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不動産投資とは

長屋と共同住宅の違いとは?法的規制について分かりやすく解説

2021/06/09
  • 「長屋と共同住宅の違いとは?」
  • 「長屋と共同住宅の法的規制の違いが知りたい」

長屋や共同住宅を建築や購入を検討している方は、上記のような疑問を持っているのではないでしょうか。

長屋と共同住宅の違いは、共有部の有無や住宅への入り方の違いによって分けられます。

中には混同して考えている方もいますが、法的規制が大きく異なるため注意が必要です。 

特に共同住宅は法的規制が多数あるので、規制の内容や義務などをよく理解しておく必要があります。

こちらの記事では長屋と共同住宅の違いやそれぞれの法的規制について詳しく解説していきます。

ぜひ最後まで読んで頂き、参考にして頂けると幸いです。

長屋と共同住宅の違い

長屋と共同住宅と言われて、すぐにどのような建物かイメージできる人は決して多くありません。

では、長屋と共同住宅はそれぞれどのような建物なのでしょうか? 

例えば、長屋はテラスハウスやタウンハウスなどを、共同住宅はマンションやアパートをイメージするとわかりやすいです。

ここでは、この2つの建物でどういった違いがあるのか、それぞれの違いについて説明します。

長屋とは

長屋とは住宅が2戸以上の住宅で、共有部がなく直接出入りできるものを指します。

昔からある1階建ての古い集合住宅をイメージしてもらうと分かりやすいです。 

しかし、現在では2階建てや3階建ての「テラスハウス」「タウンハウス」と呼ばれるものも増加しています。

テラスハウスとは独立した住宅が連続してつながっているもので、隣の家との境界になっている壁以外は共有している箇所がないものです。

住宅とその下の土地に対して100%所有権がある必要があります。 

一方で、タウンハウスとはテラスハウスと同様、独立した住宅が連続してつながっているもので、敷地の一部を共有しているものです。

その他に2世帯住宅は、大きく分けると戸建て住宅と長屋に分けることが出来ます。

玄関が2つあり、建物の内部がつながってない状態であれば「長屋」です。

一方で、建物の内部がつながっているものは「戸建て住宅」になります。

このように、2世帯住宅でも長屋に該当する場合があるため、注意が必要です。

共同住宅とは

共同住宅とは、廊下などの共有部があり、その共有部を介して各住宅へ出入りするものを指します。

例えば、エントランスやエレベーター、階段、廊下などが共有部です。

マンションやアパートをイメージすると、わかりやすいのではないでしょうか。 

共同住宅は建築基準法上で特定建築物に該当するため、長屋よりも法的規制が厳しいので注意が必要です。

なお、共同住宅には、マンションアパートがあります。

この2つの建物は一般的に建物の構造によって分けられている場合が多いです。

例えば、鉄筋コンクリート造りや鉄骨鉄筋コンクリート造で建てられているものは「マンション」と呼ばれています。

一方で、木造や軽量鉄骨造で、2階や3階程度のものは「アパート」と呼ばれることが多いです。

ただし、アパートやマンションの区別に法的な規定はありません。あくまで不動産屋や大家が上記のような区別をしています。

長屋と共同住宅の法的規制の違い

先述したように長屋と共同住宅は、法的規制に違いがあります。

共同住宅は特定建築物に該当するため、多くの法的規制があるため、注意が必要です。 

それぞれについて説明します。

共同住宅は建築法上の特定建築物にあたる

共同住宅は特定建築物に該当します。

特定建築物とは、建築基準法6条1項1号の「建築物および政令で定める建築物」に該当する建物のことで、特殊な用途を持つ建物や多数の人が集う建築物などです。

例えば、マンション、体育館、病院なども特定建築物になります。

特定建築物に該当すると、満たす必要がある基準や義務が多数あるため、注意が必要です。

特定建築物が満たす必要がある主な基準や義務は以下の3つになります。

  • 耐火性基準
  • 定期報告制度
  • 消防設備の設置

それぞれについて、説明します。

①特定建築物には耐火性基準がある

特定建築物は不特定多数の人が建物を利用するため、一般的な住宅と比べて火災が発生しやすく、被害も大きくなりやすいです。

そのため、建物の規模によって耐火性基準が定められています。

例えば、マンションやアパートの場合は3階以上の階を耐火建築物にすることが必要です。

以下の条件を満たすことで耐火建築物と認められます。

  • 建物の主要な構造部が耐火構造で建築されており、一定の技術基準に適合している
  • 外壁開口部で延焼する可能性がある部分に、防火扉やその他の防火設備を有している

