「不動産クラウドファンディングには任意組合と匿名組合があるみたいだけど、何が違うのか全く分からない・・」
不動産に少額から投資ができる不動産クラウドファンディングには「任意組合型」「匿名組合型」があり、それぞれの契約に応じて投資を行うことができます。
任意組合型と匿名組合型では、投資家が負うべき責任の範囲や、税制上の取り扱いに違いがあります。
今回は、任意組合型と匿名組合型の違いやメリット・デメリットはもちろん、おすすめの不動産クラウドファンディングまで詳しく解説していきます。
不動産クラウドファンディングとは、不動産特定共同事業法に基づいて行われる新しい投資の仕組みになります。
不動産クラウドファンディングを通して、本来であれば多くの資金や借入が必要な不動産投資を数万円という少額から始めることができ、投資家の中で話題となっています。
不動産クラウドファンディングを活用して投資を始めるには、任意組合型か匿名組合型か契約型を選ぶ必要があります。
任意組合型と匿名組合型の仕組みの違いについて、それぞれ詳しく解説していきます。
ここからは任意組合型について概要とメリット、デメリットを解説していきます。
任意組合型とは、投資家と事業主が共同で事業を行う契約型になります。
そのため、投資家は事業に参加することになり、不動産の権利を保有する不動産オーナーになります。
万が一、不動産事業で損失が発生した場合、投資した資金以上の損失が発生する可能性もあります。
リスクがある分、任意組合型の不動産クラウドファンディングを選ぶ際には、事業内容や投資する不動産について、より慎重に選択をする必要があります。
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任意組合型は不動産の所有権を事業者と投資家で共有して保有することになります。
そのため、投資家は実際の不動産の権利を持つことができるので、相続税対策としても活用ができます。
なぜなら、一般的に同じ評価額の現金と不動産があった場合、不動産のほうが節税効果が高いからです。
相続税の評価額は、実際の不動産価格の70%前後になる傾向があり、結果として相続税対策に利用できるのが大きなメリットになります。
さらに、任意組合型の場合、事業者と対等の立場で事業に参加できるため、事業の意思決定に参加できるなど、より事業者に近い立場になれるのも特徴です。
任意組合型は事業者と対等の立場で事業に参加するため、損失が発生した場合のリスクも負うことになります。
具体的には、出資した割合に応じて有限責任ではなく、無限責任を負うということです。
有限責任であれば、損失は出資した金額が上限となりますが、無限責任の場合、出資した金額以上に損失が発生した場合に債務をかかえなくてはなりません。
任意組合型の大きなデメリットとして、無限責任のため、金銭的なリスクが大きくなることに注意が必要です。
ここからは匿名組合型について概要とメリット、デメリットを解説していきます。
匿名組合型とは、投資家が事業者に出資を行い事業の収益を分配してもらう契約形態になります。
任意組合型と異なり事業に参加したり、株主のように経営に参加する権限を持つことがありません。
あくまでも出資をする投資家と、事業をする事業者と役割が分かれているため、投資家は事業に参加することなく、また事業者も投資家から独立しているため事業に集中することができます。
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匿名組合型は、事業で損失が出た際に負うべき責任は有限になります。
つまり、投資をした資金を失う可能性はありますが、事業で発生した損失によって投資した金額以上の負債を負う必要がないという特徴があります。
また、事業に参加せずに投資をするだけなので、投資先の選定をして出資をした後は、手間をかけることなく配当を受け取るだけになります。
匿名組合型では任意組合型のメリットだった税務上の節税効果は期待できません。
匿名組合型では投資先の不動産の所有権は事業者にあり、投資家は収益を得る権利を持つだけで、不動産の権利を持つことはありません。
結果として、不動産評価額による節税効果はなく、1,000万円の出資をしているとしたら、相続の際にはそのまま1,000万円の評価がされてしまいます。
匿名組合型では、不動産投資における相続時の節税効果は期待できないということです。
ここまで任意組合型と匿名組合型の特徴を解説していきました。
具体的にそれぞれを比較した際の違いを分かりやすく3つにまとめていきます。
任意組合型では、事業に参加する権利を持ちます。
そのため、事業で損失が発生した場合、投資した資金以上の負債を負う可能性がある無限責任になります。
匿名組合型では、事業に参加する権利を持つことができません。
株主のような投資家と異なり、事業に対して意見や決定権はありませんが、投資した資金以上の負債を負う可能性がない有限責任になります。
任意組合型では、不動産の所有者となり不動産登記簿への登記も行われます。
そのため、任意組合型では相続時の節税効果が期待できます。
匿名組合型では、不動産に投資をする事業に出資するだけなので、不動産の所有者になることはありません。
相続時には、投資した金額は現金評価と同じ扱いになるので節税効果は期待できません。
任意組合型では、不動産の所有権を取得するため不動産登記簿に名前が記載されます。
匿名組合型では、事業者に対し投資を行うだけで経営参加や不動産所有権の取得がありません。
そのため、任意組合型では匿名性がありませんが、匿名組合型においては匿名性があります。
不動産クラウドファンディングを取り扱うサイトは多数ありますが、多くが匿名組合型のサービスをメインに取り扱っています。
任意組合型の取り扱いがあるオススメの不動産クラウドファンディングを3つ紹介していきます。
アセットシェアリングはインテリックスがてがけるサービスとなり2015年からサービスを開始しています。
良質な実物不動産を1口100万円単位で所有することができます。
数万円から始められる不動産クラウドファンディングは多い中、アセットシェアリングは1口100万円と比較的高額ではありますが、その分、厳選された不動産に投資をすることで高い節税効果を期待することもできます。
グッドコムファンドは自社ブランドマンションである「GENOVIA」シリーズを主な投資対象としています。
多くの物件が東京23区、駅徒歩10分圏内という好立地にあることから、中長期に渡って資産価値の増加、安定した賃貸需要が見込まれています。
1口10万円からブランドマンションに投資をすることができるので、相続対策を含めて、長期間運用する投資対象としておすすめです。
利回りくんは2010年からサービスを開始しており、社会貢献・地域創生をテーマに様々なファンド案件をてがけています。
収益性の高い不動産投資はもちろん、堀江貴文さんや前澤友作さんなどの著名人とのコラボ案件もあり、不動産クラウドファンディングを通して、夢のあるプロジェクトに参加できるのが魅力になります。
1口1万円からと任意組合型としては少額から投資を始めることができ、楽天ポイントとの提携で投資をしながら楽天ポイントも貯めることができます。
一般的な不動産クラウドファンディングと比べて、応援型不動産クラウドファンディングとして、各プロジェクトの参加特典が充実しているなど収益以外の魅力ポイントが多いのも特徴になります。
不動産クラウドファンディングにおける任意組合型と匿名組合型について、それぞれの特徴とメリット、デメリットを解説してきました。
任意組合型は、事業に参加するため、無限責任となり損失が発生した際のリスクが高くなりますが、不動産所有権を得ることができるため、相続時の節税対策として高い効果が期待できます。
匿名組合型は、事業に対して投資を行うだけなので、有限責任となり、投資した資金以上のリスクを負うことはありません。不動産登記簿に名前が掲載されることもないので匿名性が高いという特徴もあります。
一方で、不動産所有権を得ることはないので、相続時の節税対策としては期待することができません。
任意組合型と匿名組合型についての違いをきちんと理解することによって、目的に応じて投資先を比較検討することができます。
相続対策や、高い収益性を狙うのであれば、是非、任意組合型を扱っている不動産クラウドファンディングのサイトをチェックしてみてください。