みんかぶ不動産

不動産投資の本質を知る

筆者: minkabuPRESSインタビュー
2019/05/142019/09/18

 ただ物件を売るだけではない、不動産投資の向こう側まで――。不動産投資を通じて顧客の人生全体にどう貢献していくかを考え抜き、事業を続ける企業がある。アップルハウス・鈴木優平代表に不動産投資について徹底的に聞いた。

■選別進み優良企業が残った2019年

――2018年は不動産投資業界でさまざまな不正が明らかになった1年でした。これを受けて2019年の不動産投資業界がどう進んでいくと見ているでしょうか。

 

 お客様をだますような、数字だけを良いように見せて、中身のない投資商品を紹介するようなことを一部の業者がしていました。ローンさえ通れば良いという姿勢でお客様を巻き込むような業者がいると、きちんとした仕事をしている不動産業者も同じように見られるようになり、業界全体の信用が落ちてしまいます。

 

 しかし、そういった業者は淘汰されました。つぶれた会社も多く、一棟売りを行う業者でそうした不正企業はほぼ消滅したと言えます。

 

 金融機関は融資を引き締め傾向ですが、一方で不動産会社が少なくなりましたので、良い提案をより多くお客様にできる環境になっています。実際のところ金融機関も、きちんとした所得をお持ちの方への融資は止めていません。メガバンクであれば、属性の良いお客様に対しては金利1%前後の融資も行っています。正しい姿勢で事業を行っている不動産会社にとっては、非常に良い状況だと思います。

 

――不動産投資を行う側にとっては良い状況ということですね。

 

 不動産投資業界全体では売りづらくなった部分もあるかもしれませんが、当社が扱っている小さなワンルームや区分所有に対する融資はまったく影響を受けていません。銀行にとっても、区分所有マンションは最もデフォルト率が低い融資先ですからむしろ融資は活発になっています。

 

 個人投資家の動きを見ていると、株式投資やFX、仮想通貨などに興味を持ち、調べてやってみても、一時的にはうまくいっても、継続的にはうまくいかないということを知り始めているように思われます。

 

 そうしたなかで、実物として手触りがあり、目に見えるものである不動産の価値を見極められる人が増えてきたと感じます。不動産を購入されるお客様のレベルが上ってきたので、業者側も良いものを紹介しなければいけなくなってきた。だから本当にきちんとした不動産投資をしている人たちにとっては、良いものを手に入れられる時代になってきたと思います。

 

――不動産投資に関連した不祥事が報道されるなか、それについて聞かれることはありませんでしたか?

 

 ありのままの事実を言うと、お客様から聞かれたことは一度もありません。去年、一回もなかったです。不動産投資の世界の話題として、私の方から言うことの方が多かったくらいで、お客様から聞かれたことはありませんでした。もともと当社に対して信頼を持っていただいているのもあると思います。

 

――そういう意味では、不動産投資家のお客様は、それらの不祥事の影響を受けているわけではないという認識なのでしょうか。

 

 不動産というものの本質を分かっている方にとっては、関係のない話だと思います。 

■将来への不安大きい20代

――お客様とお話しするなかで不安をお持ちのお客様は多いですか。

 

 20代の方は、将来、自分はどうしていくのだろうという大きな不安があるように思っています。いま40代の方が20代の頃に感じていた不安とはまったく違うものに見えます。

 

 いろいろな要因はあると思いますが、今の20代の方々には、国に頼っていればいい、終身雇用でこのまま雇われていればいいという感覚がない。将来への不安を努力でどうにかしなければいけないという思いがあるようです。

 

 昨年は23歳や、24歳の方で、不動産投資を始める方が少なくありませんでした。10年前であればまずいなかった層です。いま、こうした方からの相談が増えています。投資信託や株、NISA、iDeCo、ふるさと納税など、いまある自分の知ることのできる情報は、きちんと自分で入手して精査し、やってみてダメなら組み換えてと、ポートフォリオの考え方も分かってやっていらっしゃる方が非常に多いです。

 

 収支予測についても、一生分のシミュレーションを、リスクストレスをかけた上で作ってこられる方もおられます。そのうえで購入していくので、まず失敗するような人にはならない。だからこそ、我々も様々な提案ができています。

 

――投資家のレベルが非常に高くなっているように感じます。

 

 私がそうした方に多くお会いしているという面もあるのでしょうが、投資に関するリテラシーは間違いなく上がっていると思います。 

■市民権を得た不動産投資

――不動産投資についても、4、5年前はだいたいが40代、若くても30代後半の方が多かったと思います。20代前半からスタートされる方が増えたという事実は、不動産投資が昔より浸透してきていることを示しているように思います。

 

 不動産投資は間違いなく市民権を得ています。昔はどの不動産会社も電話営業を主体としていましたが、今は人づてで個人投資家の方をご紹介いただくというお付き合いが多くなってきています。良い物件を良い人に紹介するという、商売としては非常に単純かつ本来の姿が増えてきました。だからこそ、若い方とのお付き合いが増えてきたのだと思います。

 

 私たち日本人の感覚で、不動産投資のみならず金融に対して、あるいはお金や投資についての会話をしないという文化がありましたが、若い方はそうではありません。当社のコミュニティでお会いする方には、「お前、あの投資どうなの?」とか「実は俺、これをやっているんだ」とか、あけっぴろげに話してくださる方が非常に多いです。そういうのが伝播して、不動産投資に対してのハードルが下がっているのかもしれません。 

■東京の不動産は圧倒的に安い!

