不動産投資とは

不動産投資をする場合税理士は必要?税理士の選び方とメリット・デメリット

2020/08/31
不動産投資をする場合税理士は必要?税理士の選び方とメリット・デメリット

不動産投資を行い家賃収入が発生すると、その収入の額によっては所得税や住民税を支払う必要が出てくることがありま

また、収益物件を所有しているだけでも固定資産税を納める必要も出てきます。

このように不動産投資と税金は、切っても切れない関にあります。

このような国や自治体に納めなければいけない税金を、なるべく節税したいと考える人がほとんどでしょう。

適正な税金を納税するためには、時には税金の専門家である税理士に会計処理を依頼することが近道となる場合があります。

ここでは、不動産投資を行う場合に税理士が果たす役割と、税理士に依頼するメリットとデメリットなどについて詳しく解説していきます。

税理士とはどのような仕事なのか

税理士とは、一般的に企業などの会計処理を代行したり、確定申告を行ったりしてくれるお金と税金に関する専門家のことを言います。

税金に関する全ての業務を担当してくれると考えても良いでしょう。

それ以外にも、金融機関などから融資を受ける際にアドバイスをもらうこともできます。

このように、税理士とは顧客の税金と融資の問題について顧客に代わり業務を行ったり、適切なアドバイスをしたりしてくれる存在なのです。

不動産投資を行う上で税理士に依頼するメリットとデメリット

不動産投資を行う際には、税理士に業務を依頼するべきなのでしょうか。

このような場合にはメリットが多くありますが、もちろんデメリットもあります。

ここでは、税理士に業務を依頼する場合のメリットとデメリットについて解説していきます。

メリット

税理士に業務を依頼するメリットには、以下のようなものがあります。

①節税を行うことができる

税理士は税務関係の問題の専門家なので、節税対策について最適なアドバイスをしてもらうことができます

その理由は、税理士が税務問題のスペシャリストであるために、節税に関する情報を多く持っているためです。

そのため自分で確定申告を行うよりも、税理士に依頼したほうが納めるべき税金の金額を低く抑えることができる可能性が非常に高くなります

また、家賃収入から導き出される所得税や住民税の節税以外に、収益物件を贈与したり相続したりする場合に発生する贈与税や相続税に関しても、納税額を低く抑えるためのアドバイスをしてもらうことが可能です。

②確定申告の手間を省くことができる

確定申告は、毎年二月の中旬から三月の中旬の期間に行います。

確定申告がこの期間より遅れてしまうと、「期限後申告」として扱われ、申告が遅れた理由によっては無申告加算税や延滞税が課せられることもあります。

税理士に確定申告を依頼しておくことで、このような事態を避けることができます。

また確定申告書の作成には非常に手間がかかり、何をどのように書いたら良いかわからないといった状況になってしまうことも考えられます。

この確定申告書の作成を税理士に依頼することで、書類作成の手間を省くことができます

③税金に対するアドバイスを行ってくれる

不動産投資と税金は、切っても切れない関係にあることは前述しました。

このような税金に関する知識を、不動産投資を始める時点で正確に把握している人はほとんどいないといってもいいでしょう。

また、不動産投資の規模が大きくなるに連れて会計処理も複雑になり、税金に関する諸々の業務もまた複雑化してきます。

このような場合に、税金に対する正しい知識を持っていないと過剰な納税をしてしまったり、逆に本来納めるべき税額より低い金額を納税してしまったりして、後からペナルティーを科される可能性も考えられます。

税理士に相談することで、税金に関する適切なアドバイスを受けることができるため、このような事態を避けることができるでしょう。

税金に関する疑問や悩みがある場合には、まず税理士に相談してみることをお勧めします。

④税務調査に入られる可能性が低くなる

税務調査とは税務署などの国税庁の管轄下にある組織が、納税者が税金を正しくおさめているかということを確認するために行う調査のことです。

税務調査には、任意調査と強制調査の二種類があり、脱税の疑いなどが無ければ基本的に任意調査となります。

任意調査は、事前に調査を行う旨を連絡してくれます。

任意という言葉が付いていますが、この任意調査で質問に対して正確に答えなかった場合には罰則を受けることになる可能性もあります。

強制調査とは国税査察局、いわゆるマルサが行う調査のことで、脱税の隠ぺいが悪質である場合や、脱税額が一億円を超えると想定される場合に、裁判所の令状に基づいて調査が行われます。

