車場が埋まらないマンションも少なからず存在しています。
「駐車場が空いている=駐車場代が取れない」ことはどのような問題が発生する懸念があるのでしょうか。
また、埋まらない駐車場のスペースを活用するには、どのような対策が取れるのでしょうか。
こちらの記事で解説していきます。最後までお付き合いください。
マンションの部屋は埋まるけれど、駐車場が空きだらけ・・・
近年このようなマンションが増えてきているのをご存知でしょうか。
次の表をご覧下さい。
「一般財団法人 自動車検査登録情報協会」から自家用乗用車の世帯あたりの普及台数が都道府県別にランキングされたものが公表されています。
ランキングの下位に位置しているのは、関東の東京・神奈川・埼玉・千葉及び、関西の大阪・兵庫・京都といった大都市圏に位置する都府県になっていることが分かります。
これらの都府県は、普及率が「1」を割り込んでおり、単純計算で1世帯に1台の車が行き渡っていないことになります。
特に東京においては、1世帯あたりの自家用乗用車の普及率が0.432となっており、2世帯に1台も所有していないことになります。
さらに言えば、東京と一括りにいっても、都全体の数字となっているため、車が必要不可欠な郊外に住んでいる方が数字を引き上げていると想定されます。
よって、都市部に住んでいる方の普及率は、0.1~0.2(10世帯~5世帯に車が1台)であっても何ら不思議ではありません。
このような状況では、都市部に多いマンションの駐車場がなかなか埋まりにくいのも分かります。
また、これらには副次的な要因があると考えられています。
それは、駐車場の賃料です。
郊外では、月千円~1万円程度で借りられる駐車場も多く、車を所有していても大きな負担にはなりません。
しかし都市部になると、1万円程度で借りられるところはほとんど存在せず、月々数万円もの駐車場代を取られるところがほとんどです。
これだけかかると、わざわざ所有しなくても必要な時にだけ借りればよいといった方向に考えが及ぶのも当然と言えば当然です。
このように、ランニングコストが非常に大きいかつ、生活していく上で絶対に必要なものでもないことから、車を所有していない方が増えているといえます。
さて、マンションの駐車場が埋まらないと、具体的にどのような問題が起こるのでしょうか。
直接的なダメージとしては、駐車場賃料が回収できないことによる物件の収益力の低下があります。
マンションが建設された当時は、駐車場が空きだらけの状態でシミュレーションを行っているケースなどほとんどありません。
駐車場というものは、本来管理費を抑えるために設置され、その賃料で管理費に充当するケースが一般的です。
多少の空きを見込んでいたとしても、一定の収益を上げることが計画に盛り込まれています。
そのため、駐車場の空きが多いマンション=マンション全体の管理費不足に陥ります。
そうなってしまうと、管理の質が低下して入居者の質が徐々に下がってしまう、もしくは管理の質を維持するために、現在の入居者から取っている管理費を引き上げるなどの手段を取らざるを得なくなります。
さらには、空きだらけの駐車場には、目に見えないダメージもあります。
皆さんは、いつも混んでいて外にまで人が並んでいるラーメン屋と、人が入っているかどうか分からないラーメン屋のどちらに入ろうと思われるでしょうか。
ほとんどの方が前者だと思います。
マンションも同じで、駐車場がガラガラだと、新しく住もうと内見に訪れた方が「このマンション人気ないのかな?」などと入居しようと思っていたにも関わらず、躊躇してしまうことも考えられなくはないのです。
いずれにしても、先々を考えると決してプラスには働きません。
「マンションの駐車場を借りる人=そこに入居している人」であるという認識が世間一般に存在します。
そのため、当該マンションに住んでいない方にとっては、最初から駐車場検索の選択肢に入っていない可能性が高いです。
マンション付近で駐車場がなくて困っている方がいないとは限りません。
そういった方々に対して、「マンション内の駐車場が借りられる」旨の広報を打つことが出来れば、空き駐車場が改善される可能性もあります。
機械式である場合には、平置き式への変更も選択肢の1つです。
機械式は、ランニングコスト(機械自体のメンテナンス費用)がかかるのに加えて、停めることが出来る車の大きさも制限されてしまうというデメリットがあります。
本当は停めたいけれど、機械式には入らない・・・といった方も一定数存在します。
平置き式にすることで、停められる合計台数は減ってしまいますが、ランニングコストの低減や、車高が高い車や車幅が大きい車が停めることが出来るようになれば、稼働率は改善されるでしょう。
平置き式にすることで駐車場代も多少引き上げることもできる可能性があります。また、そのうちの一部をコインパーキングとして運営していく手もあります。変更に際しては、しっかりシミュレーションをするようにしましょう。
シェアリングサービスを提供しているシステムにマンションの駐車場を登録することも1つの選択肢です。
このサービスに登録することで、集客からクレーム対応までをワンストップで行ってもらえます。
売上から既定の手数料(ロイヤリティ)を支払うことで運営していく形です。
あくまで売上に対するロイヤリティなので、仮に売上がなくてもマイナスを生じることはありません。
日本における2030年のカーシェア市場は、4555億円にもなるとされています。2018年比で実に11.9倍です。
また、駐車場シェアの市場も2018年比で11.3倍の360億円を見込まれており、カーシェア市場や駐車場市場は今後も拡大が見込める市場になっています。
出典:MONOist
少し変わった発想にはなりますが、駐車場の部分に建物を建て、そこで収益をあげていくという考え方もあります。
駐車場の面積が大きく、プレハブなどの店舗を建てられることが前提にはなりますが、店舗併設という選択肢もあります。
新型コロナウイルスの影響を受けて、テイクアウトの需要が高まりました。
床面積が極小の店舗でも、パン屋や唐揚げ専門店などと謳い、収益を挙げていった事例には枚挙に暇がありません。
埋まる見込みがない駐車場については、このような選択肢も検討する余地がありそうです。
いかがでしたでしょうか。
マンションの駐車場が埋まらない要因について解説してきました。
駐車場の空きは、管理費不足に陥る懸念が大きく決して看過出来るものではありません。
何らかの対策を講じなければマンション全体の運営に支障をきたす可能性を秘めています。
こちらの記事で解説した対策のうち、有効であると考えられるものがあれば、是非とも行ってみてください。