――区分マンションの価格は上がっていると思いますが、販売動向についてお聞かせください。

 

 売れ行きは上がっています。私が15年ほど不動産を見てきたなかで、リーマンショックを含め、多少の経済変動はありましたが、実際のところ不動産価格はゆっくりとですが、ずっと上がってきています。

 

 東京には人口の流入があるため、家賃相場が上昇しており、それにつられて不動産価格も上がっています。ですから、過去に比べて不動産価格が高いからといって、不動産投資家の購入にブレーキが掛かるということもありません。

 

 東京はGDPで世界トップクラスの都市であり、密集度から見ても、これほどの人口が一つの都市に集まっている地域は世界中見てもなかなかありません。人がいれば、そこには住まいが必要になります。不動産需要を考えると、世界と比べた東京の不動産価格は圧倒的に安いんです。ニューヨーク、ロンドン、サンフランシスコ、香港、シンガポール、いろいろ都市によって価格差はありますが、世界有数の都市は、東京の2倍くらいの価格が現実です。

 

 日本人は井の中の蛙で近いところばかりを見ていますが、今グローバルでいろいろなものが見えるなかで、全体を俯瞰して見渡した時、やはり東京における不動産投資はまだまだ市場として伸びる要素が大きく、購入する方はまだまだ増えていくと私は予想しています。

■他人資本で将来の収入を作る

――そうした伸びゆく東京の不動産市場のなかで、御社の強みはなんでしょう。

 

 お客様に一番評価をいただいているのは、単に商品を購入するのではなく、不動産投資というものの価値、ライフプランの礎となる資産として不動産投資をご紹介している点です。東京あるいは日本全体で求められる不動産投資で、お客様にとって本当に価値ある投資のメリットは何かと言えば、不労所得を作るという観点以外ないと断言しています。退職後に毎月何十万円という収入が得られるような価値ある投資が、いま日本で不動産投資を始めることで得られるものだと思っています。

 

 そうした観点で考えると、資産運用もお客様の人生100年をとらえた長期のものでなければいけません。そこでライフプランニングを考える上で、不動産投資はあくまで老後の収入を確保するための【もの】ということを確認します。そうすると、同じような効果を持った保険もありますから、保険または不動産投資で未来の収入を確保し、それが出来上がってから不動産投資以外の、株式や投資信託への投資についてもセミナーといった形でお伝えしています。

 

 不動産投資は他人資本を使って、将来のご自身の収入を作るものです。自己資本を使って目先のお金を増やそうとされているお客様に対し、目標をもっと高い位置で据えられるように、コーチングに近い形でライフプランを提案しています。株式投資や投資信託のセミナーなども開催し、お客様の人生の目標を叶えるというプランニングの中の、一つの手段として不動産投資を提案しています。

 

 不動産投資のメリットばかりを訴える提案では、大満足で10年後を迎えられるお客様は非常に少ないという現実を多く見てきました。不動産投資は本来、ローリスク・ローリターンの手堅いものです。お客様に投資の提案を行う私たちにとって、本当の価値を見出していただくのはその先になにが提案できるかだと思っています。

 

 当社は今、物件を購入していただいた後の対応に力を注いでいます。お客様の人生の目標に対し、当社がコミットするうえで、購入後の対応に力を入れることがお客様にとって価値の大きなものになっていくと思っています。購入していただくまでに力を入れるのはどこの会社もそうでしょうし、お客様にしてもサクッと購入されていく方も非常に多いです。しかし、お客様の生涯を通して大きな価値を届けるという意味では、目先の販売だけでなく、購入していただいた後の対応も大切です。当社がお客様から評価されている理由は、そういったところにあるのではないかと考えています。 

■不動産物件は売れば終わりではない

――物件数の確保は順調でしょうか? 区分マンションは業者も多く、充分な数を確保できない企業も多いのではないかと思いますが。

 

 当社は2、30項目の評価基準をクリアした販売して問題ない物件しか取り扱いません。その範囲で仕入れられる物件だけでいえば、足りないというのが正直なところです。ただ、増やすとなると物件に求める条件を悪くしなければなりません。そんなことをするのであれば、条件を満たした物件だけを紹介していくというスタンスです。

