インタビュー

インタビュー/不動産投資のプロに聞く“今”を勝ち抜くための不動産投資術(Vol.2)

2021/09/10
インタビュー/不動産投資のプロに聞く“今”を勝ち抜くための不動産投資術(Vol.2)

前編記事

少子高齢化、新型コロナウイルス感染症などが日本経済へさまざまな影響を及ぼすなか、“今”を勝ち抜くための不動産投資の戦略について、不動産投資のプロとしてコンサルティング業務に従事する株式会社NSアセットマネジメントの取締役・薩摩賢幸さんに話を聞きました。その内容の2回目となる今回は、小規模な投資でもハイリターンを期待できる不動産投資術について紹介します。

“今”の時代に合った不動産投資の戦略とは

――現在は大きな融資を受けるのが難しい状況ですが、インカムゲインとキャピタルゲインのどちらを目的に投資を行う方が多いのでしょうか?

薩摩 条件にもよりますが、大きな融資を受けて大きな物件を購入しようと考えると、現在は2~3割の頭金が必要になります。そのため、いかに自己資金を増やしていくかが重要です。そこで弊社ではまず、小さな物件を購入してキャピタルゲインで利益を得ながら自己資金を拡大し、いずれは大きな物件を購入してインカムゲインで安定収入が得られるような状況を作る戦略を推奨しています。

――自己資金が少ないと小さな物件しか購入できないので、たとえリフォームで付加価値を付けたとしても、あまり大きなキャピタルゲインは狙えないですね。

薩摩 例えば500万円の資金をもつ方が400万円ほどの物件を購入し、800万円で売ったということはよくありますよ。そうした投資を重ねることで資金が貯まり、2000万円を超えてくると融資に応じてくれる金融機関も増えてきますので、ステップアップしやすくなります。ただし、キャピタルゲイン目的の場合は必ず売れるという保証はありませんので、インカムゲインでも安定収入が得られそうな物件を探すのが一番いいですね。

――小さな物件を安く買って高く売るコツのようなものはありますか?

薩摩 やはり、それなりのリスクをとる必要はあると思います。私の場合は再建築ができないなどの法的瑕疵物件を100万円で購入し、1000万円で売ったことがあります。弊社の場合も、こういった法的瑕疵物件を安価で購入し、それぞれの物件のもつ問題点を解消して価値を上げてから販売し、大きな収益が得られるようなコンサルティングを行っています。

小規模投資で大きなリターンを得るための戦略とは

――法的瑕疵物件を購入して、その問題点はどのように解消していくのですか?

例えば「共有持ち分」と呼ばれるものがあります。これは3人兄弟が3分の1ずつ権利を持つというように複数人が所有権を持つ物件のことで、兄弟のうち誰も住んでおらず、空き家になっているため、権利は持っていても何も価値を生んでいないのに税金だけはかかっているというケースがよくあります。そのため「安くてもいいからさっさと売りたいが、権利が限定的なために誰も買ってくれない」と悩んでいる方が多くいます。そういった場合、例えば1000万円の価値を持つ物件の3分の1の権利をもつ方から50万円で購入し、残りの3分の2をもつ権利者達と交渉して100万円で購入。最終的に150万円で購入できたということがよくあります。この場合は空き家対策にもなり、社会貢献にもつながりますので、弊社としても積極的に推奨しています。

また、「使用貸借の底地」というものもあります。これは、無料で貸している土地の上に借主が建物を建てている状態のものです。この場合は、土地所有者の曾祖父の時代から貸していたものが現代でもそのまま引き継がれたままになっているというケースがよくあります。そこで投資家が土地所有者から安く購入し、借主に立ち退き交渉をして更地にして販売し、利益を得るというスキームもあります。

――共有持ち分の場合は、権利者が誰かよくわからない場合もあると思いますが、それを自分で探すのは大変ですね。

薩摩 共有者には共有物分割請求権がありますので、戸籍や住民票を調べることができます。これを自分で行うか、または弁護士に委任し、弁護士の職権で調べてもらうことも可能です。

――権利者を見つけることができても、その後の交渉が大変ですね。

薩摩 もし交渉が上手くまとまらない場合は裁判になりますね。法的瑕疵物件にはそういったリスクはありますが、裁判費用や弁護士の費用を考慮しても大幅な収益が見込める物件はたくさんありますので、小規模投資で大きなリターンを得るチャンスは数多くあると思います。

まとめ

ここまで、コロナ禍で生活様式が変り、ニューノーマル時代といわれる“今”の不動産投資について、株式会社NSアセットマネジメントの取締役・薩摩賢幸さんに話を聞いてきました。現在は、金融機関が不動産投資への融資に消極的で大型投資が難しいなか、自己資金や小規模な融資でも購入可能な小さな物件への投資が主流になっていること、また、テレワークなど働き方の変化にともない郊外の物件に人気が集まっていることがおわかりいただけたと思います。

そのなかで、現地で生の声を収集しながら賃貸需要を調べることの重要性、法的瑕疵物件などのリスクをとることで、小規模な投資でありながらハイリターンが得られる方法についても解説していただきました。

ぜひ、これらの内容を参考に、ニューノーマル時代に勝ち残る不動産投資術として役立ててください。

対談者プロフィール

薩摩 賢幸(さつま たかゆき)氏

株式会社NSアセットマネジメント 取締役

秋田県出身。大学を卒業後、大手石油系ゼネコンでプラントエンジニアとして5年間会社員として勤務。
残業時間月に約200時間という過酷な労働環境をなんとか抜け出すために23歳から不動産投資を開始。

法律を駆使してクセのある物件を再生させる投資を得意として、0円で仕入れたマンションや築古シェアハウスなどを高収益物件にした実績がある。

その後、代表の藤山と共に「株式会社NSアセットマネジメント」を設立。
2020年7月、上場企業「アジアゲートホールディングス」にグループインする。

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木村敬

株式会社ウイット 代表取締役
各雑誌、書籍、webコンテンツなどにおいて、エンタメ情報、金融関連情報などを取材・執筆。空き家問題ほか、不動産関連のお役立ち情報をお届けします。

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