不動産を購入するに際して、売買契約書を締結する必要があります。
しかし、初めて不動産の売買をする方は、売買契約書にはどのようなことが記載されているのか、ご存じない方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
売買契約書に記載のある内容については、あとになって「聞いていない」「知らない」が通用しません。
トラブルに巻き込まれ、損害を被らないためにも売買契約書にどんな内容が記載されていて、特に重要なチェックポイントを理解しておく必要があるといえます。
こちらの記事では、売買契約書の内容やチェックポイントを細かく解説していきます。ぜひ最後までお付き合いください。
不動産を購入する際には、売買契約書を取り交わすことになっています。不動産の取引は、金額が非常に高額であるためたくさんの取り決めがあります。
売買契約書には、対象となる不動産の取引条件や契約内容が明文化されています。
1つ1つの取り決めについて細かく記載されているため、文字の量は膨大になります。
買主・売主の双方にとって納得のいく取引が出来る、お互いに不利益を被ることなく売買契約を完結できることを目的として作られるものですが、文字量が多いため、何となく読み飛ばしてしまうケースも少なくありません。
また、専門用語など専門的な内容もたくさん記載されています。きちんと理解しておかないと、あとになって聞いてない、知らないなどとならないように、特にチェックすべきポイントを抑えておく必要があるのです。
ここでは、売買契約書の内容について触れていきます。チェックすべきポイントも合わせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
対象となる不動産の所在地・地番等が記載されています。
買主が購入したい代金・売主が売却したい代金が記載されています。
不動産の売買契約締結には、売買契約書と合わせて手付金が必要になります。
買主が売主に対して支払う手付金の金額が記載されています。
売買金額から手付金の額を差し引いた残代金を支払う時期が記載されています。
売買代金を全額支払った時点で所有権移転が発生する旨が記載されています。
引き渡しの時期も同日となることが一般的です。
売主から買主への引き渡しが完了した後、一定期間内において対象の不動産に瑕疵が見つかった場合に、売主側が瑕疵担保責任を負う旨の記載がされています。
中には売主が瑕疵担保責任を負わないケースもあります。思い込みではなく、記載されている内容についてきちんと確認するようにしてください。
売主側は、売買契約締結時点での不動産の物件状況を買主側に説明しなければならない旨の記載がされています。前述の瑕疵の責任とも関連するため、正確な記載が必要です。
また、記載されている内容についても正確に理解する必要があります。
何らかの理由で手付解除期間に売買契約を解除する場合、解除を申し出たのが買主側であれば手付放棄、売主側であれば買主に対して手付金倍返しする旨の記載がされています。
買主・売主の双方が売買契約に際しての債務履行を行った際の契約解除及びその際の違約金についての記載がされています。
万が一な時に備えて、自分に不利にならないよう、ここに記載されている内容は必ず理解するようにしてください。
不動産購入の際には金融機関から融資を受けることが一般的です。
万が一、買主が金融機関から融資を受けることが出来なかった場合、白紙撤回(手付金放棄なし・違約金等の支払いもなし)することが出来る旨の記載がされています。
なお、ここに記載がないと万が一融資がおりなくても解約ができない、もしくは高額の違約金を支払うことになりますので、記載されているかは必ず確認するようにしてください。
対象となる不動産の対象面積や測量結果などが記載されています。
もし、売買契約を締結した後に測量を行う場合、登記簿に記載された面積との齟齬が生じた際に、差異の分に関して別途代金の精算を行うのか、それとも精算をせずそのまま行くのかといった取り決めが記載されています。
もし、境界標がない場合には売主側に境界標の設置を求めなければなりません。
売主は、隣の土地所有者との境界を買主に対して明示することになっている旨の記載がされています。
売主側は、所有権が移転する日までに抵当権や賃借権など買主への所有権移転が阻害される要素を抹消しなければならない旨の記載がされています。
売主側は、売買代金を受領したと同時に買主への所有権移転登記をしなければならない旨の記載がされています。
売買契約締結から引き渡しの間の時期に、天災などが理由で対象不動産が滅失・毀損してしまった際には売買契約が解除になる旨の記載がされています。
またそれまでに買主側から受け取っている手付金や売買代金など、売主は全額を無利息にて返還しなければならない旨の記載がされています。
売買契約書をチェックし損なうと、後々損をする可能性があるものをピックアップします。
特に「お金が絡む」ものについては、必ずチェックするようにしてください。
登記簿の面積と実際の面積が異なる場合には、「どちらの面積を元にして売買価格が決定されたのか」を確認するようにしましょう。
第2章でも触れたように、登記簿の面積と実際の面積が異なっても売買価格は変わらない旨の明記がされていれば問題ありません。
しかし、「登記簿の面積<実際の面積」のケースで、登記簿の面積を元にして売買価格が決定されていた場合、増えた面積分の代金を上乗せされてしまう可能性もありますので、要チェックです。
売主側は、売買代金を受け取った段階で所有権の移転登記をしなければなりません。
移転登記をするのは売主ですが、費用は買主負担と記載があるケースがあります。
買主側がこれを見落とすと、あとになって知らない・聞いてないとトラブルになることもありますので、どちらの負担であるのかをチェックしておくようにしましょう。
金融機関から融資を受ける際に、事前審査を通ったからといって本審査が通るとは限りません。
どんな方でも100%本審査が通るとは限らないのです。
融資特約は、万が一金融機関の審査がアウトになった場合に契約自体を白紙撤回出来るというものですが、この記載がなく審査が通らなかった場合には高額な違約金を支払わなければならなくなるケースもあります。
融資特約が明記されているかどうか、必ずチェックするようにしてください。
契約直前に契約書を受け取っても、なかなか目を通しきれないケースが多いです。そのため、余裕をもって契約書の内容をチェックすることが大切です。
また、素人目線ではチェックに限界があります。トラブルなく、不動産購入を行いたい場合には、特に競売など特殊なケースにおいては弁護士をはじめとした法律の専門家に相談をするなどして、契約内容のチェックをしてもらうことをオススメします。
専門家にチェックを依頼するに際しては、2万円~5万円程度の費用がかかりますが、後々のトラブルを考えれば決して無駄なお金にはなりません。
契約書に書かれている内容で、素人では見慣れない言葉も多く出てきます。
分からないからといって、「まあ、いいか」と済ませては絶対にいけません。
契約書に書かれていることは、理解していなくとも、全てご自身が承認したことになりますので、分からない内容に関しては不動産会社の担当者に確認してください。
後々のトラブルを避けるためにも、分からないことは必ず担当者に確認をするようにしましょう。
いかがでしたでしょうか。
不動産購入時の売買契約書の内容、チェックポイントについて解説してきました。
後々トラブルに巻き込まれて、損害を被らないためにも特に重要な部分は見落とさないようにしましょう。
どうしても心配な方は、法律の専門家に契約内容のチェックや契約時の同席をしてもらうことをオススメします。