 

 不動産事業というのは本当に息の長い事業でなければなりません。ただ売ればいいという商売をしていると、それができなくなります。ですから、お客様を選ぶぐらいの目線でやっています。

 

 仕入れは本当に大変です。それを我々が目利きして仕入れた物件ですから、やはり誰もかもではなく、『この方とお付き合いしたい』と思えるお客様に紹介するスタンスでやっています。

 

――おとり物件を用意して、誰でもいいからとりあえず物件を売りつけるという業者も見受けられます。こうした業者はこれからなくなっていくでしょうか。

 

 簡単にはなくならないでしょう。ただ、そうした業者は不動産事業を次のフェーズに進化させることはできないと思います。

 

 物件を売れば終わりという姿勢では、市況の波のなかで物件が足りなかったり、売れなかったりということを繰り返すだけになります。不動産業界はまだ、ただ売って終わりではなく、そのさきに新しくお客様に与えられる何かを創るということを、他の業界に比べるとまだまだできていない部分が多いと私は思います。 

■不動産投資の本質は

――不動産は数千万円にもなる大きな買い物です。そこで失敗する人を一人でも減らしたいというのがみんかぶ不動産のコンセプトの一つです。これから不動産投資を検討されている投資家の方たちに向けて、リスクを最小限に抑えるためにはどうしたらいいのかアドバイスをお願いします。

 

 まず根本的な不動産投資の本質を知っていただくことが大事です。本質は何かと言うと、人がこの家賃だったら住みたいと思って住んでくれて、家賃が発生する。基本的にはこれ以外の要素はありません。

 

 ということは、まずエリア。私は東京しか考えられませんと申し上げます。住んでくれる人が絶対的に多くいる場所でなければ不動産投資は長期的に継続できないのです。

 

 次のステップが適正家賃なのかどうか。10万円という家賃だったとして、その部屋、その間取り、その立地で入居者様が「10万円は高いわ」と思うのであれば、その部屋にはそれ以上の入居者はつかないわけです。

 

 9万円で、「あ、これなら住みたい」と思ってもらえるなら、その部屋は適正な家賃が設定されている。家賃相場は簡単に崩れるものではありません。適正な家賃なら入居者も途切れず、家賃収入も継続的に確保できます。

 

 間違った家賃を設定すると、設計していたシミュレーション通りにならず失敗につながります。失敗は、投資家が抱いていた期待を下回る、あるいは想定外のことによって起きてしまいます。だからこそ最初に、良い立地と適正な家賃を確保することが大切なのです。この2つが適正ならシミュレーションと大きく異なった結果にはなりません。

 

 3つ目は、そこまでやった上でも、想定内にしておくべき発生しうるリスクを事前に知っておくことです。リスクを想定していれば、大抵の場合はどうにか出来ると思います。 

■「自分でなんとかできる」が不動産投資の魅力

――不動産投資はそうですよね、自分でなんとかできるところがありますよね。

 

 あります。

 

 それを知らないで、「あれ、修繕ってこんなにかかるの」とか「こんなことのためにお金を取られるの」と、想定していなかった理由でお金が必要になると、「なんだよ、騙された」って誰でもなりますから。

 

 でも初めから、『エアコンが壊れたら修繕費をかけて直さなければならない』あるいは年月が経てば『修繕費をかけて壁紙を新しく張り直さなければならない』そういった費用も収支に入れて考えなければいけませんとお伝えします。そうして必要な費用を毎月コントロールしていけば、リスクはケアすることが可能になります。どうすればいいかをお客様自身で考えて、オーナーとして関わっていくスタンスを持てばそうしたリスクも許容できるようになります。

 

 それをきちんとやっていれば、今の東京都内の不動産投資で失敗することなどありません。

 

 不動産投資はローリスク・ローリターンです。「すごい儲かります!」というものではありません。当社は、お客様が失敗することをとにかく避けるために、中古物件でそこまで設計した提案を行っています。ローリスク・ローリターンなりのやり方をお伝えしていればこそ、東京にはたくさんの人が居て家賃が入ってくるので失敗するものに普通はなりません。家賃が1年も2年も入ってこない物件なんて、そうそうないです。当社の扱う物件では、空いても1週間程度です。

 

――不動産投資は自分がほとんど資金を出さず、他人資本で、他人が払ってくれるお金で返済していくものという点が強調されすぎているように思います。

 

 そこなんです、そこ。そこがまやかしで。「自己資金がなくてもできるんだ」という点だけをお客様に強く印象づけてしまうと、誤解が生じてしまう。

 

――突発的に設備が壊れた場合など、オーナーの出費が必要ですからね。でも、それを言わずに、本当に頭金も資金もなくても不動産投資ができると説明すると、途中で請求があったときに「騙された」ってなりますよね。

