リスクヘッジとは、想定されるリスクを回避する事前対策のことです。
不動産投資は、他の投資と比べて、金額が大きいために、失敗したら取り返しのつかないイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。
この記事では、不動産投資を行う上で知っておくべき「物件購入前のリスクヘッジとその対処方法」、「物件購入後のリスクとその対処方法」を分けて紹介していきます。不動産投資のリスクヘッジの方法を知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。
不動産投資は、投資金額自体が大きいので、リスクが高いと考える方が多いようです。
しかし、他の投資にも同様にリスクがあります。
他の投資は先々を見通すことが中々難しいのと比較して、不動産投資の場合は事前にリスクを把握することができるため回避策を立てられますので、リスクヘッジすることができるのは大きな特徴と言えます。
株式投資を例に考えてみましょう。常に値動きをしている株式、1年後の日経平均株価を当てられる方がどれだけいるでしょうか。時勢を鑑みるに、相当難しいはずです。
一方、不動産は不景気でも家賃が大きく下がるということはありません。
オフィスの家賃は景気の影響を受ける部分もありますが、住宅の家賃は多少の不景気でも変動しないと言われています。
実は、不動産投資はリスクとリターンが他の投資よりも想定しやすいという特徴があるのです。
リスクを事前に理解し、対策を打つことが出来るという点で、他の投資と比べてリスクが高くないと言えるのです。
リスクヘッジは、物件購入前から始まっています。
物件購入前は特に、以下の2点に注意しましょう。
立地が悪い物件は、不動産投資にはリスクが非常に大きいです。
立地の悪さは、後述する「空室」をはじめ、さまざまなデメリットを生みます。
立地というと駅からの距離だけを思い浮かべる方も多いと思いますが、駅からの距離だけが立地ではありません。
もちろん、駅近の方が入居者も決まりやすいのは確かです。
しかし、ターミナル駅へのアクセス、学校や病院、スーパーなどが近くにあるか、といった「利便性」も物件を選ぶ上で重要な条件になります。
近年、国土交通省が「職住近接」を推進しています。
職住近接とは、勤務地の近くに住み、通勤時間が短縮。時間を有効に活用できるようになり、ストレスの軽減も期待できるというものです。
こういった施策が今後より推進されていくことを考えると、立地が不安だと思われる物件は避けた方が無難なのです。
借入金が多いと、月々の返済額は大きくなります。
入居者がいるのであればともかく、空室等で家賃収入が途切れてしまうと、投資用物件のローン返済で、自身の家計を圧迫してしまうことにもなりかねません。
また、物件を増加させ投資を拡大しようとしても、借入金が多いと金融機関での評価が悪くなってしまい、新規のローンが思うように組めない可能性も出てきます。
不動産投資を始めるにあたっては、とにかく「無理のない資金計画」が重要です。
続きまして、物件を購入したあとのリスクとその対処法についてみてみましょう。
不動産投資の中で、最大のリスクは空室リスクと言えるでしょう。
物件を購入する際には、利回りで決められる方が多いですが、しかし、表に出ている利回りは
「空室がなかった場合の家賃収入÷物件価格」
で計算されたものなので、空室が出てしまった途端、利回りが低くなってしまいます。
「空室がある=その物件の家賃収入がなくなる」
ということですので、利益を出すどころか、赤字になってしまうこともあります。
常に満室が続くわけではありません。
新規の入居者が決まったとしても、多少の空室期間が出てしまうことを認識しておく必要があります。
空室が出てしまう前に、賃貸管理会社に依頼するなりどのようにして、すぐに新しい入居者を確保するかを考えておく必要があります。
また、現在の入居者にどうしたら長く住んでもらえるかの対策も取れば、空室リスクを軽減されるでしょう。
家賃滞納リスクも、一つのリスクとして挙げられます。
家賃が滞納されてしまうと、家賃収入が入ってこなくなります。
空室リスクと異なる点は、入居者がいるため新規入居者の募集をかけることができないことです。
家賃滞納のリスクを下げる対策としては、家賃保証会社を利用した方がいいでしょう。
入居者が、家賃を払えなくなってしまった際、保証会社に肩代わりしてもらえます。
これにより、家賃滞納による家賃収入がなくなることを防ぐことができます。
また、入居者の入居審査を厳しくすることも一つの対策と言えます。審査を厳しくすることによって入居者が決まるまで少し時間がかかってしまう可能性ありますが、家賃の回収ができないなどのトラブルを避けられるでしょう。
物件の老朽化が進むことにより、家賃を下げないと入居者を確保できないケースが出てくるもあります。
しかし、物件の管理をきちんとすることによって、多少古くとも家賃が下がるリスクを低く抑えることができます。