税理士に会計処理を依頼することによって、確定申告に必要な書類を正確に作成してもらうことができるため、税務調査を受けるリスクを低く抑えることができます

税理士に会計処理を依頼していても税務調査が入ることが稀にありますが、そのような場合でも税務署の職員などへの対応を税理士に任せることができるため、スムーズに税務調査を終了させることが可能です。

デメリット

税理士に業務を依頼するデメリットには、以下のようなものがあります。

①依頼費用が必要になる

税理士に業務を依頼する場合には、当然の事ながら税理士に対する報酬が必要となります。

費用は、依頼する業務の内容によって異なってきます。

ここでは確定申告のみを依頼する場合と、顧問契約を結ぶ場合の費用の相場を見ていくことにしましょう。

税理士には業務全般を依頼するのではなく、確定申告のみを依頼することも可能です。

確定申告のみを依頼する場合には、収益物件の規模にもよりますが、物件一棟当たり帳簿作成代行料込みで15万円から25万円程度の報酬を設定している税理士が多いようです。

帳簿の作成は不動産投資を行っている本人が行い、申告書の作成のみを税理士に依頼する場合には、3万円から5万円程度の報酬を支払うことになります。

料金設定は税理士によって異なるため、依頼したいと思う税理士に目星を付けたら報酬がどの程度発生するのかを直接確認することをお勧めします。

確定申告の書類作成のみではなく、通年で税理手続きなどのサービスを税理士から提供してもらうことができる顧問契約というものもあります。

不動産投資の税務処理は、規模が大きくなればなるほど煩雑さが増していくため、税理士にその都度相談する必要が出てくることが想定されます。

そのようにして相談の回数が増えてきたら、思い切ってその税理士と顧問契約を結んだほうが整理士に支払う報酬も節約することができ、また投資全体に対するアドバイスを受けることも可能になります。

顧問契約の報酬の相場は、毎月1万円から3万円程度と言われていますが、これも税理士や収益物件の規模により異なってきます。

この月額の報酬に加えて、決算期には追加で5万円から10万円程度の報酬が必要になるため、この点にも注意しにおきましょう。

また、提供してもらえるサービスの内容も税理士ごとに異なるため、いくらの報酬で、どのようなサービスを提供してもらうことができるのか、顧問契約を結ぶ前にきちんと確認しておきましょう。

