不動産クラウドファンディング

不動産クラウドファンディングの分配金とは?その仕組と確定申告の手順について

2024/03/14
不動産クラウドファンディングの分配金とは?その仕組と確定申告の手順について

「不動産クラウドファンディングに投資をして、分配金をもらったら確定申告って必要になるのかな?」

結論として、不動産クラウドファンディングに投資をして得た分配金は、所得の一部になるため確定申告が必要になります。

確定申告というと、未経験という人も多く、どのようにすればいいか分からないという人も少なくありません。

さらに、確定申告をしなくても良いケースもありますので注意が必要です。

今回は、不動産クラウドファンディングの分配金の仕組みについてはもちろん、配当を得た後の確定申告の手順まで詳しく解説していきます。

不動産クラウドファンディングとは?仕組みについて

不動産クラウドファンディングとは、インターネット上で投資家を募集し、集まった資金を事業主が運用することで利益を得る仕組みになります。

一般的な不動産投資の場合、自己資金の準備や、融資など借入を利用する必要があるため、投資初心者にはハードルが高い投資手法になります。

一方、不動産クラウドファンディングでは1口1万円という少額から投資できる案件もあり、不動産の管理・運営はプロである事業主が行ってくれるため、不動産投資の未経験者であっても始めやすい投資手法になります。

不動産クラウドファンディングの分配金とは?利回りの目安

せっかく、不動産クラウドファンディングの投資を始めるのであれば、高い利回りと安定した分配金を受け取りたいという人が多いのではないでしょうか。

不動産クラウドファンディングに投資をする際に、得られる分配金と利回りの目安について詳しく確認していきましょう。

不動産クラウドファンディングの分配金とは?

不動産クラウドファンディングで投資家が得られる分配金とは、事業主が不動産投資を行い、得られた利益を投資家に分配する際に発生します。

事業主は家賃収入であるインカムゲインか、売却収入であるキャピタルゲインか、もしくはその両方を目的に不動産投資を行います。

投資する案件によって、投資目的や得られる分配金の期待値が設定されていますので、投資先を選ぶ判断基準の1つとなります。

不動産投資がうまくいかずに、予想通りの収益が得られなかった場合には分配金が減額、もしくは受け取れない可能性もあるので注意が必要です。

不動産クラウドファンディングの利回りの目安

不動産クラウドファンディングにおいて、どの案件に投資するかを判断する基準として、利回りを意識される方も多いのではないでしょうか。

前提として、利回りとは、投資金額に対する収益の割合を示した数値になります。

例えば、100万円を投資した際に、1年間で得られた利益が5万円であれば、利回り5%という計算になります。

不動産クラウドファンディングでは、投資家を募集する際、想定利回りが記載されます。

あくまでも、想定された利回りであるため、必ずしも利回り通りの分配金が得られるわけではありません。

中長期投資を基本とする不動産クラウドファンディングでは、想定利回りはほとんどの場合に年利で表示されます。

不動産クラウドファンディングにおける平均的な利回りとしては、3%から7%前後が目安となります。

もちろん、7%を超える高い想定利回りの案件もありますが、利回りが高い分、新興国に投資をしていたり、景気の影響を受けやすいリゾート施設への投資など、リターンが大きい分、リスクも相対的に高くなることに注意をしておきましょう。

不動産クラウドファンディング分配金の回数は?受取方法について

不動産クラウドファンディングの分配金を受け取れる回数は案件によって異なります。

具体的には、年1回から2回という案件が多いです。

また、運用期間が終了する際に、分配金の全額が支払われるという案件もあります。

分配金の受け取り方法として、多くの不動産クラウドファンディングのサイトでは、専用のアカウントを発行して、アカウント内の口座に入金される方法が多いです。

アカウント内の口座に入金された後、再投資をすることもできますし、登録した銀行口座に出金することもできます。

不動産クラウドファンディングのサイトによっては、登録した銀行口座に分配金を支払いしてくれますので、分配金の受け取り方法については各サイトを確認しておくようにしましょう。

不動産クラウドファンディング分配金の税金の種類は?

