東京オリンピック開催決定に伴い、不動産の価格は右肩上がりに上昇してきました。オリンピック開催後に不動産価格が下落するという予想が多くあった中でも、実際はまだ下落していません。
上記のような疑問を持たれている方も多いのではないでしょうか。
こちらの記事ではマンション価格が高騰している理由や、マンション価格の今後について解説していきます。
またマンション価格が高騰している今、高く売却するためのポイントについても解説します。マンション売却を検討している方もぜひ参考にしてみてください。
マンション価格が高騰している理由として挙げられるのは以下の4つです。
では、それぞれについて解説します。
マンション価格が高騰している1つ目の理由は、金融緩和により金利が安くなっていることです。
2013年1月日本銀行が金融緩和政策を発表し、政策金利や国債利回りの目標が引き下げられたことで、住宅ローンの金利も低下しました。
住宅ローンの金利が低下すると、消費者側は返済額が下がった分借入額を増やすことができるため、マンション購入の予算を上げることができます。
一方金融機関側は、これまで金利が高くローンを組むことに後ろ向きだった人にも積極的に融資を進めることができるようになります。
購入者の増加や金融機関の積極的な融資により需要が高まったことが、不動産価格の上昇に繋がったと言えます。
2つ目の理由として、公示地価の上昇を挙げることができます。
公示地価とは、国土交通省が毎年3月に発表している土地価格の相場のことで、不動産を売買する際の指標になるものです。
土地の価格が上昇したことによって、ディベロッパーがマンションを建てる際の土地仕入れ価格が高くなります。よって、不動産の価格上昇にも繋がりました。
なお、公示地価が毎年上昇している理由は以下の通りです。
2020年まで公示地価は上昇し続けていましたが、2021年はコロナの影響で、外国人の入国禁止や開発事業のストップ等が国によって決定したため、公示地価が下落しました。
特に、大阪や東京といった大都市圏には、大きな影響が出ており、マンション価格も下落した時期がありました。
出典:国土交通省(2021年)
3つ目の理由としては、東京オリンピック開催により海外投資家から注目されたことが挙げられます。
特に選手村があった晴海などの湾岸エリアを中心に、海外の投資家からの不動産購入が一気に増えました。実は先進国の中で東京の不動産はまだ安いと言われており、売却益を狙っている投資家も多くいます。また、東京の安全面も世界から高く評価されています。
加えて、不動産に注目しているのは海外の投資家だけではありません。金融緩和が続いているうちに、不動産を購入しておきたいという日本国内の投資家も多くいます。その結果、不動産需要が高まり価格上昇に繋がりました。
4つ目の理由は、材料や人件費が高騰しているという理由を挙げることができます。
東京オリンピックは世界中から注目されていたイベントだったため、国内の施設や設備を整えるための工事が一気に進められました。
その結果、数年前から建設業界は人手不足になってしまい、マンション建設までに人が回らなくなったのです。
特に新築物件に関しては土地価格の上昇、材料や人件費の高騰によりコストがかかることから、その分の利益を確保するため物件価格が高騰しました。
不動産価格の推移に関しては第2章にて詳しく解説します。
では、実際にマンション価格はどのように推移しているのでしょうか。
新築マンション、中古マンション別に見ていきましょう。
グラフを見ても分かる通り、新築マンション価格は年々上昇し続けています。
2008年はリーマンショックの影響を受け、マンション価格が大きく低下しましたが、2012年以後は右肩上がりに上昇しました。
上記にも書きましたが、コロナの影響を受け、2021年の土地の公示地価は全国的に下落しました。土地の評価が下がったのであれば、マンション価格も下落するのではないかと考える方もいると思いますが、実際にマンション価格が下落する可能性は低いです。
なぜなら、マンションが建設される土地は、2〜3年後の販売価格を予定して仕入れており、現在建設中の土地は、コロナ禍が想定されていない状態で購入されている土地だからです。
よって、新築マンション価格はコロナ禍であって一時的に下がったものの、すぐに戻りました。
上記グラフを見て頂ければ分かるように、中古マンションも新築マンション同様、価格が高騰し続けています。
なお、中古マンション価格の高騰に関しては下記のような理由が考えられます。
今後もマンション価格の高騰が続いていくのでしょうか。
下記4つのポイントにて解説します。
では、それぞれについて詳しく解説します。
