不動産投資とは

不動産投資とバランスシートの関係とは

2020/08/24
不動産投資とバランスシートの関係とは
  • 不動産投資とバランスシートって関係あるの?
  • 知らなくてもいいんじゃないの?

と思われている方もいらっしゃるようですが、それは違います。不動産投資とバランスシートは大いに関係あります。

なぜならば、不動産投資の本質は不動産の「経営」だからです。

会社で、経営者(主に社長)が自社のバランスシートを読めずにいたらどうなるでしょうか。恐らく、その会社はすぐに立ち行かなくなります。

不動産投資は、皆さん自身が経営者ですから、つまり、経営していく上で、バランスシートを読めなくていけないのです。

この記事では、不動産投資とバランスシートの関係について解説していきます。

そもそもバランスシートって何?

バランスシートとは、「財務三表」と呼ばれる書類の一つです。

「貸借対照表」と呼ばれるもので、英語で「Balance Sheet」と書きます。略してB/Sです。  

財務三表とは

財務三表とは、以下の3つがあります。

  • 損益計算書(P/L)
  • 賃貸対照表(B/S)
  • キャッシュフロー計算書(C/F)

それぞれについて見てみましょう。

損益計算書(P/L)
売上と費用からどれだけの「損」が出たか「益」が出たかを計算したものです。
貸借対照表(B/S)
左右に分かれていて、左右の合計が同じ金額になって「バランス」するものです。
キャッシュフロー計算書(C/F)
現金の動きを表した「収支計算書」で、家計簿のようなものです。

確定申告において、青色申告を行う場合には、損益計算書と貸借対照表の作成が求められています。

また、銀行から融資を受ける際には、キャッシュフロー計算書(資金繰り表)の提出が求められます。

つまり、バランスシートのみならず、P/LやC/Fについても知識を蓄えておくことが肝要と言えます。

バランスシートは、なんのバランスなのか?

バランスシートは、経営の基本的な活動うちの「お金を集めて」「何かに投資しているか」を表すものです。

右側は、今までどのようにお金を集めてきたのかを表し、左側はその集めてきたお金を何に投資しているかを表しています。

ですから、当然バランスシートの右と左は一致することになるということがお分かりいただけるかと思います。

①資産の部

バランスシートの構造のうち「資産の部」には不動産投資の資産のすべてが含まれます。資産は、大きく2つ「流動資産」と「固定資産」とに分けられます。

流動資産とは1年以内に現金化できる資産です。例えば、現金、預金、有価証券などを指します。

一方で、固定資産とは長期間現金化しない資産です。例えば、マンション・土地・建物などを指します。

②負債の部

「負債の部」には、主にローンの残債が含まれていると考えていただければ問題ありません。

 ③純資産の部

どのようなバランスシートでも左右の合計が一致しているので、

資産」=「負債」+「純資産」が成り立ちます。

つまり、純資産とは、「資産」から「負債」を引いた残りとなります。これこそが、本当の資産なのです。詳しくは、後述します。

損益計算書と貸借対照表の関係

財務三表は、「どのようにお金を集め」、「何に投資し」、「利益をどのくらいあげたか」が理解できる道具のようなものです。

下の図をご覧ください。

まず、「どのようにお金を集めてきたのか」を表すのは、貸借対照表の右側です。これに対して、貸借対照表の左側は「何に投資」しているのかを表しています。

そして、損益計算書が「どれだけ利益をあげたか」を表しているのです。

もう1点、キャッシュフロー計算書に関してですが、これは、「お金を集める」、「投資する」、「利益を上げる」という3つの活動で、現金がどのように動いたかが分かる表になっています。

実は、この3つの表がそれぞれに「つながっている」のです。
損益計算書と貸借対照表は、セットで見るべき関係のものであるということを理解しておいてください。

不動産投資のバランスシート

ここからは、実際に不動産投資をする事例のシミュレーションを通じて、バランスシートへの理解を深めましょう。

2,000万円の区分マンションをローン1,800万円組んで購入した場合

中古ワンルームマンション投資を一つの例として挙げて解説していきます。

ここでは分かりやすく物件価格2,000万円のうち、1,500万を土地、500万を建物とします。

また、2,000万円のマンションを1,800万円のローンで買ったということは、「2,000万円-1,800万円=200万円」が自己資金ということになります。これらを踏まえて、バランスシートを作ると以下のようになります。

 このバランスシートからわかることは、以下となります。

  • 資産として2,000万円のマンションを所有していること
  • 負債として金融機関(銀行)からの借り入れ1,800万円があること
  • 純資産として自己資金が200万円であること

バランスシートの左側が資産規模を表し、右側がその資産が誰のお金なのかを表しています。

 ①(1)で購入した物件の運用がうまくいき、利益を出せた場合

上記例に挙げた物件の運用がうまくいき、利益が出せた時のバランスシートをみてみましょう。

そうすると、損益計算書の最下段の利益がプラスとなります。

損益計算書の「利益」が貸借対照表の「利益剰余金」と繋がっているため、純資産の部が拡大することになります。

下の図で確認してみてください。

②(1)で運用がうまくいかず、赤字になってしまった場合

続きましてその物件の運用がうまくいかず、赤字になってしまった時のバランスシートをみてみましょう。

そうすると、損益計算書の最下段の利益がマイナスとなります。

損益計算書の「利益」が貸借対照表の「利益剰余金」と繋がっているため、純資産の部が縮小することになります。

下の図で確認してみてください。

毎年着実に利益を積み重ねていく

①と②どちらが良いかは、もちろん利益が出る①の方です。

毎年着実に利益を積み重ねていけば、資産に対する純資産の割合は高まっていき、資産が自分のものになっていくことになります。

物件の値上がりを狙って短い期間で稼ぐという方法もありますが、純資産をコツコツと長期的に増やすほうが確実と言えるでしょう。

バランスシートで確認することは、いかに純資産を増やせるかです。

不動産投資で成功するためには、投資規模を大きくすることよりも、純資産が増える好物件を買っていけるかが重要なのです。

まとめ

不動産投資とバランスシート関係及びその重要性がご理解いただけたのではないでしょうか。

青色申告をするにも、バランスシートの知識は必要です。

複数のローンを組む際にも銀行は当然バランスシートをみて融資するかどうかの判断をします。

今まで、バランスシートについて知らなかった方、知ってはいたけど詳しく把握できていなかった方、今一度、ご自身のバランスシート作成を考えてみてはいかがでしょうか。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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