不動産クラウドファンディングで得られる分配金の税金の種類は、多くの場合、雑所得として所得税の課税対象になります。

税法上の所得は10種類あるため、事業所得、もしくは不動産投資なので不動産所得と勘違いされることも多いので気をつけましょう。

ただし、不動産クラウドファンディングには匿名組合型と任意組合型の2種類があり、任意組合型の場合は不動産所得として計上されます。

今回は、不動産クラウドファンディングのサービスとして、取り扱い案件が多い匿名組合型のケースとして、雑所得を対象に確定申告についても確認をしていきます。

分配金がある場合は確定申告が必要?

前提として、確定申告とは何か?ということから解説していきます。

税金の中には、固定資産税のように保有している資産に対して税金を納める場合もあれば、納税者自身が稼いだ所得を自ら申告して、納める税金額を計算する申告制度があります。

所得税は申告課税制度になるため、納める税金を計算し、税務署に申告する手続きのことを確定申告といいます。

不動産クラウドファンディングで分配金がある場合、雑所得になりますので、原則としては確定申告が必要になります。

しかし、すべての人が確定申告をしなくてはいけないわけではありません。

理由としては、雑所得が20万円以下の人は確定申告が不要になるというルールがあるからです。

つまり、雑所得で20万円以上ある人は確定申告が必要になってきます。

大切なのは、分配金が20万円以上ではなく、雑所得の合計が20万円以上の人が確定申告の対象になるということです。

雑所得には以下の所得が分類されます。

  • 年金収入
  • 副業による収入(事業所得である場合を除く)
  • ネットショップでの収入
  • フリマサイトでの収入
  • 印税や公園による収入

上記のような雑所得に分類される所得と合算して20万円を超える場合には、不動産クラウドファンディングの分配金の額に関わらず確定申告が必要になるので注意しておきましょう。

また、課税所得金額が694万円までの人も、分配金の額に関わらず確定申告が必要になります。

不動産クラウドファンディングの分配金は、事業主が源泉徴収してくれるため、20.42%の税金が徴収されています。

個人に課される所得税率は課税所得金額によって異なり、694万9,000円までの人は所得税率が20%以下になるため、源泉徴収での税金は支払いすぎということになります。

そのため、確定申告を行うことで、払いすぎた税金が後日還付されますので、きちんと確定申告をしておくようにしましょう。

確定申告をする際に必要な書類及び手順について

確定申告をする際には、2つの書類を準備しておきましょう。

 支払調書

不動産クラウドファンディングでは、分配金を支払う際に源泉徴収によって所得税を税務署に納めてくれています。

支払った分配金の額と、源泉徴収で支払った税を証明するために、1年分の分配金をまとめた支払調書が発行されます。

確定申告の際に税務署に提出するべき書類なので、大切に保管しておきましょう。

源泉徴収票

源泉徴収票は、サラリーマンとして給与を受け取っている人は会社が発行してくれます。個人の所得証明として確定申告の際に必要になりますので事前に準備をしておきましょう。

個人事業主やフリーランスとして勤務先から源泉徴収票を受け取っていない人はなくても問題ありません。

上記の所得を証明できる書類と身分証やマイナンバーカードなどの本人確認書類があれば、後は確定申告書を作成して税務署へ提出すれば手続完了になります。

確定申告書は税務署で受け取ることができ、手書きで作成して提出することができます。

もしくは、国税庁のホームページよりダウンロードして記入することも可能です。

国税庁のホームページでは、確定申告のための書類作成コーナーも準備されているので、確定申告をする前に、内容を確認しておくのが安心でしょう。

参考:国税庁公式サイト 確定申告書等作成コーナー

まとめ

少額から始められる不動産投資である不動産クラウドファンディングでは、相場として利回り3%から7%前後が設定されており、投資金額に応じた分配金を受け取ることができます。

分配金は匿名組合型の場合には雑所得として課税対象となり、確定申告の対象となります。

原則として、雑所得は20万円以下であれば確定申告が不要になるので、すべての人が確定申告をしなくてはいけないわけではありません。

分配金を含めた雑所得の合計が20万円を超える人は確定申告が必要になるので注意しておきましょう。

また、課税所得額が694万円までの人であれば、分配金を受け取る際の源泉徴収で税金を支払いすぎてしまっているため、確定申告をすることで還付を受けることができますので忘れないでおきましょう。

確定申告が必要になると不安になってしまうという人でも、基本さえ押さえておけば確定申告は難しい手続きではなくなります。

是非、分配金という利益を受け取れるために、不動産クラウドファンディングを始めることを検討してみてください。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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