また、部屋の内装の仕上げに難燃材料を使用することや、廊下などの共有部に準不燃材料を使用することも重要です。 

特定建築物は火災などの災害時に安全性を確保することが重要なため、多数の基準が設けられています。 

②特定建築物は建物定期報告が必要

特定建築物の中で各自治体が定めている建物については、建物定期報告が必要です。

例えば、マンションや学校、ホテル、病院などが挙げられます。

また、アパートの場合でも自治体が定める基準に該当する規模の場合には、建物定期報告を行わなければなりません。

建物定期報告とは、特定建築物の所有者が3年ごとに建築士などの専門家による調査と点検を行い、その結果を自治体に報告することを指します。

建築基準法上で義務化されているため、報告を怠ると100万以下の罰金刑に処される可能性があるので注意が必要です。

ちなみに、調査する項目は以下の4つになります。

  • 敷地や地盤、建物の内部や外部などを調査する特定建築物調査
  • 換気設備や排煙設備、非常用の照明装置などを調査する建築設備調査
  • 防火扉や防火扉シャッターなどを調査する防火設備調査
  • エレベーターなどを調査する昇降機検査

上記の調査で劣化状態や法令基準を満たしているかを確認していきます。

なお、調査内容や方法についての詳細は、以下のサイトにありますので、確認してみてください。

参考:国土交通省

③設置義務がある消防設備

共同住宅は階数や延べ床面積などによって設置するべき消防設備があります。

設置義務がある消防設備は以下の表です。

設備名

一般的な設置基準

スプリンクラー設備

11階以上の階に設置

パッケージ型消化設備

延べ面積450平米以上(屋内消火栓設備の代替として設置)

自動火災報知器

延べ床面積500平米以上

住宅用火災報知器

延べ床面積500平米未満

非常用避難口レクスター

・2階以上の階・収容人数30人以上
 ・3階以上で避難階直通階段が2以上設けられていない階・収容人数10人以上

消化器

延べ床面積150平米以上

上記の基準は一般的な設置基準です。

建物の規模などによって詳細な条件は変わってきます。

都市計画法によってはマンションやアパートなどの共同住宅や長屋が建築できない

都市計画法によって定められている「都市計画区域」や「用途地域」によっては、アパートやマンションなどの共同住宅や長屋を建築することは出来ません。

まず、都市計画区域は、「市街化区域」と「市街化調整区域」、「非線引き区域」に分けられています。

このうち、市街地を抑制している区域である市街化調整区域では、共同住宅や長屋を建築出来ません。 

次に、優先的に市街化が進められている区域である市街化区域は、13の用途地域が定められており、このうち工業専用地域ではマンションやアパート、長屋を建てることが出来ないと決められています。

ちなみに、用途地域を調べる場合は、自治体のHPや自治体に直接電話して調べることが可能です。

自治体の条例を確認する必要がある

共同住宅は自治体の条例によって届け出や規制などを確認する必要があります。

例えば、東京都北区では階数が3階以上かつ住戸数が15以上の共同住宅を建築する場合は、近隣住民への説明や建築計画書の提出が必要です。 

また、東京都調布市の場合でも住宅戸数が15戸以上や階数が4階以上の建物、もしくは延床面積1,500㎡以上の建物を建築する際に、計画書の提出が必要になります。

このように、自治体の条例によって規制されている場合もあるので、詳細を知りたい場合には各自治体に問い合わせるようにしてください。

長屋は戸建て住宅と同じ扱いになる

長屋は共同住宅と違って特定建築物ではないため、一般的な住宅に該当します。

そのため、前述したような防火基準や建物定期報告をする必要はありません。

ただし、長屋の方が、法的規制が厳しい場合もあります。

例えば、「埼玉県建築基準法施行条例」では、主要な出入り口までの敷地内通路の基準が挙げられます。

共同住宅の出入り口基準は以下です。

共同住宅及び寄宿舎の床面積
 の合計(単位 平方メートル)

敷地内の通路の幅員
 (単位 メートル)

200 未満

1.5

200以上500未満

2

500以上1,000未満

3

1,000以上

4

一方で、長屋の出入り口については第5条で以下のように定義されています。

長屋の各戸の主要な出入口は、道路又は道路、公園、広場等の空地に通じる幅員3メートルにしなければなりません。

また、耐火建築物や準耐火建築物に該当する長屋の場合は、2メートル以上の敷地内の通路に面することが必要です。

このように、長屋であっても共同住宅よりも厳しい法的規制もあるので、長屋の方だから法的規制がゆるいと安易に考えないようにしてください。

消防設備に関しては長屋が一般住宅になるため、住宅用火災報知器以外の消防設備を設置する必要はありません。

また、消防点検に関して実施する義務もないです。

ただし、消防設備などの設置義務はありませんが、火災のリスクは長屋でも一般住宅より高いので、防火対策については建築士と相談するようにしてください。

まとめ

長屋と共同住宅の違いは共有部を利用して住居に入るか、道路などから住宅に直接入るかの違いです。

些細な違いではありますが、建物が長屋と共同住宅のどちらに該当するかによって、法的規制が大きく異なります。

特に、共同住宅は法的規制が厳しいので注意が必要です。

長屋や共同住宅を建築する際や購入する際に、ぜひこちらの記事で紹介したポイントを参考にして頂けますと幸いです。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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