 

 営業マンってどうしても、「自己資金がなくても投資できる」という点を強調してお客様に話をしていくので。

 

 そんなことにならないように、お客様の生活も考えたプランを設計していかないとなりません。物件購入後もお金が出ていくことはありますし、本来お客様に必要になるお金のことを考えずして提案ができるはずないのです。 

■消費増税、東京オリンピック後の不動産市況は

――2019年には消費増税が、2020年には東京オリンピックが開催されます。その後の不動産市況の見通しをお聞かせください。

 

 東京オリンピック後の不動産価格が下落するのではないかという予想は非常に多く耳にしますが、私はそれほど影響ないと考えています。むしろ、良くなるかもしれないと思っています。

 

 五輪開催が決定して以降、東京の再開発はいろいろなものが進みました。空港の拡張、新しい高速道路、新規鉄道路線の開通、滞っていたインフラの整備が、国が大規模にお金をかけて一気に進みました。

 

 ここから先、まだ10年、20年と東京のインフラ整備は進みます。これはオリンピックだけのためではなく、東京の未来構想を踏まえたインフラ整備なんです。ということは、東京に住む人たちにはものすごく便利になっていくことを意味しています。今でも便利な東京が、より便利になるのです。

 

 より便利になる町には人が集まりやすくなりますし、企業もそこに事業所を構えれば働きやすくなります。便利な町に人が集まるのが原理原則です。

 

 2016年リオデジャネイロ五輪のように、オリンピックのためにハリボテの看板を作り、終わって剥がしてみれば後ろがすごく汚かったというような、そんなインフラ整備ではありません。未来も見据えた、その経過地点としてのオリンピックなのです。

 

 2012年ロンドンオリンピックこそが東京五輪の参考になるでしょう。ロンドンではオリンピックに向けて、新しくいろいろな交通網が開通しました。それによってオリンピック以降にロンドンの不動産価格は倍ぐらいに上がりました。

 

 もう一つロンドンオリンピック後がヒントになるものがあります。それは海外の人たちを働き手としてもっと受け入れていくことです。そうすると、もっと東京の不動産価格が跳ね上がる部分があるだろうと考えています。

 

 外国人を受け入れる窓口が先進国の中で最も狭いのは日本です。逆に言えばまだまだ受け入れ余地があるということですから、日本には伸びしろがあると考えてます。

 

 オリンピックが終わったからと言って、東京の住人が引っ越すわけではありません。人が居なくなるわけではありませんから、オリンピック後に不動産価格が下落することはないと思っています。

 

 消費税については、過去何度も増税があって慣れたという感じがあります。駆け込み需要は住宅などでもあると思います。ですが増税前と増税後をならしてみると、あまり関係なかったなといつも思っています。 

■不動産投資で失敗する人を減らしたい

――最後に、みんかぶ不動産に対してのメッセージを。

 

 自分の頭で考えて不動産投資ができる人を作り出してほしいと思います。不動産投資で失敗する人を減らし、変な会社に引っかかる人をなくしていってもらいたい。

 

 不動産投資にはこんなメリットがありますよと、こんなに物件がありますよと並べてしまうと、またそっちの方面に走ってしまう部分があります。ネットに載っている物件は、あくまで表面利回りの世界です。そうではなく、お客様のリテラシーが上がっていくものが良いです。

 

 不動産投資を普通のサラリーマンが副業でやるのであれば、新築でも中古でも実際は誤差の範囲ですよというのと同じで、物件をA社で買う、B社で買うということで、そこまで大きな差があると私は思っていません。

 

 だからこそ、物件を誰から買うのか、どの会社から買うのを見定められる自分というものを、本来作っていくべきだと思うのです。

 

 多くの投資家が、「あ、この株、儲かるかな」「この投資信託、儲かるかな」「この不動産、儲かるかな」って、儲かるかどうかベースで商品を選んでいると思います。しかし、本来投資の神様は、この商品の場合は、こういうリスクヘッジをしなきゃいけない、だからこういう投資の方が儲かるんじゃないかって、リスクヘッジの部分から見て、投資案件はどれがいいかって考えるんです。

 

 実際に自分が何か商品を選ぶという時に、もっと自分の人生という絵を一歩引いたところから見て、その物件を持つことで自分の人生に与えられる影響のマイナス面をきちんと見た上で、それでも購入すると決められるなら、その人は絶対に不動産投資で失敗する人にならないと思います。

 

 “不動産を買う”という行為は、人生の一大決断だと思います。重い腰を上げて、一歩を踏み出して不動産を持とうと決意したその時、誰と出会い物件を購入するかは本当に重要なことです。その時に使うメディアが、見かけ上の物件の数を誇ったり、おとり物件を並べたものではなく、個人投資家の成長につながるメディアになってもらいたいです。

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