インタビュー

インタビュー/不動産投資のプロに聞く“今”を勝ち抜くための不動産投資術(Vol.1)

2021/09/10
インタビュー/不動産投資のプロに聞く“今”を勝ち抜くための不動産投資術(Vol.1)

少子高齢化、新型コロナウイルス感染症などが日本経済へさまざまな影響を及ぼすなか、不動産投資へどのような影響が及んでいるかが気になります。そこで、今回は不動産投資のプロとしてコンサルティング業務に従事する株式会社NSアセットマネジメントの取締役・薩摩賢幸さんにインタビューしました。薩摩さんは会社員生活5年目で年収500万円、自己資金500万円から不動産投資をスタート。以後の5年間、大きな融資は受けず、ほぼ自己資金だけで100万円超のキャッシュフローを得るまでに投資を拡大してきました。その経験をもとに、コロナ禍の“今”を勝ち抜くための不動産投資戦略について、お話しいただきました。ここでは、内容を2回にわけてお届けします。第一回の今回は、不動産投資の現状と、そのなかで薩摩さんが特に重要と考えていることについて紹介します。

コロナ禍で変化が見られる不動産投資の戦略

――新型コロナウイルスが日本経済へ及ぼす深刻な影響が懸念されるなか、今後、不動産価格にはどのような影響があるでしょうか?

薩摩 景気悪化により土地価格が下がっていく可能性はあると思いますが、投資用のマンションやアパートなど、収益物件価格は上がっていく可能性はあると思います。現在、不動産投資はかぼちゃの馬車事件などの問題により金融機関が融資に消極的で、以前のように大きな融資を受け、マンションやアパートを購入していくのが難しくなっています。そのため、現在の収益物件価格は底値にあるといえそうな状態ですから、今後、融資の状況に変化が見られると、収益物件への投資意欲が高まり価格が上がっていくと思います。

――新型コロナウイルスの影響は、世の中の暮らしや働き方など、さまざまな分野に及びました。このニューノーマル時代にあった不動産投資はありますか?

薩摩 リモートワークが増加してきたことで、郊外の戸建てや区分マンションの需要が増えているようです。今後、コロナが終息したとしても、リモートワークは一般的な働き方として定着するでしょうから、緑豊かでロケーションのよい郊外の人気は衰えないと思います。また、都内の一等地は逆に需要が減っていくかもしれません。

――金融機関からの融資が難しいという状況は大きな逆風だと思いますが、そのなかで不動産投資戦略に大きな変化はありましたでしょうか?

薩摩 以前のように大型融資を受けて一棟マンションやアパートを購入するケースは減り、現在は、自己資金や小規模な融資で購入可能な中古の戸建てやアパートへの投資が主流になってきていると思います。私たちもお客様には、いきなり大きな物件を購入するのは難しいので、小さな物件を狙っていきましょうと話しています。

賃貸需要を調べるためには、現地の声を聞くのが重要

――郊外が人気ということですが、投資家におすすめのエリアはありますか?

薩摩 このエリアが狙い目といった視点で不動産投資を考えるのは、あまりおすすめできません。エリアよりも相場に対してその物件価格は安いのか高いのか、価格で考える方が重要です。そのため、ある程度の賃貸需要が見込める場所であれば、エリアはどこでもよいといえます。それでもあえて人気エリアで探したいとなると、神奈川や埼玉、千葉の郊外で探せば、ある程度の賃貸需要が見込める場所で割安な物件を探すことができるかもしれません。また、都内の人気エリアについては融資が難しいうえ、利回りもよくない物件が多いので、慎重に考えた方がよいと思います。

――郊外で探す場合、注意すべき点はありますか?

薩摩 あきらかに賃貸需要のない場所は避けるべきですね。たとえ安価で購入できたとしても、借り手や買い手がつかないことがありますので、やめるべきでしょう。

――郊外に限らないですが、現在は少子高齢化が進み空き家も増加傾向だと思います。このような状況は、供給過多の状態といえそうですが、それでも安定的な客付けを見込めるでしょうか?

薩摩 空き家増加は大きな社会問題になっていますが、行政も「空き家等対策の推進に関する特別措置法」などで対策に乗り出しており、放置したままでは罰金が科せられるなどの事情により、「早く売りたい」というオーナーが増えています。そのため、供給過多の状況も進むと思われますが、それだけ価格が下がり購入しやすくなるでしょうし、そのなかで賃貸需要をしっかり調査し、リフォームなどで差別化していけば、十分に客付けしていけると思います。

――賃貸需要はどのように調査していけばいいのでしょうか?

薩摩 インターネット上である程度の事例が調べられますし、一番よいのは実際に現地へ足を運び、地元の管理会社3~4社にヒアリングすることです。管理会社も物件を購入した後、ヒアリングを縁に管理をお願いすることになるかもしれませんので、どの価格帯なら借り手が見つかりそうかなど有意義な情報をしっかり教えてくれると思います。やはり、そうした現地の声を聞くことが最も重要だと思います。

〈Vol.2へつづく〉9月17日公開予定!

対談者プロフィール

薩摩 賢幸(さつま たかゆき)氏

株式会社NSアセットマネジメント 取締役

秋田県出身。大学を卒業後、大手石油系ゼネコンでプラントエンジニアとして5年間会社員として勤務。
残業時間月に約200時間という過酷な労働環境をなんとか抜け出すために23歳から不動産投資を開始。

法律を駆使してクセのある物件を再生させる投資を得意として、0円で仕入れたマンションや築古シェアハウスなどを高収益物件にした実績がある。

その後、代表の藤山と共に「株式会社NSアセットマネジメント」を設立。
2020年7月、上場企業「アジアゲートホールディングス」にグループインする。

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木村敬

株式会社ウイット 代表取締役
各雑誌、書籍、webコンテンツなどにおいて、エンタメ情報、金融関連情報などを取材・執筆。空き家問題ほか、不動産関連のお役立ち情報をお届けします。

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