また、現在の入居者に継続して入居し続けてもらうための努力をすることも一つの対策と言えます。
どうして、長期間入居し続けてもらうことが、家賃の下落リスクにも繋がるでしょう。
それは、現在の入居者から、家賃を下げてほしいという要望が出ることがほとんどないからです。
きちんと管理が行き届いている物件は、継続して入居し続けてくれる可能性が高くなります。
管理実績がある、ノウハウが豊富な管理会社に依頼することも重要と言えるでしょう。
不動産投資をするにあたっては、基本的には投資用ローンを組みます。
変動金利ローンの場合、もしくはローン金利を固定した期間が終了し変動金利に移行した際には、金利が見直されて月々のローン返済額も変動します。
金利が上昇してしまうと、月々のローン返済額が高額になる可能性があります。
これが、金利上昇リスクと呼ばれるものです。
このリスクを抑える方法方法としては、「5年間ルール」「1.25倍ルール」の融資商品を選択することです。
「5年間ルール」「1.25倍ルール」というのは、金利上昇になったとしても、最大5年間返済額変更なしの、返済額は最大1.25倍になるルールのことを言います。
つまり、このルール適用されている融資商品を利用することによって、突然金利が上昇してもある程度ヘッジすることができます。
ただし、毎月返済額は1.25倍までしか上がらなくても、金利が急にあがってしまうと利息はその分だけ増加することになります。
そうなると、元金の減少が遅れてしまいますので注意が必要です。
なお、全ての融資商品が「5年間ルール」「1.25倍ルール」適用されているわけではないので、実際に融資を受ける前に確認するようにしましょう。
また、金利上昇を想定し、余裕のある返済プランにすることも大切です。
住民税や所得税、各種保険料など、基本的に削ることができない固定費用はいくつかあります。これらを除いた自由に使うことができる所得である可処分所得から、食費、光熱費といった生活費を引き、残った金額から適切な返済額を考えます。
この残りがいくらになるのか、どのくらいの金利上昇に耐えうるのかを事前にシミュレーションしておきましょう。
日本は地震大国です。さらに近年では、集中豪雨や台風で家屋が壊れたりするなどの被害が目立つようになりました。
また、東日本大震災のように地震が発生した場合、壊れるだけで済まないこともあり、倒壊に加えて、津波や火災といった二次災害が被害を拡大させるケースもあります。
自然災害で被害を受けた場合、費用が大きくなる場合も多くあります。
火災、地震などの自然災害に備えて、不動産投資では火災保険に入って、保険金で補償を受ける形で受け取ることができ、火災や水害は火災保険で補償されます。
しかし、ここで注意しなければいけないのは、地震が原因の火災や水害は、地震保険に入っていなければ補償されないということです。
火災保険だけではなく、必ず地震保険に加入するべきです。
不動産投資をする上で瑕疵(かし)について理解しておくことは極めて重要です。
不動産の賃貸経営には、管理費・修繕費・火災保険料・税金など多くの費用がかかる、年数が経つにつれて、家賃の下落などのリスクがあります。
こういった内容を説明しない、またリスクを考慮していないシミュレーションを提示してくる不動産業者には注意が必要です。
さらに告知義務のある瑕疵について、基本的には事故が起きて1年以内であれば告知義務がつけられていますが、その後になると特に義務付けされていないので、業者によって説明していないケースもあると言えます。
瑕疵には、下記の4つがありますので、覚えておきましょう。
法的瑕疵物件とは、権利関係が複雑になっている、当事者同士にトラブルを抱えている物件のことを言います。
環境的瑕疵物件とは、周辺環境にマイナス要因があり、敬遠されがちな物件のことを言います。
物理的瑕疵物件とは、シロアリ被害に遭っている、雨漏りがあるなど物理的に壊れている物件のことを言います。
心理的瑕疵物件とは、自殺、もしくは殺人事件など誰かが部屋の中で亡くなっている物件のことを言います。
瑕疵があると、入居者がつきにくい、最初から大規模な修繕が必要になるなどのデメリットがあります。
なお、不動産会社や売り主自身も瑕疵に気付いていないケースもあります。
物件状況報告書や重要事項説明書に記載がなくても、慎重に瑕疵の有無を確認しましょう。
このような瑕疵がある物件は業界では事故物件と言われています。大島てるという事故物件をまとめているサイトがありますので、気にされている方は事前に調べておくといいでしょう。
不動産投資における主なリスクと、その対処方法、また知らないと不利になる瑕疵についてご紹介しました。
不動産投資は他の投資と比較すると、リスクヘッジがしやすい投資だと言えることがご理解いただけたかと思います。
しかし、想定外のリスクが生じることもありますので、常にリスクには迅速に対応していくことが求められます。
この記事の内容はきちんと理解しておきましょう。