マンション価格は今後、不動産バブルが弾けてしまう可能性があります。
不動産バブルとは、不動産の価格上昇を見越して多くの人が不動産を買い漁ることで実態にそぐわない価格高騰が起こることです。
下記の全国宅地建物取引業協会連合会が2021年3月に公表したデータを見て頂きたいのですが、首都圏の新築マンションの分譲平均㎡単価は既に3ヶ月連続で前年より下回っていました。
もちろんすぐの価格の暴落は考えにくいですが、新築物件の価格の高騰がストップし横ばいに推移していくのではないかと言えます。
マンション価格は今後、金利の上昇があれば、その影響で価格が下落することが予想されます。
金融緩和により金利が低くなると、家賃を払って賃貸に住むよりも同スペックの不動産を購入した方が月々の支払いが安くなります。よって、賃貸に住む層が減り、購入する層が増えました。
しかし、いつまでも低金利が続くわけではありません。
金利が上昇すると融資のハードルが上がり、マンションを購入できない人や、購入を控える人が増えるでしょう。
そうなれば結果として売れないマンションが増え、需要よりも供給が大きくなり、結果マンション価格が下落してしまいます。
https://news.mynavi.jp/fudosan-satei/1029#toc11
地方では今後、人口の減少によってマンションが売れなくなってしまう可能性があります。
日本全体で少子高齢化が進んでいますが、その影響は都心部より地方で顕著に現れています。人口そのものや若年層が減ることで、マンションへの需要が低下します。
マンション価格は2022年の生産緑地の解放により下落すると推測されています。
生産緑地とは、市街化を抑制するために定められた市街化区域内にある農地や山林です。
生産緑地に指定されると30年間の税制優遇を受けられる代わりに、農地や山林以外の用途では土地を使用できません。
その生産緑地に指定された約8割の土地が30年間の期間を迎えるのが2022年です。
多くの生産緑地が解放されることによって土地が供給過多となり、需要と供給の関係から土地価格が下落するのではないかと懸念されています。
しかし、生産緑地を手放すことはそれほどメリットがないため、さほど影響が出ないのではないかという見方もされています。いずれにせよ、所有物件の周辺に生産緑地が多い方は注意しておくといいでしょう。
マンション価格が高騰している今、実は売却するチャンスと言えます。とは言え、必ずしも高く売れるという保証はありません。
最後に、マンションを高く売却するために抑えておくべきポイントについて解説します。
では、順番に解説していきます。
ポイントの1つ目は、あらかじめ相場を把握しておくことです。
国土交通省が運営している不動産取引価格情報検索では、実際に取引された実績を調べることができます。また、不動産ポータルサイトから似たスペックの物件の販売価格を調べることができます。
相場を把握できたら、一括査定サイトを活用して自分の不動産の概算価格を見積もりをしてもらいましょう。
複数社に査定してもらうことによって、自分の不動産の価格幅を把握することができます。
ポイントの2つ目は、スケジュールに余裕を持って売却に出すことです。
一般的に不動産売却までの期間は3ヶ月前後と言われています。中には6ヶ月以上かかってしまう物件もあります。よって、あまりスケジュールに余裕がない状態で売却に出してしまうと、時間に余裕がないため、なかなかいい条件での交渉ができなくなってしまいます。
なお、基本的な売却の流れは下記になります。
上記の流れを理解した上で、できる限り早めに売却の準備を進めましょう。
3つ目のポイントは、思っていたより高く売れないケースもあることを認識しておくことです。
不動産の売買価格は売主と買主が同意した時点で初めて成立します。よって、過去の成約実績の売買価格が高かったからといってその金額で売れるわけではありません。
そこで少しでも高く売るには、できる限り物件のアピールポイントを探したり、内覧対応する際に必ず掃除をしたり、購入希望者からの交渉も積極的に対応するなど、きめ細やかな対応で買主にアピールすることが重要です。
また、入社、入学、転勤など不動産の売買が最も多く取引される時期を狙って売却することも大きなポイントになります。
こちらの記事では、マンション価格の推移、価格が高騰している理由、また今後の価格予想について書きましたが、参考になりましたでしょうか。
マンション価格は地域の経済状況や日本の情勢によって変わり続けます。
そのため、マンションを購入するにしても売却するにしても、常に最新の情報をチェックしなければなりません。
ぜひこの記事を参考にしていただけますと幸いです。