不動産投資とは

資産寿命から考える不動産投資!平均寿命を上回る資産寿命を手に入れるには?

2020/08/27
資産寿命から考える不動産投資!平均寿命を上回る資産寿命を手に入れるには?

皆さんは、老後の生活を意識したことがありますか。

老後に対する不安がある方が多いのではないでしょうか。

それは、老後に向けて必要となる金額が想定出来ていないから、あるいは、想定は出来ているが金額と現状の金融資産額の間に差が生じているからでしょう。

では、老後の資金面での不安に、どのように対応していけばよいのでしょうか。

いわゆる「資産寿命」を伸ばすためには、どのような方法があるのでしょうか。

こちらの記事で解説していきます。

資産寿命とは?

資産寿命とは、令和元年6月に金融審議会の市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」において示され、多くの方が関心を持つようになりました。

この報告書内で資産寿命は、「生命寿命」や「健康寿命」と関連して、老後の生活を営んでいくにあたって、これまで形成してきた資産が尽きるまでの期間であると説明されています。

出典:金融庁 

金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」

ゆとりを持った老後の生活のためには、いくら必要?

老後を夫婦2人で暮らしていくためには、月々の日常生活費は最低いくら必要でしょうか。

公益財団法人生命保険文化センターの調査では、「最低日常生活費」は平均で月額「22.1万円」となっています。

出典:公益財団法人 生命保険文化センター

令和元年度「生活保障に関する調査」

さらに、経済的にゆとりのある老後生活を送るために、「最低日常生活費」以外に月々であといくら必要か、という調査では、平均額が「14.0万円」になっています。

出典:公益財団法人 生命保険文化センター

令和元年度「生活保障に関する調査」

つまり、ゆとりを持った老後の生活のためには、「22.1万円+14.0万円=約36万円」が月々で必要となるということになります。

日本における金融資産額の実態は?

金融庁から出された資料によると、二人以上の世帯で世帯主が65歳以上の世帯の貯蓄現在高(銀行等への預貯金、生命保険等の掛金、株式・債券等の有価証券等の合計)は、下表のとおりになっています。

貯蓄額が500万円未満の割合は累計で20%を超えています

出典:金融庁

金融審議会 市場ワーキング・グループ 厚生労働省提出資料

また同資料によると、高齢夫婦無職世帯の毎月の赤字額は約5万円とされています。

毎月5万円の赤字ということは、貯蓄が500万円なら約8年しか持たない計算になります。

5世帯のうち1世帯がこのような状況であることを考えると恐ろしい状況です。

出典:金融庁

金融審議会 市場ワーキング・グループ 厚生労働省提出資料

資産寿命が生命寿命より短くなっていませんか?

令和2年7月31日に厚生労働省より出された「令和元年の簡易生命表」によると、2018年現在の日本の平均寿命は、男性が81.41歳、女性が87.45歳とされています。

男女ともに過去最高を更新しました。

出典:厚生労働省

また同表の70歳の平均余命を見ると、男性が15.96年、女性20.21年となっています。

これは、70歳時点で生きている人は、男性なら約86歳、女性なら約90歳まで生きるということを意味します。

つまり、65歳まで生きた人はその後、男性には約20年間、女性には約25年間もの平均余命があるのです。

さらに別表を見ると、90 歳まで生存する割合が、男性で27.2%、女性で51.1%とされていて男性の4人に1人以上、女性の2人に1人以上が90歳まで生きるということです。

