不動産賃貸業は、実は世界で最古の投資といわれています。「チャールズ・エリスが選ぶ大投資家の名言」(日本経済新聞社)には、2500年前の古代ギリシャから不動産賃貸業に近いものが行なわれていたことが書かれています。
これだけ古い歴史のある投資なので、それだけノウハウや成功するための戦略などがたくさんあると思いますが、私は不動産投資家には3つの姿勢が求められると考えています。そこで、今回の記事ではその3つの姿勢を紹介していきます。
まず一つ目は「リスクをとる」ということです。不動産投資を検討している人のなかには、「都内23区であれば空室に困らない」「駅近だと客付けが楽」「新築・築浅がよい」など、リスクヘッジのためにさまざまな条件をつける人がいます。しかし、そんな条件をすべてクリアした物件を見つけることは、ほぼ不可能です。もし見つかったとしても、価格が圧倒的に高く、その情報も裕福なベテラン投資家へ優先的に回されるでしょう。そのため、ある程度のリスクをとらなければリターンもないことを理解し、現実的な物件を探すことをおすすめします。
私が運営している大家コミュニティのなかにも、築古物件を多く買っている人がいますが、古い物件でも、利回り20~30%は当たり前。なかには100%近い物件もあります。彼は、この「築古」というリスクをとる一方で、リフォームやリノベーションを施して客付けをする知識やノウハウをもっており、リスクを利益に変えているわけです。私は、これこそが本来の投資家としてあるべき姿勢だと考えています。
また、不動産投資を検討している多くの方は、年金など将来への不安を少しでも解消したいと考えていることでしょう。そのため、「現状のまま何もしない」ことそのものがリスクだということに気づいてほしいと思っています。
二つ目は「正しい知識を身に付ける」です。不動産投資は数千万円、もしくは億単位の借り入れをして収入を得るものなので、最初はギャンブル的なイメージをもつ人が多くいます。しかし、勉強すればするほど、非常に手堅い投資だとわかるはずです。
例えば、所有しているマンションの貯水槽や浄化槽が壊れたとすると、200万円くらいの修繕費が必要になります。何も知識のない人は、この金額をすべて自腹で払うことになりますが、勉強している人であれば「火災保険が使えるのでは?」ということに気づくはずです。
このような例は、不動産投資では珍しいことではありません。そのため、「不動産投資のリスクの多くは、知識やノウハウを身に付けることでカバーできる」ということを知ってください。そのうえで、しっかり勉強して「正しい知識」を身に付けてください。
三つ目は、不動産投資特有のものですが、「コミュニケーション能力を高めること」です。
オンラインの株式投資やFXなどでは、人と人のコミュニケーションによりパフォーマンスが変わることはほとんどないと思いますが、不動産投資の場合はコミュニケーション能力によりパフォーマンスが変わることがよくあります。
例えば、物件を探すときは業者に直接会って話をしますし、買い付けを出すときも交渉しなければなりません。このほか、銀行、司法書士、管理会社、保険代理店、リフォーム業者など、多くの業者さんとのやりとりが必要になります。
そして、その交渉時に正しい知識と高いコミュニケーション能力があれば、交渉を有利に進めることが可能になります。
また、前回の記事で「不動産投資の勝負は、物件を買った瞬間に9割方ついている」と書きましたが、そのためには「相場より割安に買う」ことがとても重要です。そのためには情報収集のほか、コミュニケーション能力も必要になります。
例えば、地主さんとの交渉により、物件をより割安に購入できることがあります。地主さんのなかには高齢の方がたくさんいるのですが、そういう方々には価格よりも買い手の人柄や属性、背景といったものを重視する人が多くいます。
そのため、私は申込書に手書きの手紙を添え、自分がどういう人間であるかを伝えることがあります。そうすると、自分より少し高額な申込書を提出した人がいても、私の想いを受け取っていただき、私を選んでいただけるようなケースがあります。
私の考える、投資家に求められる姿勢は、「①リスクをとる、②正しい知識を身に付ける、③コミュニケーション能力を高める」の3つです。前述した通り、①のリスクは勉強すれば回避できるものが多く、例えば弊社でも法的なリスクのある不動産(法的瑕疵物件)の投資をコンサルティングしています。
そして、繰り返しになりますが、勉強して②の正しい知識を身に付け、③の高いコミュニケーション能力で交渉を有利に進めることが重要となります。