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ペット可収益物件のメリットとデメリットは?損しないために注意すべきポイント

2020/07/14
ペット可収益物件のメリットとデメリットは?損しないために注意すべきポイント

昨近、ひとり暮らしの人でもペットを飼う人が増えています。そこでオーナーとして収益物件を検討する際に、ペット可にする物件はどこまでニーズがあるのか気になるところですよね。

ペットを飼う人が増えているとは言え、飼っていない人の方が多いのも実情です。ペット可にすることによって、ほかの賃貸物件を差別化することができますが、やはりペットを飼うことによって、部屋の中が汚れやすい、匂いがつきやすいなどのデメリットも挙げられます。

そこで今回の記事では、ペット可の収益物件にする時のメリット・デメリット、注意点などについて書いていきます。ペット可にするかどうかで悩まれている方は、ぜひ最後までお付き合いください。

ペット可の賃貸物件が足りていない?

下記のグラフを見て頂ければ分かりますが、一般社団法人ペットフードの協会の「令和 元年全国犬猫飼育実態調査」データによりますと、「飼育する意向があるのに、現状飼育ができていないの阻害要因は何か?」という質問に対して、「集合住宅(アパート、マンションなど一戸建てでないもの)に住んでいて、犬・猫の飼育を禁止されているから」という回答割合が最も多いことがわかります。


出典:一般社団法人ペットフードの協会「令和 元年全国犬猫飼育実態調査」

つまり、ペット可の物件はまだまだ不足しており、ペット可にすることによって、他の物件との差別化を図ることがができます。

「ペット可」収益物件にするメリットは?

では、「ペット可」収益物件にするには、どんなメリットがあるのでしょうか。「ペット可」の収益物件には下記4点がメリットとして挙げられます。

  1. 他の賃貸物件と差別化することができる
  2. 家賃を高く設定することができる
  3. 礼金なども取りやすくなる
  4. 入居期間が長くなる傾向が高い

では、順番に見ていきましょう。

他の賃貸物件と差別化することができる

まず、ペット可の賃貸物件は他の物件との差別化を図ることができます。

前述のように、本当はペットを飼いたいけれど、ペット可の賃貸物件が見つからないがために、諦めているかたも一定数いらっしゃいます。

従って、自分の収益物件はペット可にすることによって、 ペットを飼っている人だけではなく、これからペットを飼いたいと思っている人もターゲットにすることができます。

中には物件の立地が良くなく、普通の賃貸物件としてはなかなか借り手がつかなかったにもかかわらず、ペット可物件にすることで入居者が決まったケースも存在します。

ペット可の物件にすることは、空室対策の一つの選択肢として挙げられるでしょう。

家賃を高く設定することができる

ペット可にするだけで、家賃を相場より高く設定することができるのもメリットとして挙げられます。

なかなかペット可の物件を見つけられない人からすれば、多少家賃が高くても住みたいと思ってくれるはずです。

また、デメリットの方でも書きますが、ペットによって床に傷がついたり、壁紙が剥がれたりなど、普通にペット不可の物件よりも原状回復の費用が高くなるケースも想定されるので、そのためにも高く家賃を設定しておくといいでしょう。

礼金なども取りやすくなる

敷金とは異なり、礼金はオーナーに支払う費用で返却されないことから、支払いたくない人が増えています。

競合物件が多いエリアだと、礼金をなくして賃貸に出す物件も少なくないでしょう。

一方、ペット可物件の場合は、競合が少ないことから、礼金を2ヶ月分と設定しても借り手がつく可能性は高いと言えます。

入居期間が長くなる傾向が高い

ペット可の物件が少ないことから、転勤など何かの理由がない限り、簡単に引っ越しを考えないでしょう。

そのため、普通の賃貸物件と比較して、一回でも入居が決まれば、入居期間が長くなる傾向が高いと言えます。

入居期間が長ければ、安定した家賃収入を得ることができ、キャッシュフローも良くなるというメリットも挙げられます。

「ペット可」収益物件にするデメリットは?