資産寿命を延ばすための心構え

現役時

①早いうちからの資産形成を意識する

若いということは、それだけで老後に向けての準備時間が多いということになります。

これは、老後に向けての資産形成する点で、大きなアドバンテージです。

収入が少ない、または保有している資産が少なかったとしても悲観しなくて大丈夫です。

少額であったとしても「長期・積み立て・分散投資」を継続して行うことで、資産形成が可能になります。

②自身の長期的なマネープランを考える

収入や支出、今後の資産形成について考えていきましょう。

楽観的な見通しだけでなく、悲観的な部分も考慮しておくことが大切です。

また、専門知識を有しているアドバイザーを見つけられると大きいです。

的確なアドバイスをもらえて、必ずやあなたの資産形成にプラスに働くでしょう。

定年前後

①退職金の使用用途を明確にしておく

退職金が出る場合は、その額や形式を確認しておきましょう。

公的年金などの収入、生活に必要な支出はもちろんのこと、それ以外の資産や負債も含めて、老後の生活に向けて、資金が足りるのかどうかを把握しておきましょう。

②収入・支出の改善を行う

もし、老後の生活に向けて資金が足りないという場合は、収入の確保が必要です。

仕事を継続することを検討しましょう。

再雇用における収入は、それまでよりも下がる可能性が高いですが、所得を得られるので、資産寿命を延ばすという意味においては、有効です。

また、収入だけではなく支出の見直しも必要になってきます。

場合によっては、家賃や物価が相対的に安い場所への移住も検討する必要があります。

高齢期

①心身の衰えを考慮してマネープランを見直す

医療費用などが、想定していた金額よりも大きかった場合、資産寿命に影響を与えます。

また、老人ホームへの入居が必要となる際には、大きな支出があるためマネープランの見直しが必要になります。

②認知能力や判断能力の低下に備えておく

誰にとっても、認知能力や判断能力の低下の可能性があります。

こうした問題は、本人だけでなく周囲も気付きにくいとされています。

認知能力の低下で記憶と判断に障害が生じてしまい、それまでは出来ていた資産管理ができなくなり、資産寿命を短くしてしまう可能性があります。

これを、防止するために「限度額の設定」や「遺産相続の方針」の決定、信頼できる人との金融情報の共有などを行っておきましょう。

不動産投資が資産寿命を延ばすために効果的と言われる理由

なぜ、不動産投資が資産寿命を延ばすために効果的なのでしょうか。

それは、不動産投資は「年金代わり」になるからです。

いったい、どういうことなのでしょうか。

不動産投資は、入居者に物件を貸して、家賃収入を得ながら、その入居者からの家賃でローンを返済していく仕組みです。

ローンが完済したら、家賃だけが入ってくることになります。

もちろん、固定資産税や管理費などが発生しますが、それでもキャッシュフローは黒字で回すことができます。

投資の規模にもよりますが、10万や20万、それ以上が毎月入ってくるのです。

年金生活をしている方にとって、決して小さくない金額です。

不動産投資をやっていなければ、切り崩されて、どんどん減っていく資産も、家賃収入によって資産の減り方を緩やかにすることが可能になるのです。

これが、不動産投資が資産寿命を延ばすために非常に有効であるという大きな理由です。

長期・積立・分散投資による資産運用の有効性

「長期・積立・分散投資」は、資産運用で、お金を増やすために必要とされる3要素です。

金融庁からも、その重要性について出されています。

出典:金融庁 

金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」

こちらは、1985年以降の各年に、毎月同額ずつ国内外の株式と債券の買い付けを行っていった結果になっています。

左のグラフは保有期間5年の収益率、右のグラフは保有期間20年の収益率を表しています。

左は棒グラフがまんべんなく分布しています。

保有期間が5年だと運用結果がばらつくことを意味します。

一方で右のグラフは、棒グラフが中央に集中しています。

投資収益率が2%~8%の間に集まっています。

短期運用より保有期間が20年にもなると、運用結果のばらつきが少なくなります

また、誰もマイナスになっていません

投資期間が長期に渡れば、収益率が良くなることが分かる参考資料です。

出典:金融庁 

金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」

こちらは、1995年から毎年同額を投資した場合のリターンを表したグラフです。

投資先が多いほど、運用結果が良くなっていることが分かります。

分散投資や長期保有の有効性が分かる参考資料です。

分散投資はすべきとはいえ、不得意とする投資商品を投資するとやはり失敗するリスクが大きくなります。そのため、勉強すること、投資商品の選び方に気をつける必要があると言えるでしょう。

