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インタビュー

対談/不動産投資の視点で空き家問題を考える(Vol.1)

2021/05/142021/05/21

人口減少を起因とし、2040年には約半数の市区町村が消滅するとの予測もあるなか、空き家も増加の一途をたどっています。総務省の「平成30年住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家数は約846万戸、総住宅数における空き家率は13.6%にも及んでいます。現在、これらの空き家の放置による被害が深刻なため、「空家等対策特別措置法」などの対策が打たれているものの、そもそもの問題である空き家増加に歯止めをかける有効な方策は見出されていません。

そこで今回は、三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)時代に常勝トレーダーとの異名をとるなど投資に精通する今井雅人衆院議員と、不動産投資のコンサルティング事業を通して空き家問題の解決を目指す、アジアゲートホールディングス株式会社の松沢淳会長が「空き家問題解決のため、行政や民間ができること」について対談を実施、2回にわたってお届けします。

出典:「平成 30年住宅・土地統計調査結果」(総務省統計局)

外からの人口流入を呼び込む観光地の活性化

松沢 全国的に空き家が問題になっていますが、今井さんの地元、岐阜ではどんな状況なのでしょうか?

今井 空き家が増える理由は、家を継ぐ人がいない相続の問題が多いと思いますが、とくに過疎地で見られるのは、子供が地元にいても親と同居しないというケースです。例えば、飛騨高山では子供が新興住宅地に家を建て、実家を出てしまうんです。ですから、子供が地元にいてもいなくても空き家になってしまう。また、私の選挙区のなかには 、40年近く前に開発された団地がゴーストタウン化して、大きな問題になっている都市があります。団地に住宅はいっぱい並んでいるのですが、半分は空き家という状況ですね。

今井議員

 松沢 そうすると、外から移住してくる人を増やすという選択肢もあると思うのですが、私たちがビジネスで感じていることは、外からの流入に抵抗感をもつ人が多いということです。例えば、東京の人が物件を買おうとしてもなかなか受け入れてもらえないというケースがあります。もちろん自治体によりますが、岐阜ではどうですか?

今井 岐阜県の場合は南北の県境が富山県と愛知県にありますが、富山県側の観光地への流入がよく見られます。主な観光地は下呂温泉、飛騨高山、白川郷、郡上八幡の4つあり、とくに飛騨高山と郡上八幡は流入が多いです。いまは新型コロナの影響で落ち込んではいますが、これまでの傾向としてはインバウンドが増えて街がオシャレになったせいか、東京や名古屋の方からカフェを出したいという人が集まってきています

松沢 最近は、観光地や帰省先など自宅以外の休暇先でリモートワークをするワーケーションが少し流行ってきていますが、休暇先にずっといるのは難しいですよね。そのため、私たちも週末や連休のときだけ休暇先で過ごす2拠点生活のような、新しいライフスタイルを推奨できないかと考えています。

空き家を上手く活用することで地方活性につなげたい

今井 御社で扱っている案件は、空き家をリノベーションして販売することが多いのですか?

松沢 弊社のお客様は投資家の方がメインですので、私たちがリノベーションするわけではありません。買った後にリノベーションして賃貸にするか売却するかは、投資家の方の考え方次第になります。

今井 そうすると、物件探しはどういう視点で選んでいるのですか?

松沢 空き家の要因は再建築不可の物件だったり、共有の持ち物になっているなど瑕疵のある物件が目立ちます。また、これらの物件は通常より割安な価格で買えるケースが多くあります。そこで、私たちはそうした物件を紹介しつつ問題点をクリアにするためのコンサルティングを行っています。

今井 なるほど。割安な価格で購入できているので、利回りが高くなるわけですね。貸すときは民泊など、宿泊施設にすることもできますね。

松沢 物件自体はいろいろなものがありますので、この物件なら賃貸にした方がいい、ここなら宿泊施設の方がいいといったこともアドバイスしています。そうしていくことで、結果として空き家になりそうだった物件が上手く活用され、地方の経済にも恩恵が出てくるという流れになってほしいと願っています。

松沢氏

今井 行政に対して何か望んでいることはありますか?

松沢 空き家が放置されている理由は単純に相続の問題だけでなく、再建築不可で建替えができない境界が未確定などの理由(問題)があると思いますが、その問題点をクリアにするための緩和措置などが盛り込まれた法律が2015年に施行されています。しかし、この法律の運用は自治体によって温度差があるのが実態と感じていますので、この温度差が少なくなるとうれしいですね。

今井 自治体ベースで緩和できる有効な施策で、具体的な例はありますか?

松沢 例えば建築基準法に接道義務違反というものがあり、建物を建築する際の間口として4m以上の道路に2m接道していないといけないという規定があります。そのため、接道が1.5mしかないという場合は建築審査会の同意に基づく特定行政庁の許可を得る必要があり、但し書きの許可がもらえれば再建築可能になります。しかし、一定の基準を満たせば、自治体判断のみ(建築審査会の同意は不要)で可能になるケースもあります。こういったケースが増えれば、空き家問題解消の一助になっていると思います。

今井 たしかに昔に建てられた古い物件には、そういうケースが多いですね。

松沢 このほか、道路を広げるなど区画整理の事業に関しても、指定地域の開発許可や緩和措置などをして民間に任せていく方法を推進していけば、自治体の予算を使わずに民間の資本でできるようなものがあると思います。そうすると、結果的に道路の拡張や防火地域の強化などにもつながると思います。

〈Vol.2へ続く〉 後編記事はこちら

後編記事


対談者プロフィール

今井 雅人(いまい まさと)衆議院議員

1985年三和銀行入行。1989年より5年間、同行米国シカゴ支店で勤務。2004年UFJ銀行資金為替部門における統括次長兼チーフディーラー職を最後に同行を退職。その後、金融情報会社を設立し、同時に経済アナリストとして、各方面で講演や執筆活動を行う。平成29年10月の第48回衆議院選挙で四期目当選。衆議院内閣委員会理事、予算委員会委員。

松沢 淳(まつざわ あつし)氏

株式会社アジアゲートホールディングス 代表取締役会長 1989年、株式会社住友銀行(現株式会社三井住友銀行)入社。その後、トールエクスプレスジャパン株式会社取締役、株式会社廣済堂社外取締役などを経て、2020年7月に株式会社アジアゲートホールディングス代表取締役社長に就任、2020年12月会長へ就任。

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木村敬

株式会社ウイット 代表取締役
各雑誌、書籍、webコンテンツなどにおいて、エンタメ情報、金融関連情報などを取材・執筆。空き家問題ほか、不動産関連のお役立ち情報をお届けします。

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