一方、「ペット可」収益物件にするデメリットもあります。

大きく下記のようなデメリットが挙げられます。

  1. 物件が傷つきやすいことから原状回復費用が高くなりやすい
  2. ペットを飼っていない入居者とトラブルになる可能性がある
  3. 入居者のターゲットが限定してしまう
  4. ペット可の物件にするための費用が高くなる可能性がある

では、順番に見ていきましょう。

物件が傷つきやすいことから原状回復費用が高くなりやすい

ペットを飼っている物件と、ペットを飼っていない物件とでは傷つき具合が異なってきます。

例えば、猫を飼っている場合、床や壁紙に傷がつきやすかったり、犬を飼っている場合は歯がゆいのとき、床を噛んだりして表面が剥がれることもあります。

このように、人だけ住む物件と比較して、物件の劣化がしやすいことから、原状回復する時の費用も高くなりがちです。

そのため、家賃を高く設定したり、敷金を多めにもらうようにしましょう。

ペットを飼っていない入居者とトラブルになる可能性がある

マンション全体がペット可になっている物件ならいいのですが、自分が所有している収益物件だけペット可にすると、建物全体的にペットを飼っていない入居者の割合が多くなり、鳴き声、匂いなどで他の入居者からクレームが来る可能性が高くなります。

飼い主にとってどんなに可愛いペットでも、残念ながら全ての人が可愛いと思うわけではありません。

せっかくペット可の物件仕様にしても、近隣とのトラブルで退去になると、リフォームした費用の回収ができない上に、家賃収入も得られないことから損失が大きくなります。

そうならないように、ペット可物件をするのであれば、その前に建物全体がペット可の物件を選ぶ、もしくはペット可の物件が多い集合住宅の物件を選ぶようにしましょう。

入居者のターゲットが限定してしまう

ペット可の物件は、基本ペットを飼っている方、もしくはこれからペットを飼う予定がある人がターゲットになります。ペット可の物件の需要が高いとは言え、実際にペットを飼っていない人の割合が多いです。

ペット可物件としてウリにすると、ペットを飼っていない人、飼う予定もない人は、選択肢の中から外されることになりますので、その分入居ターゲットが限定してしまうというデメリットがあります。

ペット可の物件にするための費用が高くなる可能性がある

ペット可物件にすることによって、傷つきにくい床にしたり、電源コンセントを高く設置したり、ペットが出入りする入り口の設置など、ペットが暮らしやすい物件作りをする必要があります。

そのため、普通の賃貸物件として賃貸に出すより、事前に出費が多くなる可能性が高いです。

その出費を回収できるよう、家賃設定などのシミュレーションを事前にしておくことが重要です。

ペット可物件で「損しない」ために注意すべきポイント

最後に、ペット可の収益物件で損しないために注意すべきポイントをご紹介します。

  1. 建物全体がペット可の物件を選ぶ
  2. 物件の原状回復条件を細かく決める
  3. 元々ペット可の収益物件を購入する

では、順番に見ていきましょう。

建物全体がペット可の物件を選ぶ

建物全体がペット可の物件の場合は、たとえ部屋のオーナーがペット不可にしたケースでも、ペットを原因としたトラブルを回避することができます。

なぜならば、建物全体はペット可なので、エレベーターで同乗になったり、ペットの鳴き声が多少うるさかったりでも、事前に了承している注意事項にはいりますので、クレームに繋がることは少なくなります。

物件の原状回復条件を細かく決める

上記にも触れましたが、ペットが原因で物件の劣化が激しい場合もあります。

通常の賃貸契約のように、経年劣化以外の損害がない場合は、4万円前後のクリーニング代のみで済む場合は、ペット可物件の場合は倍以上かかる可能性は十分にあると言えます。

オーナーが損しないためにも、原状回復の条件を細かく決めておく必要があります。

  •  壁紙全部張り替える
  •   匂いを除くためのクリーニングサービスを依頼する
  •   床の修復

など、全て契約に盛り込むことが重要です。

中にはペットを溺愛する飼い主もいらっしゃいます。あまりに部屋の劣化がひどい時に備えて、契約で細かく記載するにプラスして、3〜4ヶ月と敷金を多めにもらうことも一つの手法と言えます。

元々ペット可の収益物件を購入する

ご自身でペット可物件にリフォームなどをするより、元々ペット可の収益物件を購入するのも一つの方法を言えます。

そういう物件は既にペットが暮らしやすい環境づくりをしていますので、購入してさほど費用をかけずに賃貸に出すことができます。

ただ、オーナーチェンジ物件として購入した場合は、入居者がいることから物件の中を見ることができず、現況について把握ができないケースもあります。その場合は、現オーナーに依頼して写真を撮ってもらうなど、現況についてできる限りのことを把握するようにしましょう。

また、管理会社にクレームなどがないかも確認してみてください。現状でクレームが多い場合は、自分が購入したあとにもクレーム続きになるケースが多いからです。

まとめ

ペット可の収益物件について書きましたが、参考になりましたでしょうか。

ペット可の物件にすることによって、メリットがあればデメリットもあります。

入居ニーズが高い物件であればペット可にして差別化をしなくても、空室になる可能性は低いです。しかし、立地などが原因で空室率が高い物件であっても、ペット可の物件にすることによって、空室率を下げることもできますので、自分の物件の条件を吟味して、決めるといいでしょう。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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