なお、国が進めている長期にわたる資産形成を支援する仕組みがあります。

それがNISAとiDeCoです。税制面での優遇措置が大きいのが特徴です。

NISA

NISA(少額投資非課税制度)とは、毎年120万円までの株や投資信託を売却した際の売却益・配当金にかかってくる税金を払わずに済むという制度です。

日本に住んでいる20歳以上の人が利用可能で、誰でもNISAの口座を開設でき、資産はいつでも引き出すことができます

投資対象は、上場株式と投資信託となっており、債券、FX、金やプラチナ等は対象外になっています。

通常は得られた利益に対して20.315%の税金を課せられますが、NISA口座を活用することによってその税金が免除されます。ただし、使用しきれかった投資枠は、翌年以降に持ち越せません。諸条件があることも注意する必要があります。

また、NISAの非課税期間は、最長で5年となっています。

つまり、年間120万円×5年間=600万円分の投資額が売却益や配当金が非課税になる上限になります。

もし、NISA枠で購入した株式や投資信託を保持して、5年間経過した場合は、どうしたらよいでしょうか。

非課税期間の終了をもって売却してしまっても良いですが、そのまま売却せずに持ち続けることも可能です。

「ロールオーバー」といって、さらに5年間、非課税のまま運用を継続することができます。

2023年で終わる現在の「NISA」ですが、ロールオーバーを行うことによって、2024年から始まる「新・NISA」へと引き継がれる予定です。

新・NISAの利用条件が異なりますので、詳しくは下記の記事を参照にしてみてください。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、年金制度の1つです。

確定拠出年金という制度が2001年にできました。

この制度は、企業・個人が拠出した掛金を自身で運用し、資産形成をしていくという仕組みです。

このうち、個人で掛金を拠出する「個人型確定拠出年金」がiDeCoというわけです。

原則として、日本に住んでいて20歳以上60歳未満の方で、国民年金や厚生年金などの公的年金に加入していれば加入ができます

iDeCoでは、毎月一定の金額を自身で拠出し、自身で選択した商品で運用し、老後資金を準備していきます。

そして、60歳以降になったら、それまで運用して構築した資産を年金もしくは一時金として受け取るのです。

毎月5,000円の掛金から拠出することができ、それ以上は、1,000円単位で上積みです。

申込みの際に、拠出金額を設定しますが変更できるのは1年に1度だけになっています。

なお、いくらでも拠出できるわけではなく、毎月の金額には上限があります。

また、職業によっても異なりますので、下記でご確認ください。

●自営業               68,000円/月

●専業主婦(夫)           23,000円/月

●公務員               12,000円/月

●会社員(企業年金なし)       23,000円/月

    (企業型確定拠出年金加入)  20,000円/月

    (企業年金+確定拠出年金加入)12,000円/月

参照:iDeCo公式サイト

iDeCoで拠出した掛金は全額が所得控除の対象となります。

年末調整や確定申告で申告することで、所得税や住民税などの税負担を減らすことができるので、将来に向けての積み立てができ、かつ節税もできるのは大きなメリットといえます。

しかし、iDeCoは年金を目的としているため、60歳になるまで引き出すことができないのがデメリットです。

また、60歳の時点で加入期間が10年未満の方は、最高65歳まで引き出せません。

老後のためといっても、無理な拠出は家計を圧迫することになりかねません。

家計をシミュレーションして、手元資金に余裕がでるように利用していきましょう。

まとめ

充実した老後を送るためには「資産寿命」を延長することが不可欠です。

「投資」となるとリスクもあるので、恐れるのは当然です。

しかし、そのリスクやデメリットをきちんと理解して、資産運用を行えば大丈夫です。

ぜひ、チャレンジしてみましょう。

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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