不動産投資を行う際にはどのようにして税理士を選ぶべきか

自分が行っている不動産投資をサポートしてもらう税理士は、どのようにして選べばよいのでしょうか。

ここでは、税理士の選び方について解説していきます。

不動産投資を行っている人に紹介してもらう

税理士などの士業をしている人は、ほとんどの場合知人や顧客からの紹介によってさらに顧客を増やしていくことが一般的です。

そのため、知人などに不動産投資を行っていて、業務を税理士に依頼している人がいれば、その人に依頼している税理士を紹介してもらうとよいでしょう。

不動産投資を行っている顧客を持っているということは、その税理士が不動産投資に詳しいという証にもなります

そのため、安心して業務を依頼することができます。

「不動産投資」に関する知識が豊富な税理士に依頼する

税理士にも、得意分野というものがあります。そのため、不動産投資に詳しい税理士に業務を依頼することをお勧めします

そのような税理士に業務を依頼すれば、自分が所有している不動産や株、預金などの資産運用全般に関する管理や運用の仕方に関してアドバイスをもらうことができます

本人も不動産投資を行っている税理士に依頼する

実は、税理士自身が不動産投資を行っているケースも少なくありません。

そのような税理士は、税金の専門家という税理士本来の視点によるアドバイスに加えて、投資家としての経験を踏まえたより現実的なアドバイスすることが可能です。

このように、不動産投資を自分でも行っている税理士に依頼することも視野に入れておきましょう。

税理士に業務を依頼する場合の注意点

税理士に業務を依頼するにあたっては、いくつか注意しておかなければならない点があります。

ここでは、その注意すべきポイントについて解説していきます。

税理士にまかせっきりにしない

税理士は、不動産投資を行う人がしなければいけない会計上の業務を代わりに行ってくれる税金の専門家です、

だからといって、税理士にすべてを任せっきりにして自分は全く何もする必要がないという訳ではありません

不動産投資を行っているのは、あくまで自分自身であり、税理士はそのサポートを行ってくれる存在にすぎないためです。

税理士からはさまざまな不動産投資に関するアドバイスをもらうことが可能ですが、そのアドバイスに従うかどうかという決定を下すのは自分自身です。

そのため、自分でも不動産投資に関わる税金や経費などについての知識を身につけるよう努力する必要があります。

定期的に税理士と面談を行う

税理士と顧問契約を結び、会計業務を委託している場合には、そのまま放っておいても税金面での心配はないでしょう。

だからといって、不動産投資を行っている本人が全くノータッチで良いという訳ではありません。

定期的に税理士と面談を行い、自分の不動産投資における収支や納税の状況などを報告してもらうようにしましょう。

税理士への報酬により利益が極端に減っていないか確認しておく

税理士に業務を依頼する場合には、当然の事ながら報酬が発生します。

その報酬が高額すぎて、家賃収入から得られる利益を極端に減らしていないか注意しておく必要があります。

税理士に業務を依頼することの本来の目的は、節税などによって利益を増やすことにあります。

そのため税理士報酬により利益が極端に減少してしまう場合には、自分の不動産投資に本当に税理士が必要なのか改めて考えてみることをお勧めします。

不動産投資の税金問題に詳しい税理士の探し方

税理士にも得意分野があるため、不動産投資に関する知識が豊富な税理士を探す必要があります。

ここでは、そのような税理士の探し方について解説していきます。

不動産投資を行っている人に紹介してもらう

友人や知人に不動産投資を行い、業務の一部または全部を依頼している人がいれば、その人が依頼している税理士を紹介してもらうとよいでしょう。

このようにして紹介してもらった税理士は、不動産投資にまつわる税金の制度について精通しており、なおかつ友人または知人も信頼して依頼しているため、大きな「ハズレ」である可能性は低くなります

不動産投資セミナーなどで税理士の情報を集める

不動産投資セミナーも、税理士に関する情報を集めるために絶好の機会と言えます。

なかには不動産投資に特化した税理士事務所が主催するセミナーもあり、このような機会に税理士本人の話を実際に聞いてみて、その税理士にどのような実績があるかといったことや、どのようなサポートを受けることができるかといった情報を得ることができます。

このようにして得た情報をもとにして、自分の不動産投資の規模や方針に合った税理士を探すことも可能です。

インターネットで検索する

税理士に全くつてがない場合には、インターネットを利用して税理士を探すこともできます。

税理士事務所のホームページに記載されている会社概要や代表者の経歴などの情報から、自分が行っている不動産投資の方向性を理解してくれそうな税理士かどうかをある程度判断することも可能です。

このようにして気になるいくつかの税理士事務所に目星をつけ、問い合わせを行ってみましょう。

まとめ

ここまで、不動産投資と税理士の関係について解説してきました。

不動産投資を行うにあたって、税理士はどのような役割を担うのか、税理士に依頼する場合のメリットとデメリット、税理士の選び方や探し方についてお分かりいただけたと思います。

税理士に業務を依頼することで、自分自身の手間を省き、税金に関するメリットを享受することができますが、その分報酬も発生します。

自分が不動産投資を行う場合に、税理士に業務を依頼することで大きなメリットを得ることができるかどうか今一度よく考えてから、相性がいい税理士に依頼するようにしましょう

八木 チエ

株式会社エワルエージェント 代表取締役
みんかぶ(不動産投資)プロデューサー

宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランナーなどの経験を活かし、第3者の立場で不動産投資をしていくうえで役に立つ情報をお届けします。

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